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King of Steel Guitar、Texas PlayboysのLeon McAuliffeの楽器

Bob Willsのフィドルについて別の記事でちょっとだけ書かせてもらったが、Bob Wills & His Texas Playboysの花形の一人は間違えなくスティールギターのLeon McAuliffe(William Leon McAuliffe)だろう。Bob Willsの録音を聴いていると、Bob Willsがしょっちゅう"Come on Leon!"と掛け声をかけてLeon McAuliffeのスティールギターソロが始まる。

1935年に18歳の若さでBob Willsのバンドに加入してから1942年にBob Willsが軍隊に入ってバンドが解散するまでLeon McAuliffeはBob Wills & His Texas Playboysの重要なメンバーだった。

Bear Family RecordsからリリースされているLeonのバンドLeon McAuliffe & his Cimarron Boysの”Take Off & More"というタイトルのCDのライナーノーツによると、彼が初めにBob Willsのバンドに加入した時にはスティール・ギターではなく、通常のギターを弾いていたらしい。それで、結局スティールギターに転向するわけだが、バンドに加入した翌年の1936年のレコーディングで、既にスティールギターのスタンダード曲である"Steel Guitar Rag"を録音している。驚くべき習熟ぶりだ。

彼の愛器は晩年までFender Stringmaster(8弦)の Quad Neckモデル、つまり4本ネックのモデルなのだけれど、FenderのQuad Neckの Stringmasterは確か1953年から1969年まで作られていたはずだから、1930年代に彼はどんな楽器を使っていたのだろうか?


Bibsbyを演奏するLeon

Bigsbyについて書かれた書籍”The Story of Paul Bigsby"にBigsbyのスティールギターを演奏するLeonの写真が掲載されている。
Paul Bigsbyが始めてエレクトリックのスティールギターを製作したのは1940年代からだから、40年代の後半はおそらくビグスビーの楽器を使っていたのだろう。30年代のBob Willsの録音が手元にないのでなんともわからない。

まあ、30年代にエレクトリックのスティールギターを盛んに造っていたのはリッケンバッカーぐらいだろうから、彼もひょっとするとリッケンバッカーなんかを弾いていたのかもしれない。わからない。

Fenderを使うようになってからのLeonの写真は数多く残っている。古い写真では1953年〜54年製と思われるロングスケールでブロンドカラーのStringmaster Quad Neckを使っている。
いつもスタンディングで演奏していたようで、Stringmasterから伸びる4本の長い脚が地面に伸びている姿は堂々として見える。

彼の楽器のチューニングはhttps://www.steelc6th.com/tunings.htmのページに詳しく掲載されているのだが、

一番遠いネックから、
1 - G
2 - B
3 - D
4 - E
5 - D
6 - C
7 - B
8 - A

次のネックが
1 - E
2 - C#
3 - B
4 - G#
5 - F#
6 - D
7 - G#
8 - E

その次のネックが
1 - E
2 - C#
3 - A
4 - F#
5 - E
6 - C#
7 - A
8 - F#

そして一番手前のネックが
1 - E
2 - C
3 - A
4 - F#
5 - F
6 - D#
7 - G# HIGH
8 - D

という、かなり変則的なチューニングである。
もっとも、ノンペダルのスティールギターだから、上記のチューニングで色々なジャジーなコードを鳴らさねばならぬ故のことだったのだろう。

トップの写真は私の持っているトリプルネックのStringmasterなのだが、これがまた超ヘビー級の楽器で、ケースに入れると20キロを超えてくる。
Leonぐらいの大物になったら、色々と機材の世話をするスタッフがいただろうけれど、4本ネックの楽器をもってドサ回りするのはさぞ大変だったであろう。

Leon McAuliffeの楽器についてはとりあえず、ここまでにしておこうか。また、続きが書きたくなったら改めて書きます。

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