見出し画像

LGBTQ・セクシュアリティに関する相談窓口の使いかた・選び方

セクシュアリティやLGBTQについての相談できる窓口が増えてきましたよね。それぞれどんな特徴や役割があるのでしょう?また、個別のカウンセリングの役割って?ということを少しまとめてみました。

わたしは、10年以上、さまざまな相談窓口でセクシュアリティに関する相談を受けてきました。近年、いろいろな相談窓口が開設されており相談できる場所が増えてきたことをうれしく思っています。一方で、どこをどういう風に使ったらいいのかなあと思う方もいらっしゃるのでは?支援者の方もどのようにリファーすればよいのでは?と迷われることもあるかも。
それぞれのよいところを確認してよりよく活用できるといいですね!

大きくわけると、以下の3つがあると思います。
①LGBTQ支援団体や自助団体の相談窓口
②行政の相談窓口
③職能団体による相談窓口
④個人カウンセラーの相談窓口

それぞれの特徴をみてみましょう。

①LGBTQ支援/当事者団体や自助グループの相談窓口
 電話相談やLINE相談、メール相談といったかたちで、相談員はボランティアの相談支援専門家もいますが、当事者やアライの方など当事者に近い立場の方が相談に乗ってくださることが多いように思います。相談の窓口の開設日に気軽にアクセスできるのは利点です。匿名で相談でき、無料であることがほとんどです。
 それぞれの団体の特色や地域性によって得意・不得意はあります。たとえば、性志向のマイノリティのひとが性同一性のことはあまり知らない、というようなこともあります。ゲイ団体はゲイのことはもちろん強いですし、性別移行の話題はトランス当事者の多く集まる団体が得意でしょう。当事者団体同士のネットワークもあり、セクシュアリティに関するカルチャーやイベントや最新の話題になっている問題などの情報が豊富です。
 電話相談やLINE相談は相談員が日や時間により持ち回りで担当することもあり、相談の予約をしたり、指名をしたりすることはむずかしいことが多く、相談員同士の情報共有も限界はあります。安定して継続的に同じテーマのことを相談するには不向きではあるかもしれません。アクセスが込み合うところもあります。
 また、相談員は相談に関する専門的なトレーニングを積んでいるひとばかりではなく(でも、勉強熱心な方が多いです!)、相談員によって相談スキルや心理やメンタルヘルスの知識のバラつきはあるでしょう。
 しかし、当事者としての苦労やなやみを自分のこととして生活している相談員ならではの新しい情報や知恵や裏技を教えてくれることは大きな強みです。
 相談員が自身のセクシュアリティについて明かさないこともありますが、自分と同じ苦労やなやみを感じている、生き抜いている立場に近い相談員と話すことで「ひとりじゃない!」という勇気を相談員からもらえることが、LGBTQ支援/当事者団体や自助グループの相談窓口の醍醐味であるように、思います。
 当事者としての思い入れもあり、相談員が中立的な立場がとりにくいこともありますが「味方・仲間」を見つけられると心強いですね!
 私が参加した相談窓口の範囲では、マイノリティ自認がある・ある程度得ている方がご自身の迷いやカムアウトや性別移行、パートナー探しなどの日常的な困り事をお話する方が多いように思いました。

②行政の相談窓口
 ○○市LGBT相談、といったような市町村で開設されている窓口がこれにあたります。電話相談が多いですが、対面の相談も行っているところもあります。専門相談窓口ではなく、人権相談の窓口に包括されていることもあります。パートナーシップ制度の広がりもあり、多くの地域でマイノリティ支援に行政が乗り出しています。匿名・無料で相談できます。
 専門窓口は、行政の職員が相談にあたる場合と、その地域周辺のLGBTQ支援団体などに委託して運営を行っている場合がほとんどでしょう。
 行政の担当職員が相談員である場合には、相談員としてキャリアの長い方もいれば、その窓口の担当になるまでは他の業務(相談業務でない場合も)にあたっていた方もいます。
 すでにセクシュアリティに関して相談の知識や経験を持つ方もいれば、セクシュアリティに関しての研修受け、知識を身につけての相談業務に従事していることもあります。行政の専門相談はあたらしい相談窓口が多いためセクシュアリティに関しての理解や情報がまだ蓄積されていないところもあるかもしれませんが、当事者からの相談を受けて日々ブラッシュアップしていくことと思います。
 窓口により、予約や指名の不可は異なります。継続的な相談をどの程度視野にいれているかも窓口によります。
 地域の支援団体に委託行政のネットワークのバックアップあり、行政のサービスや地域に特化した情報を豊富に持っている相談員も多いです。セクシュアリティのこと以外にも、経済的なことや生活面など他にもアドバイスが必要な場合にも頼りになりそう!(行政の方からのお話を聞いていると、当事者だけでなく家族や当事者に関わる方も相談利用をしやすい印象です。)
 LGBTQ支援団体などに委託している場合には行政の方で、相談の質を担保するために相談員のキャリアや資格などの採用条件を決めている場合もあります。

職能団体による相談窓口
 弁護士会というような職能団体が、地域によってはLGBTQに関わる相談窓口を開設しています。職能団体の相談窓口は、専門特化した窓口なので、相談したいテーマがはっきりしていないと使いにくいところはあるかもしれませんが、もちろん弁護士会の相談窓口なら、法律に特化したアドバイスには強いので具体的に法的なことの困り事について相談したいときは役に立ちますね!

④個人カウンセラーの相談窓口
 最後に、多くはないですがセクシュアリティの相談に対応することを掲げている私のような個人カウンセラーの相談窓口があります。多くが有料です。有料である分、相談業務で生業を立てているプロが相談にあたります。相談の形は対面や電話やオンライン・メールなどそのカウンセラーのサービスにより多様です。
 カウンセラーは国家資格を持つ人もいれば無資格の人もいます臨床心理士や公認心理師という資格を有しているカウンセラーは心理やメンタルヘルスの知識を有し、一定のトレーニングを受けているので相談の質は一定担保されています。
(・・・というはずですが、有資格者カウンセラーにセクシュアリティのことを話して「わかってもらえなかった・傷ついた」とご相談の中でおっしゃる方も多いのでカウンセラーによっては慣れないテーマなのでしょう。)
  個人カウンセラーとのお話する時間は個別に時間は約束されていますし、「カウンセリング」という形で継続的に相談できることが前提でサービスが組まれています。
 精神疾患や発達障がいや家族の問題を抱えるなどバックグラウンドが複雑であったり、相談したいテーマが多様であったり自分でも混乱していたり、迷いや不安が強く解決まで時間がかかりそうなことをゆっくりと話し合う場合には、カウンセラーと継続的に話すほうがむいているかもしれません。
 「今日元気になる!」というような特効薬ではないですが、基礎体力づくりのようにじっくりと、自分の未来の方向を探したり、将来へ向かう足元を固めるような作業をおこなうのセクシュアリティに関してのカウンセリングでしょう。
 たとえば、「自分は同性愛かなあ」と迷う方のカウンセリングの中で
「当事者と会うのが怖い」
「当事者コミュニティにアクセスするのに抵抗がある」
ということはよく話されます。
「自分は○○かな・・・そうかもしれないけど○○だと抵抗がある・・・」
「○○なんだと思うけど、その自分と向き合うのはつらい、戻れなくなりそうでこわい」
という自認に迷いや恐れある場合は、当事者団体の相談窓口よりも、個人カウンセラーを選びがちである印象です。
 ご家族からの相談では「こどもがマイノリティであることを理解したいけど、無理」など、クライエントさんの中のネガティブなことも安心して話せる安心感は単発的な関係性では難しく、継続的な相談の中で育まれることもままあります。

 ①・②・③・④は「気が向いた時に相談する」窓口であり、その気楽さや便利さがあります。
 そうではない④の窓口は、「予約して継続的に相談する」というつもりがあることで、「次のカウンセリングまでには・・・」や「これカウンセリング言おうっと・・・」と自分のなやみについて考える機会やチャレンジするチャンスが生まれ、結果的にきもちや考えに変化をもたらしやすくなる効果もあります。
 セクシュアリティのことも「考えたいけど、しんどいし、忙しいし」と「棚上げ」されがちなのですが、本来は人生に関わる大切なテーマです。

 また、現行のセクシュアリティに関する相談窓口は、性同一性/性自認や性志向などのことには対応していますが、性嗜好や恋愛志向、ポリアモリーなどライフスタイルや関係性志向の相談は扱いにくいことがあります。そのようなテーマに慣れた個人カウンセラーと話すほうがしっくりくることもあります。


とはいうものの、困ったときにはパッと目についたところにアクセスすればいいし、そこからまた必要ならどこかに繋いでくれます!相談員との相性もありますので「こういう人はここがいいよ!」と一慨には言いにくい!
孤立が一番怖いです。
まずはどこでもアクセスしてみてくださいね、というのは本音。


そして、カウンセリングの体験イベントやっていますので、よろしければご参加ください。
(もう終盤ですがプライド月間だしなー!と通常の三分の一程度の料金でおためしあれー) 






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?