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「カレーライス」を! 汎用可能な力でカリキュラム・マネジメント

 新刊も読みつつ、これに戻って読み直しています。やはり、
「カリキュラム・オーバーロード」への対処法と、
「主体的・対話的で深い学び」をどう実現?
この2つが気になって仕方がないからです。

 私の分掌、ICTも、校内研修も、これを抜きには考えられないのです。そして、1つ1つの学び、授業をどう設計するか、この根っこになる部分、自分の信念をもっと太くしなければという探究心と危機感からです。

 OECD2030のラーニングコンパスでもそう、現指導要領もそう、「コンピテンシー」「資質・能力」のエッセンス、実社会に生きて働く力、教科横断的な、汎用可能な力。これをオーセンティックな(本当の、本質の)学びで身に付ける。森勇介氏の「カレーライス」の喩えが印象的でした。「少なく学んで大きく生かす」ためには、カレーの作り方を教え、その後にシチュー、ハヤシライス、肉じゃがの作り方を教える。これはコンテンツ・ベイスの学び方。そうではなく、カレーの作り方を学び、似た料理はもちろん、他の料理も学びとる子になれるはず。
 具材を入れる順、炒める、煮る意味、味付けのタイミング、他の料理に使えそうな技…そのような「見方・考え方」を働かせ、エッセンスを身に付ける。算数なら分数のかけ算とわり算で単元構成は似ているのだから、「カレー」的な核の部分を見極め、わり算ではかけ算の時の核は重ねて行わず時短できる。国語の説明文の指導の例は奈須先生の他の著書でもよく出てくる。P101の漢字指導での例が目からウロコであった。安達真理子氏の実践である。

 さらには「比較する」「整理する」「置き換える」等、もう一段階、抽象的な概念に「くらべるくん」「せいとんくん」「おきかえる」等とネーミングし、児童と共有し、繰り返し使う。「明示的な指導」で、児童に自覚させることが欠かせない。

 そのような「汎用性のあるスキル」「各教科の本質」「中核概念」を「14の価値」として整理し、「創る科」という教科を作って、明示的に指導し、自在に使いこなせるようにめざしているのが、我が山口県の附属山口小だ。附属福岡小も文科省の指定を受けて、カリキュラムオーバーロードの解消を主題として研究に取り組んでいる。

 やはり、時数スリム化と、主体的・対話的で深い学びは、大きく重なるのだ。「幅広く自在に活用の利く統合的な概念的理解の実現」と「その副産物としての時数の大幅な圧縮」P40 だ。

 まず、今後の自分の実践を変えるのは、この、「明示的な指導」で「汎用的スキルの自覚化」だと思い、そのスキルを整理しようと考えた。

 山口小の「14の価値」は、以下のとおり。
・比較する力 ・他者に伝える力 ・情報を収集する力 ・批判的思考力 ・構想する力 ・論理的思考力 ・先を見通す力 ・具体化・抽象化する力 ・問題を見出す力 ・関連付ける力 ・体全体の感覚を働かせる力 ・発想する力 ・情報を処理する力 ・協働する力

森勇介氏による「見方・考え方」の例は、
・統合(つなげる) ・類推(前と似ている) ・一般化(いつでも使える) ・きまり  ・多様な考え ・根拠 ・比較 ・整理 ・図に表す ・実際に確かめる ・条件統一 ・振り返り ・置き換える ・予想予測 ・算数のことば ・誤答 ・証明 

 もう少し抽象度を下げて具体的にしたものでは、
・知っている形に変形させる(求積、多角形の内角の和 等)
→ 複雑な数理は単純な数理の繰り返しや積み上げとして再表現できる。→未習を既習に持ち込む。

 理科で言えば、P35
理科実験の成否を左右する「条件制御」「系統的な観察」「誤差の処理」

 国語の説明文で言えば、P36
「問いと答えの応答関係」「具体例を挙げる順序」「列強あ対比など具体例同士の関係」「接続詞の順接と逆接」「事実と意見の書き分け」「題名に込められた意味」
(「お道具箱を整理」するように、全部の説明文を、俯瞰的に見て、何を学んだのか振り返る。そして、ネーミングして自覚する。そして、読解だけでなく、文章作成に使えるところまで目指す。)

 ・・・山口小や森勇介氏の例では、どこかで見たことがある文言が多い。「総合的な学習の時間」の学習指導要領解説に出てくる「考えるための技法」だ!!

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https://assets.loilo.tv/loilonote/pdf/LNS_ThinkingTool.pdf

ロイロノートによる思考ツールの解説ページに、「考えるための技法」と「思考ツール」の一覧表がありました。

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 ここで、ICT活用と もろにつながりましたね!ロイロノートにはすでにテンプレが入っているので、そのツールを使うことで「考えるための技法」=汎用的な力を身に付けることを目指すとともに、
考えやすく、また、協働しやすくしているのですね。

 デジタルの学習支援ツール、授業支援ツールでありながら、理念は壮大です。プログラミングアプリの「Viscuit」が「コンピュータは粘土だ!」と謳っていますが、ロイロも「新しい粘土」のようなものですね。

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 総合の学習指導要領にある、「探究のサイクル」にも、同じような文言が出てきます。指導要領解説から引用します。

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 もっと抽象化すると、「情報活用能力」「言語能力」となるのでしょう。

…しかし、それ以外の文言も、よく見るような気がします。

 この中のものとは別に山口小の14の価値にあるもの ・批判的思考力 ・論理的思考力 ・体全体の感覚を働かせる力 ・発想する力 ・協働する力 あたりでしょうか。

 OECDのラーニングコンパスでしょうか。
 文科省のピクトグラムでしょうか。
 そういえば、「学びに向かう力・人間性等」「主体的に学習に取り組む態度」の「粘り強く取組を行おうとする側面」「自らの学習を調整しようとする側面」との関係は?


https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/142/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2019/01/28/1412759_2.pdf

教育課程課教育課程企画室長の 白井 俊氏の資料です。「エージェンシー」についてはもっと勉強したいと思います。

高いけど、夏休みに読みましたよ!


下の資料が分かりやすいです。

こちらに、白井氏の著書の要約がありました。

そして、本家OECDのサイトがこちらです。

 資料てんこ盛りになりましたが、それらを自分の中でもう少し整理したいです。そして、並行して、具体的に授業に、研修にどう生かすか考えます。

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