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コロナ禍と私のバレエ鑑賞、そしてあれやこれや

以前、バレエが好きだという記事を書いた際に、少し触れた気もしますが、記録として改めて書きます。
被る内容もあるかと思いますが、ご容赦ください。

コロナ禍の前と後での私のバレエ鑑賞がどう変わったか、みたいなことを書こうと思っていますが、脱線するかも知れません。

1. コロナ禍到来まで

本当のことを申し上げますと、私はあまり国内のバレエ団の公演を鑑賞した経験が豊富ではありません。

そりゃあ、100回近く公演を見てきて、バレエファンでない人よりは断然見ていると思います。
ですが、私にとってたまの贅沢であるバレエ鑑賞と、海外バレエ団のたまの来日公演がちょうどマッチしていたこともあって、国内のバレエ団の公演スケジュールを逐一チェックして、頻繁にホールに足を運ぶことはあまりしてこなかったのです。

東京文化会館に行くことが多く、東京バレエ団はまだ何度か見たことがありましたが、Kバレエや新国立劇場バレエ団に関しては、知ってはいるけどそんなに見たことはないし、語ったり説明したりできるほどでは到底ありませんでした。

そんな中で迎えたコロナ禍。
2020年は、予定されていた来日公演がことごとく飛びました。年末にはロシアからボリショイ・バレエが来日する予定で、チケットも買っていましたが、丸ごとなくなってしまいました。とても見たかったのですが、こればかりは仕方がないです。

複数公演分のチケットを取っていたので、確かチケット代全額ではなかったと思いますが、主催団体に寄付をしました。
公演に行けないのは残念ですが、団体ごとなくなってしまうのが一番困るので。
コロナによる自粛期間に入る前、最後に見たのが2020年3月のパリ・オペラ座バレエ団の来日公演、千秋楽の『オネーギン』でした。
このときすでに、日本でも徐々に感染が広がっており、主催者も出演者も客も、それぞれに緊張感のある中での公演だったと思います。

この公演の少し後から、緊急事態宣言が発令され、ホールに足を運んで公演を見ることはめっきりできなくなりました。オペラ座のダンサーの中にも、この日本公演を最後にフランスで自粛に入った方が何人もいたようです。
幸いにもこの来日公演でクラスターが発生することもなく、今考えてみれば奇跡のような公演だったと思います。

2. コロナ禍に入ってから

コロナ禍になって初めて、日本のバレエ団に注目するようになりました。
そもそも海外のバレエ団は日本に来られないですし、他の文化・芸術もそうであったように、コロナ禍によって公演が打てなくなった日本のバレエ界も、危機的状況にあることを知ったからです。

そんな中で初めて、配信公演なるものを見るようになりました。海外のバレエ団が配信する公演も見ましたが、Kバレエのくるみ割り人形や新国立劇場のニューイヤー公演など、国内の生配信を見て、映像なのに涙が出るほど感動したものです。

Kバレエは、移籍前から知っていていつか見たかった日高世菜さんをお目当てに、『白鳥の湖』を渋谷まで見に行きました。コロナで自粛を始めて以来、初めて生で見た公演でした。

世菜さんの『白鳥』を見て強く感じたことは、白鳥そのものに見えるラインの美しさ、そして「パートナリングが上手ってこういうことか!」と思わせる技術と魅せ方の上手さです。
本当に素敵でした。また見に行きます。
あと、他のダンサーやKバレエのレパートリーももっと理解したいので、これからはもう少し高い頻度で行きたいと思います。

ちなみにパ・ド・トロワの男性が、世菜さんと一緒に入団した吉田周平さんでした。男性ダンサーとしては比較的小柄ですが、ジャンプを始め大きく見せる踊り方がとても綺麗でした。
踊り方や体格など、入団したばかりでくるみ割り人形に出演していたときよりも、Kバレエ、もしくは日本のバレエ団に馴染んでいたように感じました。

あと、悪の手下が踊るスペインの踊り(何か別の名前があった気がしますが忘れました。ごめんなさい)の男性のスタイルが鬼。

新国立劇場バレエも、『コッペリア』を見に行くべく、友達と約束をしてチケットも購入していたのですが、何度目かの緊急事態宣言により中止・生配信が決定したため、泣く泣くキャンセルして、家で配信を見ました。

違うキャストで4日程あり、都合により全編見ることが叶わない日もありましたが、全日程見ました。配信ならではの楽しみやよさを感じるとともに、いつか生で見るんだという思いを強くした公演でした。

そして先日、映画館でKバレエのドン・キホーテを見てきました。
本当は生で見たかったのですが、ちょうど忙しい時期だったので諦めざるを得ず、映画館でリベンジした次第です。
この公演については書きたいことがたくさんあるのでまた別の記事で。

3. これからも

バレエはずっと見続けていきたいです。
私はバレエ以外にも、ミュージカルを見たり、博物館や美術館に行くのも好きですが、そういったものは全て、私の人生を豊かにしてくれるものです。

コロナ禍で、文化・芸術といったものが自分にとってどんなものか、実感した人、再考した人は多かったのではないかと思います。
生きていく手段、心と身体の健康のために必要なもの、なくても生きていけるもの。色々な人がいると思います。

私にとって、芸術に触れること、歴史を感じることは、もはや習慣の一部とも言える気がします。
そして今後も、私の中での、そして社会における文化・芸術の存在意義について考え続けるのでしょう。それは、この世界に関わる人、足を踏み入れた人が避けては通れない命題ではないでしょうか。

国内、海外問わず、公演は徐々に再開しています。それでもまだ、業界全体としての回復には程遠いと思います。
そもそも、コロナ禍があろうとなかろうと、日本のバレエ界は芸術としても産業としても、完璧に健全で成熟した状態にあるとは言い難い業界でした。
それは歴史や文化的背景など様々な要因によるもので、まだまだ改善、成長の余地があるということです。

どんな舞台芸術も、お客さんに見てもらわないことには始まりません。
自分の好きなこと(公演を鑑賞すること)で、好きの対象に貢献できるなんて、こんなに幸せなことはありません。
私はバレエを見続けたいし、願わくば、この芸術の素晴らしさ、尊さをより多くの人に知ってほしい、感じてほしいと思っています。

バレエの世界は、沼です。
知れば知るほど美しく、知れば知るほど難しい。
その精神を感じたとき、微かに触れたときに初めて、もう後戻りできない深さまで来たことに気づくのです。

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