見出し画像

言葉の力

長いこと、本がうまく読めなかった。

頭が、壊れてしまったから。

それは、15歳のときのことだった。

文字が読めるようになりたかった。

必要な情報を得たり、広い世界を

知りたかったから。

一生懸命、本が読めるようになろうと思い、

簡単な本から読んだ。

詩の本もよく読んだ。

短い文だったら、
なんとか意味を追うことができたのだ。

それでも、黙読だとあまり頭に入ってこないから、何度も何度も、音読した。

谷川俊太郎さんの詩が、特に好きだった。

深く心が傷ついていた私。

谷川俊太郎さんの詩を読んでいると
自分の命のすべてを受け入れられてる
って感じられたんだ。

だから、言葉はすごい

って今も思っている。


言葉は人に理解を促す。

自分を知ること、

人を知ること、

世界を知ること。

関係を知ること、

仕組みを知ること、

今有るものと無いものを知ること。


言葉は選ぶ。

自分が何を感じるか、

何を考えるか、

この世界の中で、何を見るか。

言葉はつくる。

概念をつくり、

人が知を共有し、

大きな建造物をつくることも可能にする。


言葉はつなげる。

人と人の心をつなげる。

温かい心を、人と人の間に、虹のようにかける。

人と世界の間に、理解をつくり、謎をつくり、

関心という一本の紐を結びつける。


言葉は、今はもういない人たちと、

今生きている私たちを結びつける。

言葉には、ずっとその時を生きた人たちの

温度が残されている。

それは常に新鮮に、今を生きている私たちに

語りかけてくれる。

私たちはずっと繋がっている。

言葉という海の中で。


とある研究によると、

言葉は、宇宙に響く「音」と共振しているらしい。

この星々を生み出した宇宙と、

私たちは言葉で繋がっているのかもしれない。


言葉は、生み出す力だ。

だから、言葉で希望を紡ぎたい。

でも、それはそっとでいい。

人によって必要な言葉は、数じゃないから。

言葉を、分かち合いたい。

心がすきとおるような言葉を。

心を輝かせる言葉を。

音楽のような言葉を。

言葉の先には、大切な人がいる。

大切なあなたがいる。

あなたの心が輝くと、世界が喜ぶ。

だから、言葉を大切にしたい。

素敵な言葉を発したい。

空を舞う花火のように

ときに線香花火のように

すっと広がり、溶けていく。


言葉は

あなたの色と

あなたの音を響かせる。

世界は、

ひっそりと耳を澄ましている。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?