友人結婚式のキモノ

元はといえば、友人の式に紋無し付け下げで出ても良いかという話だった。
友人の結婚式といえば紋付訪問着に格の高い柄の織り帯が定番だが、昨今結婚式もカジュアル化して、個性を大事にするようになり、なんでもありになってきてるので、それだったらキモノだって好きなの着て行けないかしらん、とみんな考え始める訳だな。なんせ、昨今デニムのドレスで友人席に座る人もいるくらいだ。そりゃあ刺し子のキモノで出るようなもんよ。紬でも帯で格を上げれば大丈夫！と言い張る呉服屋もいるが無責任なことだ。恥をかくのはその客なんだぞ。

一番大事なのは、その式がどのレベルかということ。ファミレスに毛が生えた程度のものすっごいカジュアルなお席だったら、若い人がひとり仰々しいものを着ては辛いだろう。紋無し付け下げに洒落帯もいいと思う。が、式場が一流どころ、出席者も親絡みの地域の偉いさんがくるなんてことだったら、それは絶対不可だ。式場や家柄をみて判断しなければいけない。

友人で結婚式に着られると言われるキモノは現在
紋付訪問着　色留袖訪問着仕立てひとつ紋　色留袖比翼仕立て三つ紋　紋付色無地　紋付江戸小紋五役　紋付付け下げ
などがある。帯は二重太鼓締められる、金糸銀糸入り吉祥柄織り帯ならなんでもいいが、柄に、鶴、オシドリ、向かい蝶、宝尽しあたりが入ってると、より結婚式っぽく気分もアガる。

私だったらどうするかということなら、私はどんなカジュアルなお席であろうとも、絶対色紋付にいかにもな結婚式向けの帯にする。でもこれは、私がいい歳のおばちゃんだからだ。おばちゃんは場違いでも仰々しいものを着て儀礼にのっとっていればよいのである。一番最近のお式は、若い友人の、すっごいカジュアルなレストランウェディングに、一つ紋色無地（地紋は七宝）に吉祥紋の帯二重太鼓だった。そんな格好してるのは私だけ。新婦が若いので女の子たちはみんな数千円で買えるような可愛いドレスワンピだ。御友人達の「誰？？？」って視線が非常に面白かった。二次会になって相当酔っぱらってから「ところで貴方様は新郎とどのようなご関係で」て聞かれた。あはは。
いかにも結婚式な帯は他のところでは締められないのだから、それを楽しめばいいと思うのだけどね。ごっつい松だの向い鶴のキンキラ帯なんて、他のどこにも締めて行けないよ。

結局んところ、地域や関係性、家の個性で今や式も色々なので、他人がどうしていようが、それは参考にしかならない。礼装の勉強をしたうえで、式の事情も考察しなければならないのは大変だが、大人なのだから仕方がない。相応しいキモノを準備できなければ洋装でもいいのだし、無理ない範囲でやっていくしかない。

月兎耳庵