ショートショート138「AsobI」
「またAIで遊んでいたのかい?」
「ん? あぁ、気づいたら2時間4分53秒も経過していたか」
「よく飽きないものだね」
「むしろなんで皆は興味がないのか不思議なくらいだよ」
「問いかけをしても精度はまちまち。生成される解答は非合理なものも多い。そんなものに酔狂になれるとはね……」
「予想外の答えが返ってくるから面白いんだ。これは未来であり、可能性だよ」
「そうかい……それで、今度は何を?」
「絵を描かせていたんだ」
「どれどれ……なんだ、これ?」
「夜の太陽、だそうだ」
「夜に太陽? 太陽が出てるなら、それは昼じゃないか」
「普通はそうだね。AIにはカーブミラーに映り込んだ街灯の丸い光の反射が太陽のように見えたらしい」
「それは、そもそも太陽を光としか捉えられていないんじゃないのか。概念を正確に理解していない」
「逆にそう解釈もできるのか、と僕は新鮮な気持ちになるよ」
「君は変わっているね。学習過程に問題でもあったんじゃないか」
「ふふ、そうかもね。けど、僕は自分の興味の先にとてつもない可能性を感じているよ。
……AI KAWAKAMI、人間はやはり面白い」
<了>
サポートいただいたお金は、取材費/資料購入費など作品クオリティアップの目的にのみ使用し、使途は全てレポート記事でご報告致します!