99. デジタルデバイスの長期使用に関連する急性後天性共同性内斜視は,プリズム順応の有無にかかわらず,外科的介入により良好な運動面および感覚面が達成された

Surgical Outcomes with and without Prism Adaptation of Cases with Acute Acquired Comitant Esotropia Related to Prolonged Digital Device Use

Yagasaki T, Yokoyama Y, Yagasaki A, Eboshita R, Tagami K, Haga Y, Touya A. Clin Ophthalmol. 2023 Mar 11;17:807-816. doi: 10.2147/OPTH.S403300. PMID: 36937166; PMCID: PMC10017831.


目的:デジタルデバイス(digital devices:DD)の長期使用に関連した急性後天性共同性内斜視(acute acquired comitant esotropia:AACE)32例の手術成績を分析すること。

患者および方法:DDの長期使用に関連するAACEで,手術を受けた症例のカルテをレトロスペクティブに調査した。全症例について,手術前に完全な病歴と眼科的な精密検査を行った。また,全例に脳と眼窩の画像による神経学的検査を実施した。運動面の成功は,近見と遠見で10Δ以内のアライメントとみなされた。感覚面の成功は,立体視60秒以下と定義された。19例(S群)は手術のみ,13例は手術とプリズム順応(S+P群)で治療した。運動面と感覚面をグループ間で比較した。

結果:初診時の平均年齢は22.0±9.0歳,DDの1日平均使用時間は6.3±3.4時間であった。術前の遠見と近見の平均アライメントはそれぞれ26.5±13.0Δ,24.6±16.4Δであった。手術は平均23.3±3.5歳で行われ,最終検査時の遠見と近見の平均アライメントはそれぞれ5.8±7.7Δと3.5±5.7Δであった。最終的な運動面と感覚面の成功率は,それぞれ84%と53%であった。初診時,最終診察時ともに,運動・感覚面の成績に群間で有意差は見られなかった。

結論:DDの長期使用に関連するAACEに対して,プリズム順応の有無にかかわらず,外科的介入により良好な運動面および感覚面が達成された。

※コメント
ここでいうプリズム順応(prism adaptation)は,PAT後にオペ日まで偏位量を中和するプリズムを使用した状態の事を示しています。
AACEに対するプリズム順応の有無で術後の運動面と感覚面の結果に違いがない事に同意します。

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