64. コンタクトレンズは眼鏡と比較して,調節機能および輻湊機能が低下する明確な傾向を示す

Contact lenses vs spectacles in myopes: is there any difference in accommodative and binocular function?

Jiménez R, Martínez-Almeida L, Salas C, Ortíz C. Jiménez R, Martínez-Almeida L, Salas C, Ortíz C. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2011 Jun;249(6):925-35. doi: 10.1007/s00417-010-1570-z. Epub 2010 Nov 23. PMID: 21104269.

背景:理論的には,単焦点コンタクトレンズと眼鏡レンズでは調節および輻湊の要求が異なる。本研究の目的は,これら2つの矯正方法を臨床で使用する際にこれらの違いが存在するか明らかにすることである。そのため,近視を眼鏡またはソフトコンタクトレンズ(SCL)で矯正した学生集団において,調節(調節幅,accommodative facility,調節反応)および両眼視機能(近・遠の水平・垂直dissociated phorias,近・遠のassociated phorias,近・遠の陰性・陽性融像性輻湊,vergence facility,輻湊近点,陰性・陽性相対的調節,stimulus AC:A 比および立体視)を特徴付ける異なる視覚パラメータについて評価を行なった。

方法:平均年齢19±2.4歳の習慣的にコンタクトレンズおよび眼鏡使用をしている30名を対象に,すべてのパラメータを2回に分けて測定した。調節幅,調節反応,stimulus AC:A比などのいくつかのパラメータは、臨床で一般的に使用されている2つの測定方法を用いて測定した。各パラメーターについて3回測定し平均をとった。統計分析にはStudent's t-testを用いた(p値<0.05)。

結果:SCLを使用した場合,眼鏡と比較して調節ラグが大きい,相対的調節力が負である,近方での内斜偏位のdissociated phoriaが大きい,近方視における融像性輻湊が負である,という統計的有意差が認められた。

結論:本研究の結果は,コンタクトレンズを使用することにより,眼鏡と比較して,調節機能および輻湊機能が低下する明確な傾向を示している。この低下の傾向は,調節機能では統計的に有意ではなかったものの,コンタクトレンズ使用時に調節過程における時間的不全が起こり,それによって関連する過剰輻湊を減らすために調節ラグが生じる可能性があることを示唆している。これは,輻湊機能において,より内斜偏位が見られることで現れるだろう。この研究で発見されたSCLの高い調節ラグは,近業でのSCLの長期使用によって,多くの研究で指摘されているように,近視の発症と進行の危険因子である継続的な遠視性デフォーカスを引き起こす可能性があることを示唆していると考えられる。

※コメント
コンタクトレンズが調節ラグを引き起こしやすい可能性がある事がわかりました。
本研究対象者の年齢は平均19歳であることから、小児(学童)に対しても同様な結果が示されるのか気になるところです。

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