91. 小児期発症で過去に手術を受けたことのない成人患者において,成人期に満足な眼位が達成されれば,手術後にARCを得られることが示唆される

Late Surgical Correction of Longstanding Constant Strabismus in Adults: Is Fusion Possible in All Successfully Aligned Patients?

Tomaç S, Uyar E, Akın T, Mutlu FM, Altınsoy Hİ. J Binocul Vis Ocul Motil. 2020 Jul-Sep;70(3):109-114. doi: 10.1080/2576117X.2020.1787017. Epub 2020 Jul 16. PMID: 32673179.


目的:幼児期から恒常性の斜視を有する成人において,後期手術による矯正が融像をもたらすかどうかを明らかにすること。

材料と方法:この研究は過去に手術を受けたことのない,早期発症の斜視の病歴を持つ成人34名を対象とした前向き研究である。術前と術後6週目に,Bagolini striated glasses (SG),Worth four-dot (W4D) test,cover test,4-prism diopter (4PD) testの検査を受けた。

結果:平均年齢23.8歳,17名が内斜視,17名が外斜視であった。術前,全例が30⊿から60⊿の顕性水平斜視を示し,抑制があった。術後6週目の時点で,33名の患者の水平方向の顕性偏位は15⊿未満(範囲:2~14⊿,中央値:6⊿)であり,4PDテスト,カバーテストによって正位の者はいなかった。これら33名の患者全員が近見SGで網膜対応異常(ARC)であり,25名(75%)は近見W4DテストでARCであった。

結論:本研究は患者数が限られているが,小児期発症で抑制を伴う,過去に手術を受けたことのない成人患者のほとんどすべてにおいて,成人期に満足な眼位が達成されれば,手術後にARCを得ることが可能であることを示唆している。

※コメント
年齢の範囲は20-44歳。
術後ARC-fusionを獲得できず抑制を示した症例では,弱視既往がfactorとして有意なようです。


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