232. 軽度のVパターンまたは垂直偏位を伴う外斜視における外直筋挿入部の下方変位

Inferior displacement of the lateral rectus muscle insertion in exotropia with mild V-pattern or vertical deviation

Shen T, Yang R, Kang Y, Ye Q, Wen Y, Wen F, Yan J. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2023 Aug 22. doi: 10.1007/s00417-023-06207-w. Epub ahead of print. PMID: 37606824.


背景:軽度のVパターンまたは垂直偏位を呈する外斜視患者の臨床的特徴と術中所見を述べ、下方に変位した外直筋(lateral rectus:LR)挿入部の解剖学的再配置の手術成績を検討する。

方法:連続した42症例について詳細な眼科的評価を行い、術中に水平直筋の挿入部を検出した。LR筋の挿入位置の変位は、古典的な後転切除術(recession-resection)を伴って修正された。

結果:下方に変位したLR筋の挿入が19例(A群)で検出されたが、残りの23例(B群)は正常な挿入であった。正常位置からの挿入部変位の平均距離は2.92±1.05mm(範囲:1.0-4.0)であった。軽度のVパターンはB群(47.8%、11/23例)よりもA群(78.9%、15/19例)で多く、Vパターンの大きさもA群(6.16±3.91⊿)はB群(3.43±3.92⊿)より大きかった。A群では、患眼の眼底の外方回旋(9.68±4.77°)が対眼(5.91±5.82°)より大きかった。2か月後の経過観察では、軽度のVパターンと軽度の垂直偏位は上方移動(upward transposition)により矯正された。術前のmisalignmentsとmisalignmentsの矯正量には有意な相関が確認された。

結論:軽度のVパターンや垂直偏位を示す症例の半数近くは、LR筋の挿入部が下方にずれていることに起因しているため、術中にLR筋の挿入部を確認することが強く推奨される。上方移動(upward transposition)は、軽度のVパターンと垂直偏位の両方を効果的に矯正する可能性がある。

※コメント
半数の症例にLRの挿入部位異常があるかはさておき、V-pattern矯正と上下偏位の矯正にtranspositionをすることについては理にかなっていると思います。臨床的に難しくなるのが「こちらの眼で治したい」という希望があり、LRを上方移動するべき眼が上下偏位の上側の眼であった場合です。よくある話です。

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