146. 微小斜視(microtropia with identity)は、不同視患者における弱視の有無の信頼できる指標となるか?
Is microtropia a reliable indicator of the presence of amblyopia in anisometropic patients?
Lysons D, Tapley J. Strabismus. 2018 Sep;26(3):118-121. doi: 10.1080/09273972.2018.1503308. Epub 2018 Jul 30. PMID: 30060696.
目的:「straight-eyed」の不同視小児の光学治療において、microtropia with identityの存在が弱視の有無、および遮閉の必要性を示す信頼できる指標となるかどうかを明らかにすること。
方法:10年間にわたり、学校での視力検査で紹介されたすべての小児について、レトロスペクティブなケースノートのレビューが行われた。視力差があり、明らかな斜視がなく、不同視(どの経線でも眼間差が1D以上)を矯正する眼鏡を処方された小児を研究の対象とした。4Dプリズムテストを用いてmicrotropia with identityの有無が記録され、視力の結果によって以下のようにグループ分けされた:(処方は完全矯正)
グループ1:光学治療2か月後に視力が等しい
グループ2:光学治療6か月後に視力が等しい
グループ3:光学治療6か月後に視力差がある-遮閉法を実施しない
グループ4:光学治療6か月後に視力差がある-遮閉法を実施した
結果:合計532人の小児の症例記録が入手できた。532人のうち、324人が光学治療のみで等しい視力となり、微小斜視はなかった。30名の微小斜視は、光学的治療により患眼のLogMARが0.20以上となり、遮閉法を受けなかった。178名の児は、最大LogMAR0.30以上となったため遮閉法を必要とし、全員が微小斜視だった。
結論:532人の4~5歳児を対象としたこの研究では、microtropia with identityを持たない「straight-eyed」の不同視児には弱視が存在しなかった。この研究は、「straight-eyed」不同視児の光学治療後の弱視の存在、および遮閉治療の必要性の可能性を示す指標として、microtropia with identityが信頼できることを示唆している。
※コメント
4⊿Testの結果でmicrotropia with identityの有無を確認しています。そのことから、結果にバイアスが大きくかかると思われます。
microtropia with identityという意味合いではなく、シンプルに4⊿Testが陰性である(=抑制暗点がない、もしくは小さい)ため、視力が向上したと考えることもできると思います。
つまり抑制暗点があれば視力向上も停滞するため、遮閉法が必要である、という方向に舵をとることもできるかなと、個人的には思っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?