308. 脳幹腫瘍の初発症状として急性後天性内斜視を呈した2例の小児患者:症例報告

Two Pediatric Patients with Acute Acquired Comitant Esotropia as the First Symptom of Brainstem Tumor: A Case Report

Yagasaki A, Miyase T, Sakai S, Mochizuki K, Sakaguchi H, Yagasaki T, Ohe N, Yasue S, Endo S, Ozeki M. Case Rep Ophthalmol. 2023 Nov 8;14(1):613-619. doi: 10.1159/000534709. PMID: 37946847; PMCID: PMC10631780.


はじめに:急性後天性内斜視(Acute acquired comitant esotropia: AACE)とは、同側性複視が急性発症の内斜偏位、調節性ファクターもしくは麻痺性眼球運動を伴わない共同性内斜視である。AACEの診断には、中枢神経系の異常による非共同性斜視との鑑別が必要である。我々は、脳幹腫瘍の初発症状としてAACEを呈した2例の小児患者を紹介する。

症例提示:2名の患者は複視を自覚しており、他の神経学的異常はなかった。前眼部、中間透光体、眼底に特別な所見はなかった。遠見固視と近見固視の差は10Δ以内であった。眼球運動は正常で、プリズム中和下でのヘス赤緑試験で外転制限は認められなかった。両患者のAACEの原因はデジタルディスプレイの過度の使用と推定され、神経学的異常がないことを確認するためにMRIが行われた。MRIにより、外転神経麻痺を伴わないびまん性正中神経膠腫と髄様毛様細胞性星細胞腫に伴う共同性内斜視の併発から、AACEの確定診断がなされた。

結論:脳幹腫瘍によるAACEの発生率は低いかもしれないが、病因を確認するためには頭部画像診断を行う必要がある。また、外転神経麻痺の鑑別にはプリズム中和下でのHess赤緑試験が重要と考えられる。

※コメント
日本からの報告です。
プリズム中和下のHessはしたことがありませんが、膜プリズムを装用して(両眼等量に分割して)の測定のようです。

*参考文献
Koh KM, Samuel Kim U. Fresnel prism on Hess screen test. Case Rep Ophthalmol Med. 2013;2013:187459. - PMC - PubMed

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