105. AC/A比の増加は近視になる初期症状であり,より大きな調節ラグと関連するが,近視の進行速度には影響しない

The Response AC/A Ratio Before and After the Onset of Myopia

Mutti DO, Mitchell GL, Jones-Jordan LA, Cotter SA, Kleinstein RN, Manny RE, Twelker JD, Zadnik K; CLEERE Study Group. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2017 Mar 1;58(3):1594-1602. doi: 10.1167/iovs.16-19093. PMID: 28291868; PMCID: PMC5361580.


目的:近視発症前,発症中,発症後のAC/A比を調査すること。

方法: Collaborative Longitudinal Evaluation of Ethnicity and Refractive Errorに参加した6歳から14歳の近視になった小児698名と正視の小児430名を対象とした。屈折異常の測定は,調節麻痺下オートレフラクション,保護者調査による近業,輻湊と調節反応の同時モニターによるAC/A比を用いた。近視になった小児のAC/A比を,近視になる5年前から近視になった5年後までの,年齢,性別,民族を一致させた近視小児のモデル推定値と比較した。

結果: response AC/A比は,発症5年前から2群間で有意差はなく,その後,近視になった小児は単調に増加,近視発症時に約7⊿/Dのプラトーに達したのに対し,正視のままの小児は約4⊿/Dに達した(発症4年前から発症5年後の群間の差はP < 0.01で有意)。AC/A比が高いほど調節ラグが大きくなるが,近業レベルにかかわらず近視の進行速度には関係しなかった。

結論:AC/A比の増加は近視になる初期症状であり,より大きな調節ラグと関連するが,近視の進行速度には影響しない。調節ラグとの関連は,AC/A比の増加が,調節性輻湊のクロスリンクの利得関係の変化というよりも,調節1Dあたりに必要な神経系の努力の増大によるものであることが示唆される。

※コメント
AC/A比の増加は近視になる過程において役割をはたしているようですが,その後の進行速度に関連はないようです。

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