117. 電子的にモニターされた遮閉中の眼間抑制は,視力との複雑な関係を示唆し,斜視の存在に影響されるようである

Dynamics of Interocular Suppression in Amblyopic Children during Electronically Monitored Occlusion Therapy: First Insight

Kehrein S, Kohnen T, Fronius M. Strabismus. 2016 Jun;24(2):51-62. doi: 10.3109/09273972.2016.1170047. Epub 2016 May 24. PMID: 27220458.


目的:眼間抑制は特に斜視弱視において視力低下をもたらすメカニズムであると想定されている。治療中の抑制の動態についてはほとんど知られていない。本研究の目的は,電子モニターによる遮閉治療中の抑制の深さの変化と視力の変化との関係を評価すること。

方法:前向きパイロット研究。5歳から16歳(平均10.24歳)の弱視15名(斜視あり8名,斜視なし7名)に対して,遮閉開始前,その後3~6週間ごとに4か月間検査した。抑制を定量化するために,レッドフィルターラダー(Sbisa bar)を使用し,患者が両眼知覚(複視,闘争,色の混同)または利き目の変化を自覚するまで利き目の画像を減衰させた。視力は,字づまりのランドルト環で評価した。毎日の遮閉は電子モニターで記録した。

結果:眼間抑制の深さは二相性の変化を示した;最初の1か月で有意に増加し(P=0.02),視力は改善した(平均0.14 log units ±0.13; P<0.01)。その後3か月間,抑制の中央値は初期値まで減少した。この抑制の減少は,斜視のある弱視患者よりも斜視のない不同視の患者でより顕著であった。平均視力は,4か月間の治療で着実に向上した(P<0.01)。記録された遮閉率の平均は3.91 h/日であった。1日の平均遮閉時間と抑制の変化の相関は統計的に有意ではなかった。

結論:電子的にモニターされた遮閉中の機能変化に関するこの最初の洞察は,視力と眼間抑制の間の複雑な関係を示唆し,斜視の存在に影響されるようである。眼間抑制の相互関係に関する知識は,遮閉治療の成果を高めるために,また,新たな両眼治療と比較した場合の今後の役割を評価するために極めて重要である。

※コメント
視力と眼間抑制は比例関係ではないようです。
治療初期には眼間抑制が増加し,その後減少する機序について調べてみたいと思います。

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