4. 近視の低矯正の小児では読書距離が短くなるため、近視の進行を遅らせるための戦略として近視の低矯正は勧められない

Effect of Myopic Undercorrection on Habitual Reading Distance in Schoolchildren: The Hong Kong Children Eye Study

Tang SM, Zhang XJ, Wang YM, Zhang Y, Wong LM, Chan HN, Zhang BN, Chu WK, Kam KW, Young AL, Tham CC, Chen LJ, French AN, Rose KA, Pang CP, Yam JC. Ophthalmol Ther. 2022 Dec 27. doi: 10.1007/s40123-022-00628-2. Epub ahead of print. PMID: 36574139.

はじめに:この研究は、近視でない子供と近視矯正が不十分(低矯正)な子供と矯正が十分な子供(完全矯正)の習慣的な読書距離を評価することを目的とした。
方法:6-8歳の小児2363人を対象とした人口ベースの横断研究である。読書机から5m離れた場所に設置した隠しビデオカメラで、読書の全過程(9分間)を記録した。読書距離は、読書開始後6分、7分、8分、9分に測定し、MATLABで開発したカスタマイズされたコンピュータプログラムを用いて測定した。主な結果は、習慣的な読書距離と屈折との関連である。児童の習慣的な読書距離は、ビデオカメラの映像によって記録された。
結果:近視低矯正の子供の習慣的な読書距離(23.37 ± 4.31 cm)は非近視の子供(24.20 ± 4.73 cm, P = 0.002) と完全矯正の子供 (24.81 ± 5.21 cm, P < 0.001) に比べて短く、後者2つの子供グループの間には有意差はなかった (P = 0.17).年齢,性別,身長,近業時間,屋外時間,親の近視を調整すると,読書距離が短いほど近視と関連していた(OR 1.67; 95% CI 1.11-2.51; P = 0.013).読書距離と近視の関連は、近視低矯正の子供を除外しても保たれなかった(OR 0.97, 95% CI 0.55-1.73; P = 0.92).読書距離が短いほど、習慣的矯正下での視力が低いことと相関していた(β = - 0.003, P < 0.001)。
結論:近視の低矯正の小児では、読書距離が短いことが認められた。近視の進行を遅らせるための戦略として、近視低矯正は勧められない。

※コメント
なぜ低矯正だと読書距離が短くなるのか気になるところですが、低矯正眼鏡のメリットを打破する論文の一つとしては非常に有用な報告だと思います。

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