207. 小児の近視進行抑制における低濃度アトロピン点眼薬の効果:1年および2年間の追跡調査

Effect of Low-Concentration Atropine Eye Drops in Controlling the Progression of Myopia in Children: A One- and Two-Year Follow-Up Study

Zhang H, Yang P, Li Y, Zhang W, Li S. Ophthalmic Epidemiol. 2023 Aug 1:1-9. doi: 10.1080/09286586.2023.2232462. Epub ahead of print. PMID: 37528608.


目的:アトロピン点眼は近視の進行を遅らせることが示されているが、0.05%アトロピンの近視治療効果に関する研究は限られている。本研究では、小児の近視抑制における0.05%アトロピン点眼薬の安全性と有効性を検討することを目的とした。

方法:本研究には、2015年1月1日から2021年1月1日までの間に6歳から12歳までの424人が参加した。このうち213人が0.05%アトロピン群に、211人がプラセボ群に無作為に割り付けられた。IOLMasterを用いて、調節麻痺下等価球面度(SE)、眼軸長(AL)、角膜曲率(K)、前房深度(ACD)を測定した。レンズの度数と角膜乱視も測定した。眼生体パラメータの変化を2群間で比較し、SEの進行に対する眼特性の寄与を計算して比較した。

結果:12か月間の等価球面値の変化は、アトロピン群で-0.03±0.28、プラセボ群で-0.32±0.14であった(P = 0.01)。眼軸長の変化はそれぞれ0.06±0.11と0.17±0.12であった(P = 0.01)。18か月後と24か月後には、アトロピン群とプラセボ群の間で、眼軸長と等価球面値に有意差がみられた。AL、K、レンズ倍率の変化を考慮した重回帰モデルでは、アトロピン群とプラセボ群におけるSEの変化のそれぞれ87.23%と98.32%を説明した。1年後(p = 0.01)および2年後(p = 0.03)、アトロピン群とプラセボ群の間で羞明感に有意差がみられた。

結論:この2年間の追跡調査により、0.05%アトロピン点眼薬が学童期の近視の発症予防に安全かつ有効であることが示された。

※コメント
濃度が高い方が、近視進行抑制効果は強くなります。落とし所が悩ましいですね。
屈折値、眼軸長双方において、臨床的意味合いで本当に意味があるのはどこなのか。
もっと議論が必要だと個人的には思います。

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