135. 弱視眼における固視不安定性の低下は視力低下でシミュレートできないことを示唆していることから,弱視眼の固視不安定性は視力低下だけの直接的な結果ではない可能性がある

Reduced amblyopic eye fixation stability cannot be simulated using retinal-defocus-induced reductions in visual acuity

Raveendran RN, Bobier W, Thompson B. Vision Res. 2019 Jan;154:14-20. doi: 10.1016/j.visres.2018.10.005. Epub 2018 Nov 10. PMID: 30389388.


弱視は視力の低下と固視安定性(fixation stability:FS)の低下が関連している。視力低下が固視安定性の低下を引き起こすかどうかを評価するため,弱視患者と対照者を対象に,網膜デフォーカスによる視力低下が固視安定性に及ぼす影響を測定した。弱視患者8名と対照者12名において固視眼球運動を測定した。次に,対照群の一部(n = 5)の単眼近見視力を,凸レンズを用いて20/20から20/100まで変化させた。弱視群では,1)弱視眼で固視,2)両眼で固視,3)弱視眼に合わせて視力(VA)を下げた状態の両眼で固視,という3つの単眼条件を実施した。固視眼球運動は,二変量輪郭楕円面積(bivariate contour ellipse area:BCEA)とmicrosaccadic振幅を用いて定量化した。弱視眼のBCEAは,両眼および対照眼と比較して有意に大きく,microsaccadic振幅が増加した。BCEAとVAは弱視眼において正の相関があった。網膜のデフォーカスによるVA障害は,両眼のVAを弱視眼のVAと一致させても,対照眼や弱視の両眼でFSは低下しなかった。このことは,弱視眼におけるFSの低下は,急性のVA低下でシミュレートできないことを示唆している。したがって,弱視眼のFSの低下は,VA低下だけの直接的な結果ではない可能性がある。これまでの研究と同様に,弱視眼のBCEAとVAの間に相関が見られた。この関係は,第3の媒介変数,あるいは固視眼球運動がVAに及ぼす影響によるものである可能性がある。

※コメント
視力が悪いために固視が不安定になるのではなく,固視が不安定なため視力が不良となる。日常臨床の疑問を解決してくれる内容の報告でした。

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