61. 良好な立体視を伴う調節性内斜視の遠視消失の年齢は13.5歳であり,遠視の程度は,内斜視の角度や矯正眼鏡の中止が成功した年齢と相関する。

Clinical evaluation of cessation of hyperopia in 123 children with accommodative esotropia treated with glasses for best corrected vision

Cho YA, Yi S, Kim SW. Acta Ophthalmol. 2009 Aug;87(5):532-7. doi: 10.1111/j.1755-3768.2008.01255.x. Epub 2008 Aug 28. PMID: 18759801.

目的:調節性内斜視(AE)患者における,遠視が内斜視角および眼鏡中止時の年齢に及ぼす影響と,遠視眼鏡の中止に成功した年齢を明らかにすること。

方法:1999年3月から2005年2月までに完全な正視化を達成し,遠視用眼鏡を使用せずに正位を維持した123名のAE患者を対象に後向き研究を実施した。すべての患者は,最良の矯正視力と融像を維持する事のできる可能な限り弱い遠視眼鏡を処方されていた。

結果:純粋なAEが64名,部分AE (部分調節性内斜視)が59名であった。初診時,56.1%の患者の屈折は3.00-5.00D(平均調節麻痺下球面等価[SE])であった。矯正しない場合の内斜視角は,純粋なAEでは30.90±14.80Δ(平均±標準偏差),部分AEでは42.70±15.19Δだった(p = 0.000 )。部分AEにおける非調節成分は,24.07±14.90Δであった。眼鏡中止時の平均年齢は13.50±3.81歳であった。立体視は,初診時に70.2%,最終診察時に96.4%の患者に認められた。ピアソンの相関係数は,遠視の程度と光学的に矯正された内斜視角の間でr=0.480(p = 0.000),遠視の程度と矯正用眼鏡の中止に成功した年齢の間でr=0.434(p = 0.000)であった。

結論:良好な立体視を伴う遠視消失の平均年齢は13.5歳であった。遠視の程度は,内斜視の角度や矯正眼鏡の中止が成功した年齢と相関しているようであった。

※コメント
本研究の正視化は,
純粋なAE:-0.34±0.11 D /年
部分的AE:-0.32±0.13 D /年 と既報よりも少し大きい。本文中では遠視の低矯正眼鏡がこの結果を反映している可能性があると論じています。
ちなみに正視になり遠視眼鏡を中止した平均年齢は13.5歳ですが,範囲は6.5 ~ 26歳のようです。

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