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My role 44話


5期生オーディション
締切前夜


菊池:今何件来てる?

○○:今は...ざっと45,000ちょいですね

菊池:はっ!?マジ!?

○○:はい笑

菊池:少し見ないうちにこんなに....
○○君、少しずつ見てる?

○○:ざっと目は通してます
一応、全項目埋まっていることを確認しているだけですが...

菊池:オッケー....


乃木坂の運営側としてはそれだけ応募してくれた事が嬉しいのだが…

オーディションを開催している立場としては、全部目を通すのかという、途方のない作業を目の前に軽く絶望する



○○:書類の段階だと何を見ていきます?

菊池:まぁまず、応募条件と一致しているかどうか
年齢とかかな

○○:なるほど...

菊池:あとは名前をいったん見ずに、特技やアピールポイントを見るかな

○○:あの...名前を見ないというのは...


菊池:変な色眼鏡をつけないためだよ

○○:というと?

菊池:ここに応募してきてくれている子たちは、皆素敵な子たちだよ
そこから我々が選んで行かないといけない

その時に、じゃあ知り合いがいたら?
スポンサーやCMでお世話になっている企業の娘がいたら?


贔屓するかい?


○○:いえ!そんなことは...

菊池:でも、心理的に起きてしまうんだよ
まぁ○○君に心配はしてないけどね

○○:なるほど....
確かにそこは平等に見ていきたいですからね

菊池:そういうこと



応募してくれた以上は審査は平等


なら....




カチャカチャカチャ


菊池:○○くん?


○○:これをこうして…っと
一応名前はマスクできるようにしました!

菊池:....マスク?

○○:あぁ....笑
名前を隠すようにすることです笑

菊池:あっ、そういうことね笑
じゃあこれからくる奴も全部できるように....

○○:あっ、もうできるようになってます!

菊池:はやっ!

○○:得意分野なので笑

菊池:そうだった笑
○○君が優秀すぎて忘れてたよ笑

○○:いえそんなことは...

菊池:どうせプログラミングで組んだんでしょ?

○○:....よくお分かりで笑

菊池:もうわかるよ~笑
じゃあ引き続きよろしく!

○○:はいっ!



それから菊池さんはレッスンの方へ戻っていった
メンバーは全国ツアーの準備でレッスンも佳境


ましてや桃子の卒業のセレモニーもあるから、大忙し



自分は今回はオーディションの方に集中してくれとのことだったから....
メンバーに会えないのは少しだけ寂しいけど....

これも仕事だからしょうがない




そしてオーディションの締切当日


○○:....なんか重いなぁ



挙動がいつもより遅く、オーディションのページの読み込みに時間がかかっている


○○:...まさか!


今までは1日多くても5000件ぐらい
だけど、締切のギリギリということでこちらの想定を大きく超える申し込みが来ているかもしれない


このせいでサーバーに負荷がかかりすぎているかもしれない

そう思い、協力会社さんに連絡を取ると...



○○:お疲れ様です!すみません...
今、サーバー重くないです?

「それを相談しようと思ってた所なんですよ!」

○○:やっぱ重いですよね?

「はい、これまでの倍の申し込みが流れている感じなんで」

○○:これ以上増やせます?

「頑張ってはみますが、締切当日にこれだけ来てると...」

○○:さすがに....ですよね

「ですね....今以上に増えそうですし」

○○:....ちょっと上に相談してみます

「承知です。こちらも引き続き軽くできるかやってみます」

○○:お願いします




そしてそのことを菊池さんに相談すると....


菊池:申し込みたいのに申し込めない状況が起きてしまっているのか....

○○:はい....

菊池:締め切り延長ってできるんだっけ?

○○:おそらく、できます

菊池:....懸念点は?

○○:懸念しているのは、延長したとしても明日も同じ状況にならないかどうか…ですかね

菊池:軽くできないの?

○○:今、一生懸命やってくれていますが...

菊池:そうか...
分散をお願いして延長、がベストかな

○○:わかりました
その方向で、SNS等に案内出します

菊池:うん、お願い




サーバーが重いことは既にSNSでもファンの人につぶやかれていて...


「延長してあげてほしい」

この声が一番多かった



自分の準備不足のせいでもあるんだけど....

それでもオーディション受ける側の気持ちになってくれるファンの人たちの声を見て、なんか嬉しくなる




そして...

【ニュース更新】
オーディション受付8月11日まで延長のお知らせ


このニュースが更新されると....




○○:ふふっ...優しい人ばかりだな

更新されたことを知らせるSNSのコメント欄には....


「応募する方頑張ってください!」
「ここから受かったらシンデレラストーリーだなぁ~」


などの暖かいコメントが多く散見された




ただ、一つ忘れていたことがある

SNSは基本、会社支給のスマートフォンで更新しているため気がついていなかったが....
この日は...



蓮加:ねぇ、史緒里?

史緒里:ん?

蓮加:今日さ、飛鳥さんの誕生日じゃん?

史緒里:うん!みんなお祝いコメントをグループに書いてるよね!

蓮加:そうなんだけどさ....

"○○、何も書いてないよね?"


史緒里:....ほんとだ

蓮加:やっぱり...
あのバカ....

史緒里:でも、オーディションの事でバタバタしてるんじゃない?
ほら、延長されたって聞いたし!

蓮加:わかってるけどさ....

史緒里:ふふっ、○○君のこと気にしてるんだね?

蓮加:......私の憧れの人の誕生日に何もしないのが気に入らないの!

史緒里:またまた~、強がっちゃって~

蓮加:あぁ~もう!なんで史緒里に相談しちゃったかなぁ...

史緒里:どんま~い笑



そう、8月10日は飛鳥の誕生日


そんなことすっかり忘れていた

だから...

蓮加L:○○!ちゃんと飛鳥さんにおめでとうのラインしておくんだよ?


自分のスマホに来ていた、この通知を見て思い出した


○○:やばっ...
飛鳥の誕生日忘れると、日芽香に怒られる...

飛鳥と従姉妹の日芽香は、卒業後も仲がよく一緒にご飯に行く仲



だからそこで言われてしまうと....
なんていじられるかわからない....



飛鳥:...なぁ~んて考えてたんでしょ?


○○:!?
びっくりした....

飛鳥:通りで○○からの連絡がないわけだ

○○:その....ごめん

飛鳥:誕生日に謝られるの嫌なんだけど笑

○○:いや...なにも準備できてなかったし...
それにこんな時間だし...

飛鳥:はぁ...まっ、いいや
○○、この後もまだ仕事?

○○:えぇっと....



『こっちは大丈夫ですよ~』


いっしょに作業してくれている人たちからそういわれると....


飛鳥:...じゃあ、○○借りていきま~す

○○:ちょ...おい


そういって連れていかれる
そして...


飛鳥:乗って?

○○:...これ?

飛鳥:そう

○○:...俺の送迎用の車なんだけど

飛鳥:うん、そうだね

○○:....で、どこ行くの?

飛鳥:諦めた笑

○○:...まぁ、誕生日だし...

飛鳥:ふふっ
じゃあ、今日は○○の奢りだね

○○:...あまり高いのはやめてよ?

飛鳥:わかってるって♪
よかったねぇ、えんぴー


○○:...はい?


すると後部座席からゴソゴソ音がしたかと思うと...


さくら:プハッ

○○:はっ?なんでいるの!?

飛鳥:なんか事務所でもじもじしてたから連れてきた

○○:だからって...

飛鳥:いいじゃ~ん
えんぴーは私の子だし

○○:...わかりましたよ...


そういってご飯屋を予約しておく
まぁいつも日芽香と行くところだけど



飛鳥:それで?
オーディションの方はどうなの?

○○:かなり大変だよ
今日で5万は超えるくらい集まったし

さくら:すごい...

飛鳥:乃木坂はこれからも安泰だね
でも、なんかトラブってたんでしょ?

○○:まぁね
でも何とかなりそう

飛鳥:そっか...ならよかった
ほら、えんぴーも聞きたいこと聞いておかないと

さくら:えっ...あっ...
その...つ、ツアーには来てくれないの?

○○:ちょっと厳しいかもなぁ

さくら:そっか...

○○:行きたい気持ちはもちろんあるし....
桃子の最後も見たかったけど...

オーディションを進めないといけないからね


さくら:そっか...そうだよね

飛鳥:桃子とは話をしたの?

○○:うん、流石にしたよ

さくら:桃子さんはなんだって?

○○:泣きそうな顔で、「そっか、頑張ってね」って言われた

飛鳥:...そっか

○○:あれは堪えたね...
申し訳ない気持ちしかなかった

さくら:...桃子さんは○○のことほんとに信頼してたから
悲しかったんだと思うよ

飛鳥:まぁ、そうだろうね
感謝を伝えたいスタッフがいないっていうのは、ね

○○:...

飛鳥:でも、○○も仕事だもんな

○○:...桃子にはまた何か別の機会にご飯一緒に行くよ

飛鳥:うん、そうしてあげな
で、着いたの?

○○:うん、ちょっと先に入ってて
車置いてくるから

飛鳥:わかった
じゃあえんぴー、行こ?

さくら:はいっ!

飛鳥:早く来なさいよ?

○○:わかってますって...笑


そういって近くの駐車場に車を置きに行き、あるものを酒屋で購入し店へと急ぐ




一方...

飛鳥:へぇ...
こんなお店近くにあったんだ

さくら:ですね...

飛鳥:あれ?○○に連れてきてもらったことないの?

さくら:ないんです...
なんなら○○とご飯食べるのすら初めてです...

飛鳥:あいつ...
(こういう時、あいつチキるんだよなぁ....笑)


お店の中へ入ると...

店員:いらっしゃいませ
お客様、ご予約はされてますか?

飛鳥:えぇっと...
中元○○の名前でしていなければ...

店員:中元○○様ですね...
ご予約承っております

ご案内いたしますね、どうぞ


そういって個室へ通される



さくら:すごい...
あの短時間で予約してるなんて...

飛鳥:まぁ○○はできる男だからね~

さくら:ほんとにすごいなぁ....
私なんて同期すら一緒にご飯行っても付いていくだけだったから

飛鳥:えんぴーはそうだろうね...笑


○○:ごめんごめん、遅くなった

飛鳥:遅いぞ

○○:だからごめんって

飛鳥:まぁ予約してくれてたからいいけど...

○○:ここは日芽香とよく来てるところだからね~
少しだけ融通を聞かせてもらえるんだ

飛鳥:あっ、納得



それからいろいろ注文し...

○○:じゃあ、飛鳥
誕生日おめでとう!乾杯!

『乾杯!』


ツアーで忙しいなかっていうのもあるから、ノンアルのビールで乾杯

飛鳥:プハァ
うまっ

さくら:プハァ
うまっ...


○○:ふふっ、全く同じ反応...笑



それからいろいろ話をした

飛鳥の仕事の話とかさくらの苦悩話とか...



そして...


さくら:ちょっとお手洗い行ってきます

○○:はいよ~、場所はわかる?

さくら:うん、大丈夫

飛鳥:親か、あんたは!笑

○○:違うわ笑


さくらが席を外したタイミングを狙って...
飛鳥が話し始める


飛鳥:まぁ...でも気にしてあげてよ
えんぴーも蓮加も

○○:うん...そのつもり



飛鳥:...ここまでさ、続くとさ
考えるんだよね

○○:えっ?早くない?

飛鳥:今すぐじゃないよ?さすがに
でも考え始める時期ではあるの

○○:そっか...

飛鳥:多分、これで5期生が入って来てすぐセンターが出るでしょ?
今までの流れ的に

○○:...かもね

飛鳥:それを支えて...なんて言ってたら1期生なんて何人残ってるか

○○:....



飛鳥:○○から見て3,4期で...
乃木の顔になりそう、もしくはなっているって子って誰だと思う?

○○:...3期は山下、与田かなぁ
4期はさくら、かっきー、あやめとか?

飛鳥:ほぉ....

○○:飛鳥の見立ては?

飛鳥:基本は○○のやつ
だけど、3期はあと久保と蓮加も入ってくると思ってる
あっ、梅はキャプになるだろうから一旦置いといてね

○○:蓮加も?

飛鳥:そりゃそうでしょ
あれだけステージで映える子、センターに置かないの?

○○:いや...まぁ...

飛鳥:まぁ、気にかけてあげてよ
たぶん、あの子は化けるから

○○:そりゃ...まぁ....

飛鳥:ふふっ、なら安心

でも...5期生かぁ...
どんな子がくるかなぁ


○○:楽しみ?

飛鳥:楽しみでもあり、ちょっとだけ怖さもある

○○:へっ?

飛鳥:う~ん...
なにがっていうとわかんないけど...

○○:...まぁ、入ってきて思うことあったらまた教えてよ

飛鳥:うん、そこはわかってるよ
でも...5期が入ってきたら○○がそのまま担当のマネージャー?

○○:いや、そこまでは何も言われてない

飛鳥:けど、可能性は高そうだよね

○○:まぁね

飛鳥:まぁ、何かあったら言いな
協力できることはするから

○○:珍しい...

飛鳥:珍しいってなんだ!
あすちゃんの優しさだぞ!

○○:はいはい...笑
ありがと、頼むね

飛鳥:もう...
誕生日ガールの扱いがひどい気がするんだけど

○○:だって飛鳥が素直なのが珍しくて....笑

飛鳥:私はいつでも素直ですけど!?

○○:いや~

飛鳥:おい

○○:...そういうところ

飛鳥:...まっ、○○はスタッフさんの中でも一番信頼しているから

○○:ありがと



さくら:戻りました~

○○:おっ!おかえり
さくらはもう渡した?

さくら:フリフリ

○○:じゃあ一緒に渡そっか

さくら:うんっ!

○○:じゃあ改めて...

『飛鳥(さん)お誕生日おめでとう!』


無事にプレゼントも渡せたし、急遽開催された飛鳥誕生会も無事に終わっていった




蓮加:結局グループに送んなかったな、あいつ...


蓮加のLINEを結果的に無視してしまったことを怒られるのだが....
それはまた別の話





To Be continued...






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