agian again again ⑤
『工藤!工藤!工藤!』
サポーターに挨拶した後、それぞれ応援歌がコールされる
茉央:○兄や!
陽子:なっ!
なんか身体また大きくなったよね?
茉央:うんっ!大きくなった気がするっ!
従姉妹同士で盛り上がっている中...
桜:○○さん...
ずっと追いかけていた人が、まさかの茉央の従兄...
その事実にびっくりもしたけど...
なによりずっと追いかけていた人が目の前にいる
それが何よりも嬉しい
そう、思っていたら...
菜緒:桜ちゃんも○○の事知ってるの?
桜:えっ...あっ...はい
菜緒:そうなんだ...
桜:小坂さんも...
菜緒:菜緒でいいよ笑
桜:じゃ、じゃあ...
菜緒さんも○○さんの事、知ってるんですか?
菜緒:う、うん...
桜:えっと...どういったご関係で...
菜緒:...幼馴染、やねん
桜:えっ...
菜緒:...小学生に入るまでの関係やけどな...笑
桜:そう...なんですね...
そういってアップをしてる彼を見つめて、少し寂しそうに笑う小坂さん
なんだろう...
私なんかが入れる隙も無い
そんな風に思ってしまう
菜緒:桜ちゃんは○○とは?
桜:私はそんなに...
菜緒:そう?
私と"同じ"なのかなって思ったのに...
桜:えっ?
菜緒:○○の事...好きなんでしょ?
桜:...はい
菜緒:ふふっ、やっぱね
桜:...○○さんとはアメリカで会ったんです
菜緒:そうなん?笑
桜:はい...
困っているところを助けてもらって、それで...
菜緒:ふふっ、優しかったんやな、あいつ
桜:はいっ!
菜緒:それで惚れちゃったと
桜:コクッ///
菜緒:ふふっ、かわいいね
桜:うぅ///
菜緒:じゃあライバルだ
菜緒も負けへんからね!
桜:はいっ!私も負けないです!
なぜか熱いライバル発言をして、菜緒さんと握手を交わす
その間にも選手たちのアップはどんどん進んでいって...
桜:うわぁ...速いよぉ...
ウォーミングアップ終盤のシュート練習
次々と打たれるシュートを止めまくる○○さん
すごいなぁ...というのと、痛そう...
この2つの想いが自分の大半を占める
茉央:なぁ、○兄すごくない?
陽子:うん...すごすぎる
何回も見てきたであろう2人でさえも驚いているんだから、すごいんだろうな...
そして、あっという間にアップも終わり、試合が始まる
○○さんは、もちろんスタメン
サポーターを背に、一人だけ違うユニフォームを着てゴールを守る
『1』という背番号を背負って...
ワールドカップでいっぱい名前を聞いた選手も多くいた
だけど...
私の視点はずっとゴールマウスを守る彼に注がれていた
試合は前半38分
お兄ちゃんがよくゲームで使っていた『レアルマドリード』にいる
バルベルデという選手に決められた
シュートがゴールの枠に当たった後、もう一回その選手の下へこぼれてきて
無人のゴールへ決められてしまった
○○さんも反応していたんだけど、反応したために決まっちゃった感じで、
それまで何本も止めていただけにとても悔しそうだった
一方の日本代表も、後半25分
途中から出てきた西村選手がクロスに合わせて追いついた
結果は1-1の引き分け
雨の降る国立競技場でランキングも上位のウルグアイに引き分け
よくやったと言ってる人も多いけど...
○○さんは悔しそうにしていた...
茉央:○兄、やっぱかっこよかったなぁ!
陽子:うんっ!この後会えたりはできひんのかな...
茉央:あっ、確かに...
ちょっとスタッフさんに聞いてくるわ~
そういって席から飛び出していく茉央
菜緒:茉央ちゃんって行動力あるよね...笑
桜:はい...笑
陽子:でも、すごい試合でしたよね!
菜緒:そうだね
あの雨の中でね
桜:○○さんもですけど、皆さんすごかったですよね!
陽子:すごかったですよね!
でも、やっぱ○兄ってすごいなぁ...
桜:陽子ちゃんたちと○○さんって従姉妹なの?
陽子:はいっ!自慢の従兄です!
桜:すごいね...
一方...
ピッチ全体に挨拶に回った後、ロッカールームに戻ろうとすると、
入場口にいたのは...
Facundo:Hey,Let's swap uniform!
○○:Sure, sounds good!
How do you like Japan?
Facundo:It's a bit cold.
○○:But isn't it the same
as rainy Manchester?
Facundo:Definitely!
ライバルチームではあるけど、ユースの時からやりあってきたペリストリと談笑をしていると...
広報:工藤、ちょっといいか
○○:はい!
See you at the next match!
Facundo:Yeah!
○○:どうしました?
広報:今日親族来てるのか?
○○:えぇ...まぁ...
広報:会えないかって来てるんだけど
○○:...どうしたらいいすっか?
広報:有名人だろ?お前の従姉妹
○○:まぁ...らしいっすね
広報:明日は...リカバリーだからあってくれば?
どうせ、久しぶりに会う感じだろ?
○○:いいんすか?笑
広報:相手方もあるから、みんなには言わずに行けよ
後で面倒だけは起こさないように
○○:わかりました
広報:それで後でスタッフと一緒にタクシーでホテルに戻ってきて
○○:了解っす!
そういって手首と掌に巻いたテーピングを外しながらロッカールームへ向かう
そして...
急いで帰り支度をして、アイシング用の氷をもらってVIP席へ向かう
茉央:たっだいま~!
陽子:あっ!茉央ちゃん帰って来た!
桜:どうだって?
茉央:ん~...
菜緒:だめだったのかな...
茉央:...いいって!!
陽子:やったーー!
久しぶりに○兄に会える!
茉央:なっ!めっちゃ嬉しい!!
喜ぶ2人を横目に少しだけ離れた位置に移動する
桜:菜緒さんはともかく...
私はいない方がいいですよね...
菜緒:いいんじゃない?
会って驚かしちゃいなよ
桜:でも....
菜緒:いいの?
この機会逃したら、もう会えないかもよ?
桜:...じゃあお言葉に甘えます!
菜緒:うんっ!そうしよう!
そうしてしばらく待っていると...
コンコンコン
茉央:おっ、来たんかな
は~い!
○○:失礼しまーす
茉央:○兄~!
ダッ
ギュ
○○:おぉ!びっくりした...
茉央:○兄!久しぶり!
○○:ふふっ、久しぶりだね
茉央
茉央:へへへ
陽子:茉央ちゃんだけずるい!
○○:陽子も来てたんか!
陽子:そうやで!
ほら、ギュってして!
○○:いいけど...
茉央がどかんと...笑
陽子:茉央ちゃん!はよ、どいてや!
茉央:えぇ~、もうちょっと堪能させてや~
○○:茉央もお姉ちゃんなんやから、譲ったりや
茉央:うぅ....わかった...
○○:ほら、おいで陽子
陽子:やった♪
○○:ったく...
久しぶりに会って大人になったと思ったら、甘えん坊は変わらんな
陽子:そら、そうや!
でも○兄だけやで!こんなに甘えるの!
○○:ほんとかなぁ~笑
姉ちゃんや兄ちゃんは元気?
陽子:元気だと思う
○○:確証はないんかい笑
陽子:だって地元におるから、わからんもん...
茉央:でもお兄ちゃん、免許取ったって言ってたで
○○:マジで!?
大丈夫か、それ
茉央:なっ!そう思うやろ!
家族みんなそう言ってたんよ!笑
○○:そらそうやろ…
かなりおっちょこちょいな兄だったもんな
茉央:うん笑
陽子:でも、○兄かなり大きくなったよな!
○○:あぁ、かもね
最後に会ったのも、もう結構前だもんな
茉央:そやね~
○○:今日は2人で...っ!?
入り口で従姉妹に捕まってしまって見えていなかったけど...
懐かしい人影がもう一人...
菜緒:ふふっ、びっくりしたやろ
○○:お、おう...
なんでおるん?笑
菜緒:おったらアカンか?
○○:そこまでは言ってない笑
菜緒:...久しぶり...やな
○○:でも連絡くれていたから、あまり久しぶりとも思わないけど...
菜緒:まぁ確かにな~
○○:でも、よう来たね
菜緒、家からまっっっったく出ない人やのに笑
菜緒:小っちゃい「つ」が多すぎや!
○○:でもそうやんか笑
菜緒:まぁ...否定はできん...
○○:なっ、せやろ笑
菜緒:うっさいわ、もう...笑
○○:ありがとな
菜緒:...もっと感謝しいや
○○:アイドルの時とは違う人格の菜緒やな笑
菜緒:まぁ...
○○:まっ、そっちの方が俺は接しやすいからいいんやけどね
従姉妹、幼馴染...
みんな何かしらがあって接しているけど...
私は場違いなんじゃないか...
そう思い詰めていると...
〇〇:茉央、あの子って...
茉央:あぁ!私と同期の...
川崎桜ちゃん!
この名前には聞き覚えがあった...
○○:...久しぶり、しゃくらちゃん笑
桜:っ!?
覚えられていた...
忘れられてると、思っていたのに...
To Be continued...
用語解説等...
フェデリコ・バルベルデ MF
ウルグアイ代表
所属:レアルマドリード(LALIGA)
背番号:8
Facundo:ファクンド・ペリストリ MF
ウルグアイ代表
所属:マンチェスターユナイテッド(PL)
背番号:28
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