自慢の弟は一番最後
カキーン
○○:あっ...クッ
ダッ
実況:2番井上打ち上げたー!
パシッ
実況:ショート、取った!
乃木坂第3高校、優勝!
甲子園への道をつかみ取りました!!
~~~~~~~
7月上旬...俺らの最後の夏が終わった
和:...きて、起きて!
○○:ん...おはよ、和
起こしに来たのは、双子の姉の和
ちなみに俺ら乃木坂第2高校野球部のマネージャー
和:ほら!朝練がないからって遅刻するよ!
○○:...和、今何時?
和:今は...5時...17分...
○○:うちの学校、何時からだっけ?
和:8時50分...
○○:...じゃあおやすみ
和:ちょ、ちょっと待って!
私もう準備しちゃったんだけど!
○○:いいじゃん...そのままTVでも見てれば...
和:やだ!!
○○:大きい声を出すな...
和:早く着替えて、走ろ!
○○:なんでだよ...もう引退したんだぞ?
和:○○が太った所見たくない...
現役の時より1.5kgも太ってるんでしょ?
○○:なんで俺の体重知ってんだよ
和:毎晩風呂上りに体重計乗ってるの知ってるから
○○:おま///洗面所に入って来てるのか!?
和:バ、バカじゃないの///そんなことするわけないじゃん!
アプリだよ、アプリ!
○○:アプリ?
和:私の携帯とあの体重計連動してるから、○○が測ったら私の所に自動で送られてくるの!
○○:...
和:君の体脂肪率まで出てくるのだ!はっはっは!
○○:...ちなみに今どのくらい?
和:13.6%
○○:マジ!?
和:マジ
○○:やばっ...
和:現役の時は10%切ってたのにね~
○○:それはまずい...
和:ってことで走ろ?
○○:わかった
和:やった!
○○:準備して下行くから先行ってて
和:は~い
今起こした双子の弟で私の自慢の弟○○
野球選手としての武器は、50m6.1秒の俊足と遠投110mの強肩
朝5時から素振りを行い、誰よりも遅く練習を終える『練習の鬼』
そんな一生懸命の姿が好きで、私もマネージャーを始めた
...血の繋がった姉弟じゃなければ...なんて思ったことは数えきれない
○○:お待たせ!
和:よし!じゃあ行こう!
○○:...走らないの?
和:何言ってるの!走るよ?
○○:だってそれ...自転車じゃん
和:私が○○のスピードに追い付くと思う?
○○:...
和:じゃあ私についてきてね~
○○:はぁ...わかったよ
朝に10㎞走らされ、シャワーを浴びて準備を始める...
和:○○!朝ご飯できたから置いとくね!
○○:サンキュー
俺と和は二人で暮らしてる
俺がどうしても高校野球に熱中したいと、両親を説得し地元では有数の乃木坂第2高校に進学した
ただ実家からは電車で2時間と離れていたため、寮に入ることにしたかったが...和も同じ高校に進学すると言い始めたため二人暮らしになった
ピンポーン
和:あっ!あやめちゃん来た!
あやめ:おはよう!
和:おはよ!
○○:おっはー
筒井あやめ
俺たちの隣の部屋に住んでいる、同級生
あやめも双子で、俺と二遊間のコンビを組んでいた敦がいるんだが...
○○:敦は~?
あやめ:なんかまだ寝てる
○○:はっ?まだ寝てんの?
あやめ:うん...起こしても起きないから置いていこうかなって
○○:おぉ...
(かわいい顔して、かなり怖いことすんだよな...)
和:よし!電気もガスも切った!いけるよ!
あやめ:じゃあ行こう!
『行ってきまーす』
あやめ:○○はプロ志望届出したの?
○○:う~ん...出そうか悩んでる
和:えっ!?出さないの!?
○○:まだ迷ってんだって
和:なんでよ!
スカウトの人も是非っていってたじゃん!
○○:確約ではないんだよなぁ...
武器が足と強肩と言っても、そんな選手ゴロゴロいるし
現実を見た時に、大学行ってからプロ入ってもいいかなって
和:......
○○:和?
和:...ごめん、私先行くね
あやめ:あっ!和!ちょっと待ってよ~
○○:お、おう...
あやめ:ハァハァ追いついた
和:...
あやめ:和は...志望届、出してほしいんだ
和:うん...
あやめ:なんで?
和:私は...私の夢は○○がプロ野球選手になって、その応援に行くことなの...
私は○○ほど努力している選手を知らない
だから...だから○○にはプロに行くって言ってほしかった!
あやめ:そっか...
○○は現実的に指名はないかなって感じだったけど、和の目から見てどうなの?
和:○○は足と強肩が武器って言ってたけど...
スイッチヒッターでOPSが7割超えてるの
あやめ:OPS?
和:バッターを評価するのに使用される指標の一つでね...
打席あたりの総合的な打撃貢献度を表す指標なんだぁ
あやめ:それが7割ってすごいの?
和:ランク的にはC~Bランクなんだけど...
まぁまぁいい方だよ
あやめ:そうなんだ...
和:プロ野球選手でもあまりいないスイッチヒッターで、打ったことによる貢献度も高い
いけると思うんだけどなぁ....
あやめ:...だってさ
和:へっ?
あやめは○○に電話がつながっている自身の携帯をみせる
和:あっ、ちょ、なんで!?
あやめ:一緒に登校してたのに急に置いてかれて、気になるでしょ?
和:あぅ....
○○:和...ありがとな
和:○○...
○○:和がそこまで自信もって言ってくれるなら、俺も自信もって出せるわ
和:へっ?
○○:迷ってたのは...
自信がなかったからなんだ
和:...
○○:俺が必死に練習してもどれだけプロになりたいって言っても、叶うか叶わないかはドラフト次第
各チームのチーム状況とスカウトの方針によって変わる...
そんな中、少し誇れるものはあるけど、どこにでもいるような俺みたいな選手は取ってくれるチームあるのかなって
あやめ:なんでそんなに逃げ腰なのよ
○○:プロに入ったら、独りで戦わなきゃいけない
チームに必要無くなったら、即戦力外...
あやめ:...
和:○○は私が自信を持って推薦できる野球選手...
たとえ○○がドラフトで選ばれても選ばれなくても、私はずっと○○の近くにいるから!
○○:...ありがと
あやめ:...いいねぇ...
これがドラフトの時に再現ドラマで流れるんだろうなぁ...
和:あっ!それいい!
○○:...なんでそういう発想になるんだよ笑
結局、俺はプロ志望届を提出した...
そしてドラフト当日...
アナ:横浜DeNAベイスターズ
第一順選択希望選手...
和:井上○○、井上○○...
○○:さすがに一巡目では来ないよ笑
和:わかんないじゃん!
その後も2巡目、3巡目、4巡目と進んでいき...
アナ:千葉ロッテマリーンズ
選択終了
和:お願い...
アナ:東京ヤクルトスワローズ
選択終了
和:お願い!
アナ:オリックスバファローズ
選択終了
和:...グスッ
○○:おいおい、泣くなよ...
和:だって...だって!
ギュ
○○:ありがと...信じてくれて
和:わぁぁぁぁぁ
さてどうするか...
ドラフトのために待ってもらっていた大学にお願いしますと電話をかけないと...
プルルルル
○○:...監督?
和、監督と電話してくるな
和:コクッ
○○:もしもし...
監督:○○...大丈夫か?
○○:えぇ...自分は何とか
監督:和の方が?
○○:はい...あれだけ応援してもらっていたのに...
申し訳ないです...
監督:...○○、お前指名受けてるぞ?
育成、見てないのか?
○○:...へ?
監督:ソフトバンクから育成十番目で
○○:ほんとですか!?
監督:あぁ!
○○:よしっ!
監督:でもいいのか?
育成からだぞ??
○○:でも努力したらなれるかもしれないじゃないですか!
監督:まぁそうだが...
○○:そのお話、受けさせてください!
監督:...わかった
この後球団の人と電話するから、○○は親御さんとちゃんと話しなさい
○○:わかりました!
和:...○○?
○○:和!俺指名入ってたっぽいぞ!
和:えっ?
○○:育成で十番目だって!
和:...ほんとに?
○○:うん
和:○○は受けるの?
○○:うん、受けたいって監督に話をしたよ
ギュ
和:よかった...グスッ
...おめでとう....ほんとにおめでとう!
○○:ありがと
和:応援行くから!
でも、どの球団から指名もらったの?
○○:福岡ソフトバンクホークス
和:そっか、福岡か...
って福岡!?
○○:うん...言ってなかったか...
和:そっか...福岡か...大学はそっちの方見てなかったからな...ブツブツ
今から受ければ...うん行けるボソボソ
○○:何をブツブツ言ってるの??
和:だって...ううん、こっちの話だから大丈夫!
○○:そっか...
和:うん...って○○、全球団の中で一番最後に指名受けた人じゃん!
○○:そうなの!?
和:ほら!
【ドラフト総まとめ】
福岡ソフトバンクホークス
1位....
....
育成10位 井上○○(乃木坂第2高校) 内野手
○○:ほんとだ...
ふふっ...ははは
和:○○?
○○:全球団の最後の指名選手か!面白いじゃん...
和:...こっから有名になったら、面白いね!
○○:なっ!そうだろ!
和:〇〇...ほんとにおめでと!
家族の...いや私の自慢の弟だよ!
これからも一緒に頑張ろうね!
○○:おう!
Fin...? or To Be continued...?
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