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自慢の弟は一番最後 3話


大道:井上○○~、いるか~?

○○:はい!

大道:おっ!いい返事だ!
じゃあ面談するぞ~

○○:はい!お願いします!

大道:まずは自己紹介だな
3軍打撃コーチの大道です、よろしく

○○:新人の井上○○です
よろしくお願いします!

大道:よし、じゃあひとまずこちらが考えている育成プランから話そうか

井上○○君、君には周東や牧原のようなユーティリティプレイヤーを目指してもらいたい


○○:ユーティリティプレイヤー、ですか?

大道:あぁそうだ
君は自慢の足と肩でショートを守ってきた、そうだね?

○○:はい、そうです

大道:でも同期にも何人もショートや他の内野手いただろ?

○○:はい...
みんな甲子園で活躍した選手たちでした

大道:あぁ...
井上が決して劣っていると思ってはいないが、自身が試合に出れることを考えた時にショートだけだと出場試合数はどれくらいになると思う?

○○:...途中出場で10試合行くか行かないかぐらいですかね

大道:ふふっ...ここまで自分のことを客観的に見れてるとは思わなかったよ
俺もそれくらいだろうと思ってる

○○:...

大道:ただな、どこのポジションもできますってなった時に、代走送られたり代打にいったりしたらどうだ?
そのまま試合に出続けられると思わないか?

○○:...確かに...

大道:俺が君を評価しているのは、スイッチヒッターで打率が高いことだ
これを生かすために、守れるところを増やしていかに戦力として幅を広げられるか
これを取り組んでいかないか?

○○:...はい!お願いします!

大道:よし!
じゃあ今度は短期、中期、長期で目標を立てよう
井上、君の夢はなんだ?

○○:私の夢は...2つあって...
一つは一軍でプレーすること
もう一つは全球団で最後に指名された選手でも活躍できるんだ!というのを世界に知らしめること

大道:おお~~!いいね!
確かに全球団一番最後っていうのは、かなり発信していけるしな

○○:はい
私もこのホークスに来るにあたっていろいろ調べたんですが、千賀投手は全球団で最後に指名された投手で、甲斐選手は野手で選ばれた最後の選手なんですよね?

大道:あぁ、そうだ

○○:自分もそう言われるように頑張ります!

大道:うん!いい心がけだ
じゃあ長期的には、一軍でレギュラー定着が目標か?

○○:はい!

大道:うん、いいだろう
最初はそれだけ野心がないと…
じゃあ中期は...?

○○:3年間通じての打率が、左右どちらも3割越え、でお願いします

大道:なぜ3年とした?

○○:今年はまずプロのピッチャーに慣れないといけないと思うんです

大道:ほぉ...

○○:私が体感したことあるピッチャーでも最速140㎞だったので...
150㎞、160㎞が当たり前のプロ野球だと目をまず慣らさないといけないなと思っています
そのうえで、左右どちらでも通年で3割打てるようになったら、1軍に上がれるチャンスが来ると思うんです

大道:...うんうん、自己分析もしっかりできているな
じゃあ中期目標はそれにしよう
短期はどう考えている?

○○:短期の目標的には、キャッチャー以外の全ポジションの約束事を理解し、エラーが合計3つ以内としようかなと

大道:エラー3つ以内はそれぞれのポジションで、ということか?

○○:はい
エラーをしないことに越したことないですが、自分が経験したことのない守備位置もやることになります
エラーをしないとわからないこともあるでしょうし、そこから何を学べるかをテーマにやっていきたいです

大道:わかった
よく考えられているからそれを短期目標にしよう

○○:はい!

大道:じゃあこれからよろしくな

○○:はい!お願いします!
では失礼します

バタン


大道:あれで育成なのか...
ほんとによく考えているよ...

どんな選手かは動画でしか見たことなかったが...
ペラッ
井上○○、内野手、右投げ/両打ち
身長177㎝、体重75㎏

これに客観的視野...守備力を強化できれば化ける選手になるな...


その後新入団選手披露の時に配られるカタログ用の写真を撮影し、帰路についた


ガチャ
○○:ただい...ボフッ

和:...

○○:どうしたの?和

和:...

○○:寂しくなっちゃった?

和:コクッ

○○:ったく...

和:...て

○○:ん?なんかいった?

和:頭撫でて...

○○:はいはい笑
よく頑張ってるよ、和

和:ギュ

○○:どうしたのよ...

和:不安になっちゃって...

○○:不安?学校でトップ5に入るほどの秀才の和さんが?笑

和:秀才じゃない...
○○が頑張っていたから、頑張らなきゃって思ってやってただけ

○○:そっか...
ヨシヨシ

和:へ?

○○:これまで応援してくれていた分、今度はこっちが応援しないとね
明日、一緒に大学まで行ってあげるから

和:やったー!
ギュ

○○:ふふっ、可愛いお姉ちゃんナデナデ

和:///
(可愛いって言ったよね...○○が可愛いって言った!!)

○○:ほら、夕飯食べに行こ

和:うん!ん!

○○:なに、この手笑

和:ん!!

○○:あぁ、繋げってことね笑

和:コクッコクッ

○○:ふふっギュ

和:///


○○:わぁ~、おいしそう!

和:ほんとだ!
あっ!ビュッフェ方式だって!好きなの選んで食べよ!

○○:うん、じゃあ先に和選んできなよ
席に行ってるから

和:うん!
(やっぱ優しいな...)




次の日...
和:大丈夫かな...やれるかな...

○○:大丈夫だって、あれだけ練習したでしょ?

和:でも...

○○:じゃあ打席入る前にいつもやってるおまじない教えてあげる

和:おまじない?

○○:目瞑って?

和:うん

○○:自分の息にだけ集中して、うまくいって喜んでいる自分や周りの顔を思い浮かべる...

和:...

○○:そしたら、口から息を強く吐く

和:ふっ!

○○:どう?不安な気持ち飛んで行ったでしょ?

和:うん...なんか落ち着いてる感じする

○○:学科終わって、面接に入る前にこれもう一回やりな

和:わかった!ありがと、○○

○○:おう!じゃあがんばれよ!

和:うん!




和:緊張するけど、○○に手握ってもらったし...
うん!大丈夫

??:あの~

和:は、はい!

??:ハンカチ落としましたよ

和:あっ!ありがとうございます!

??:いいえ~、教室一緒ですか?

和:え~と...教室は...225号室なので...

??:じゃあ私と一緒だ!
一ノ瀬美空です!よろしくね!

和:井上和です...よろしく!

美空:なぎっていうんだ...珍しい名前だね

和:そうですよね笑
初めてあった人には、なんて読むんですかってよく聞かれるんです

美空:そうなんだ~
あと敬語じゃなくていいからね~

和:わか..わかった!

美空:うんうん!
にゃぎは出身こっち?

和:ううん...関東の方
(噛んだ...よね?)

美空:いいな~、じゃあ東京とか行ったことあると?

和:うん、あるよ

美空:うわ~、羨ましいわ~

和:行ったことないの?

美空:うん!福岡から出たことない!

和:そうなんだ笑

美空:あっ!そろそろ会場は入れるって!
頑張ろうね!

和:うん!

美空:あっ!美空友達いないからさ、お昼一緒に食べよ?

和:うんいいよ、私も一人だし

美空:やったー!じゃあまたお昼ね!
(やったー!かわいい子とご飯食べれる♪)

和:うん、またね



○○が教えてくれたやつやって...
よし!頑張るぞ!


お昼休憩...
美空:おまたせ~

和:ううん、私も今来たとこ

美空:ほんと!?ならよかった~
にゃぎ~、学科のあの問題できた~?

和:うん

美空:ほんと!?すごすぎ...

和:そんなことないよ
弟が前日にこれ出るんじゃないって言ってくれた過去問に似てたから

美空:にゃぎ、弟がいるんだ!

和:...うんいるけど...にゃぎっていってるよね?


美空:うん!だって猫っぽい可愛さがあるもん!ダメだった?

和:(そんなキュルキュルな目で見られたら断れないじゃん...)
いや...いいけど

美空:やった~♪

和:アイドルみたいな子だね

美空:にゃぎの方こそ!

和:ふふっ....ありがと

美空:さっき弟君いるって言ってたよね?

和:うん

美空:いいなぁ~、会いたいなぁ~

和:...会えるかわからないけど、多分ファンの人は知ることになるかも...

美空:えっ!?弟君有名人なの!?

和:...うん、有名人になる予定

美空:なる予定...俳優さん?

和:ううん、野球選手

美空:えっ!?すごい!
ホークスの選手?

和:うん...育成だけどね...

美空:えー!すごい!すごいじゃん!
じゃあ2軍の試合がある時とか、家においでよ!

和:えっ?

美空:私の家族、2軍の試合大好きでさ!
タマスタ筑後も近いし!

和:そうなんだ!

美空:うちのお母さん、若い男の子大好きだからね~笑

和:ふふっ...なんか美空の家っぽい笑

美空:え~、そう?

和:うん笑

美空:まぁいっか~
じゃあ午後の面接も頑張ろう~!

和:おー!



その後無事試験が終了した
面接は○○が作ってくれた質問をそのまんま聞かれて、そっちに驚いちゃったけど、何とか答えることができた


美空:今度にゃぎに会える時は、大学受かってからだね

和:そうだね、でも弟のあれで何回か来るかも

美空:ほんと!?じゃあ連絡先交換しよ!

和:いいよ!はい

美空:うん!ありがと!
明日のお披露目楽しみにしてるね

和:うん!
じゃあまたね

美空:バイバ~イ!




○○:あっ!来た来た!

和:お待たせー!

○○:なんか友達もできたの?

和:うん!でもなんで?

○○:さっきからあの子、和にずっと手振ってるから

和:クルッ...ほんとだ!

○○:よかったね、人見知りなのに頑張ったね

和:美空の方から話しかけてくれたからね

○○:美空ちゃんっていうのか

和:うん、ホークスのファンなんだって

○○:それは頑張らないと笑

和:○○は今日何してたの?

○○:野球道具買えるお店を探して、バット買って部屋で素振りしてた

和:行動がはやいね~笑
でも野球道具買えるお店に行ったのはなんで?

○○:ほら、俺はまだ育成だからさ
道具の支給も少ないし、メーカーとも契約してるわけでもないからさ

和:そっか...
でもお母さんたちに指名お祝いでグローブとバット買ってもらってたじゃん

○○:あれは試合で使う用だよ
練習ガンガンやるタイプの人間だから一緒だと壊れちゃうんだよね...笑
それに今後いろんなポジションやることになりそうだからグローブも見たかったし...

和:そうなの!?

○○:うん
ユーティリティプレイヤーを目指してほしいって言われた

和:...それだけ○○の打撃を評価してもらえてるんだよ!

○○:やっぱ、和も同じこと言うか笑

和:??

○○:コーチにも同じようなこと言われたよ
やっぱ和は見る目あるね

和:ほんと?やったー♪

○○:さすが俺らのマネージャー

和:ふふっ
ほら早く帰ろ?おなかすいた!

○○:おう!






To Be continued...

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