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自慢の弟は一番最後 27話


和:ねぇ...○○、いいの?

○○:うん、お酒は飲まないから

和:...そういうことじゃないんだけど...


正直に言えば、あの乃木坂の与田さんがいるとはいえ...
ご飯を食べれるほどの元気はない

せっかく頂いたものを戻してしまわないか
自分がこのお祝いの雰囲気を壊してしまうのではないか...

そういったネガティブな気持ちが心を侵食していく



○○:和は無理しなくていいから

和:へっ?

○○:具合、まだよくないのは知ってるけど...
和の好きな乃木坂のメンバーさんだよ?

和:...

○○:お話できるだけでも貴重な機会だろうし...

和:...そうだねっ!


やっぱ優しいな、○○は...





祐希:○○くんたち~

○○:あっ!はい!

祐希:もう始めようと思うんだけど...

○○:あっ、すみません
すぐ行きます!

祐希:待ってるね~


○○:ほら、行こ?

和:うんっ!





祐希:○○くんはお酒飲めるの?

○○:いや、まだ自分たち未成年です...笑

祐希:うっそ!ほんとに!?

○○:はい笑

祐希:そっか...ごめん、私だけ...

○○:気にしないでください笑
せっかくのお休みなんでしょうし...笑

祐希:うぅ...○○くん優しい...

光希:ほんとだよ...

祐希:ここに梅が居たら確実に...
いや、考えるのをやめよう...


光希:○○さんたちは何飲みます?

○○:じゃあ...オレンジジュースで

和:わ、私も!

光希:了解です!

○○:すみません...
本当は自分たちが動かないといけないのに...

光希:あぁ!いいんです!いいんです!

祐希:うん!気にしないでいいんだよ!

光希:...ほんとは姉ちゃんがやるべきなんだけど



祐希:...じゃ、じゃあ、乾杯しよっか

光希:あっ、逃げた...


和:ぷっ...ふふっ

○○:...(よかった...和に笑顔が戻って来た...)



祐希:じゃあ...光希、誕生日おめでとう!
かんぱ~い!

「「かんぱい!」」


それからは光希君の話
与田さんの乃木坂での話

色々聞かせてもらった


そして俺もホークスの情報とか知っていることは話をした

なぜかって言うと...


祐希:でもホークスの選手が隣に住んでるなんて、なぁ

光希:ほんとに...

祐希:光希、あんたユニフォームは飾っとらんと?

光希:なっ!?今それ言う?

○○:??

祐希:この子、ホークスのファンなんよ笑

○○:あっ!そうだったんですか!

光希:最近は見れてなかったので...
○○さんのこと...すみません

○○:いえいえ笑

祐希:で!ユニフォーム!

光希:こ、これです...



クローゼットの中に綺麗に仕舞われていたユニフォーム

『5 MATSUDA』


○○:松田さんのだっ!

光希:...自分の憧れ、なんです

○○:うんうん!わかるよ

光希:自分も野球をやってたんですけど...
一回も公式戦のメンバーに選ばれなかったので、一回野球を嫌いになったんです

○○:そうだったんだ...

光希:福岡の中では、強い方の高校だったので...
部員も多いからしょうがないんですけどね

○○:...

光希:野球が嫌いになっている時に、姉に...
いや、姉の同期に連れていかれたんです


○○:その時に活躍したのが...

光希:いや、活躍はしてないんです

○○:あれっ笑

光希:松田選手、あの試合で4打数4三振で...

でも試合中、誰よりも声出してるんです!

相手が盗塁した時も声をすぐに出したり、
点が取られ始めた時も、間を空けるようにマウンドに行ったり...


○○:...


光希:それが...すごくかっこよかったんです



光希君の目の輝き

あぁ...
チームに、ファンに愛される人って、こういう人だよな

スーパープレイじゃない
ファインプレイでもない


人の心を掴むのは、些細なことで当たり前の所であると


ファンの子と話すことで再認識させられる
自分が目指すべきものはなんなのか
この人たちに自分は何を与えることができるのか

身近にいる人に悲しい思いを背負わせないためにも...



光希:...ってすみません///

○○:ううん、こちらこそありがとう!
なんかすごく大事なものに気付かされた気がする

光希:い、いえ///

祐希:ふふっ、良かったね光希

和:○○も負けないようにしないと、だね!

○○:うんっ!

光希:...は、恥ずかしい///

祐希:ふふっ、真っ赤っか!笑

光希:う、うるさい!
ちょ、ジュースなくなったからスーパーまで買いに行ってくる!!

祐希:あっ!ちょっと!


ガチャ


祐希:行っちゃった...笑
あの子、あんなに恥ずかしがりやだったっけ?笑

○○:でも、嬉しかったですよ
自分の尊敬する先輩の事を褒めてくれるのは

祐希:そっか...ならよかったのかな笑


和:...すみません、ちょっとお手洗い借りてもいいですか?

祐希:全然いいよ!
...って家主じゃないけど笑

和:すみません...
ありがとうございます




祐希:妹ちゃん、体調悪い?

○○:...まぁ、はい

祐希:そっか...悪いことしちゃったな...

○○:い、いえ!

祐希:あの子、ずっと○○君の傍から離れなかったし...
ご飯もあまり食べてなかったから...

○○:...よく見てますね...

祐希:アイドルだからね~
常に人を観るのが仕事みたいなものだから

○○:...な、なるほど...

祐希:ファンの人と話すときも、スタッフさんと話すときも
TVに出させてもらう時も、演技の仕事も
全部、人とやる仕事だからさ

人を観ていないと、仕事にならないからね~



最初はほわほわした人だと思っていた
あやめからもそう聞いていたし...

でも実際は、熱い人
ちゃんと人を観ていて、その人の事を気にしてくれて

すごいなぁ...



祐希:妹ちゃん、すごくかわいかったけど...
あの子芸能活動やってないの?

○○:何回か声はかけてもらってるみたいですけど...
本人は断ってるみたいですね

祐希:そっか...
じゃあもしかして、体調悪いのはメンタル面から?

○○:....与田さん、すごすぎます

祐希:やっぱそうだったか...

○○:...どう、すればいいですかね

祐希:というと?

○○:和に...自分はただ精神的負担をかけ続けているんじゃないかと

祐希:ほう...

○○:和がああなったのは、自分のプレーが原因なんです
それでネットで言われているのを見ちゃって...

祐希:なるほどねぇ~

○○:...ってすみません、こんなこと与田さんに

祐希:ねぇ、○○くん

○○:は、はい!なんでしょうか?



祐希:和ちゃんのこと、好き?




唐突だった

あの事件以来、意識的に遠ざけてきた想い


○○:好きです


でも咄嗟に口から出ていた
こうも簡単にほかの人には言えてしまうのかと...




祐希:それは家族として?

○○:...

祐希:...それが答えなんじゃない?

○○:でも...

祐希:大丈夫
ちゃんと伝えてあげて
言葉でも、行動でも

○○:...

祐希:そして、○○君は和ちゃんにいい所をいっぱい見せること!

○○:...はい

祐希:○○君が活躍しているところを、和ちゃんは楽しみにしているんじゃないかなぁ
たとえそれが、嫌いで遠ざけたものであっても

○○:...



祐希:人ってさ...不思議だよね

○○:えっ?

祐希:勝手に期待して、裏切られたら罵詈雑言を言われ…
自分の言うとおりにならなければ、ネットに書かれる

○○:...

祐希:慣れちゃった...っていうのもおかしいけど
そんな世の中なんだよねぇ...

○○:...

祐希:だからこそ、かな
私を応援してくれている人が喜んでくれるのを見るのが好きだから
だからその人たちに向けて、自分ができる最大限を届けたい
そう、思う

○○:...すごい...

祐希:今の和ちゃんは絶望してるんだよ
言葉の暴力に

でも、その中で見つけた希望が○○くんなんだよ
だから○○くんが頑張らないといけないの



まっすぐ目を見て言われた
言葉に感情が乗っている人の話し方

たぶんご自身も経験あるんだろうな
センターを経験している方だし

だからこそ、説得力がある




祐希:まっ!うちの弟の事は何とかしておくから

○○:へっ?

祐希:あれ?気がついていなかった?

○○:はい...

祐希:まっ、いっか
それにしても光希のやつ遅いんだけど...笑


ガチャ


光希:た、ただいま

祐希:光希、おそ~い

光希:ごめん、プリン買ってきたから許して

祐希:わ~い!プリンだっ!


和もあの後戻ってきて、みんなでプリンを食べて解散となった





そして、その夜

与田さんに言われたことが頭の中で反響して意識してしまう

でも、今の和はちょっと触ったら壊れてしまうぐらいの状態



なら...


○○:和...


和:ん?

○○:今日、一緒に寝よ?

和:へっ!?///

○○:ダメ?

和:い、いいけど///

○○:よいしょ...おいで

和:う、うん//


ギュ

和:ふぇ///

○○:...和

和:な、なに//

○○:明日の西武戦、見に来てほしいな

和:...

○○:和に見てもらわないと、俺ダメだから...

和:○○...

○○:明日はチームのため...
ううん、和のためにプレーするから

和:…

○○:無理はしてほしくないけど…

和:...わかった、見に行くね

○○:ほんと!ありがと...

和:ううん...
こっちこそ…気を遣わせるようなお姉ちゃんでごめんね

○○:そんなこと、ないから


その日は二人で抱き合って眠った

少しでも和の事を笑顔にできるようにと願いながら…






??:もう!与田さん!
なんで迎えに来てくれなかったんですか!

祐希:ほんとにごめん
さくら

さくら:福岡で仕事があるって伝えたら、迎えに行くって言ってくれたのに...

祐希:ほんとに、ごめん!

さくら:ムゥ...

祐希:で、でも!さくらが野球見たいなんて珍しいね
さくら、インドアなのに...

さくら:っ!?
い、いいじゃないですか!

祐希:さては、○○くんかなぁ?


さくら:///

祐希:...えっ?マジ?


あやめちゃんに聞いたことがある
さくちゃんは○○くんのこと、めちゃくちゃ見てるって...

でも...
昨日、○○君の背中押しちゃった...

ど、どうしよう...







To Be continued...

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