見出し画像

自慢の弟は一番最後 18話


あやめはあのあとTV出演があるからと行ってしまった


一人ブルペン室に残された俺



"異性として意識しないの?"


あやめから言われた一言
ずーっと頭の中で反響している

意識してないわけないじゃないか
今までの人生で一番関わってきた異性だぞ

俺が今まで野球を頑張れてきたのは、和がいたから
でも姉だから、血の繋がった家族だから...



そう思ってきたのに...




パンパン
○○:...今は切り替えないと


一度整理しないと、頭がパンクしてしまう
いったん頭の片隅に追いやって準備に集中する

それに今は球宴の時間
ここで自分の事にうつつを抜かしているのは失礼だ




そんなこんなで準備をしてると...


広報:あっ!いたいた!○○!

○○:はいっ!

広報:ギータが呼んでるから

○○:えっ?ほんとに自分っすか?

広報:うん笑
ほら、早くいかないと

○○:ちょ、ちょっと待ってください



柳田:○○!カモンッ!

○○:はいっ!

柳田:ホームランダービーの時のバッピ(バッティングピッチャー)、よろしく!

○○:えっ?自分ですか?

柳田:うん笑
しっかり投げろよ?

○○:マジか...
が、頑張ります...



こうして始まったホームランダービー


ギータさんの相手は、DeNAの宮崎選手
ギータさんが後攻の為、宮崎選手のバッティングを2人で見る


カーーン



○○:すげぇ...

柳田:何プルプル震えながら見てんの?笑

○○:なんかこう...ずっとTVで見ていた人たちをこうしてみることになんか...
興奮と感動と緊張が同時にやってきて...

柳田:お前、おもしろっ!
俺にも来ねぇかな、その感情


そういいながらブンブンとバットを振って準備を進めるギータさん



強者のメンタリティ...
日本を代表するバッターであり、ほかのチームからは研究されまくってるのに、未だに打ち続けているギータさん
そんな人が小心者なわけがない

プレッシャーなんてあって当たり前
打ち続けなきゃ、終わった選手だなんて言われるこの業界



今後、この業界に残っていくためには俺もそのメンタリティを持たないと...




MC:さぁ、後攻ソフトバンクの柳田です
先攻の宮崎が4本打ちましたからね~
それを上回れるのか、注目です

さて、今回のホームランダービーにはゲストがいらっしゃいます
乃木坂46から、久保史緒里さんと柴田柚菜さんです


史緒里:はいっ!乃木坂46の久保史緒里です!よろしくお願いします!


柚菜:同じく乃木坂46の柴田柚菜です!お願いします!

MC:お願いします~
お二人とも乃木坂46の中でも野球が好きだということを聞いてるんですが...

史緒里:そうですね...
野球好きのメンバーを集めて乃木坂野球部という部活を作っちゃうくらい2人は野球が好きですね

MC:そうですか
それぞれ好きな球団とかあるんですか?

柚菜:はい!私、柴田柚菜はロッテで...

史緒里:私、久保が楽天を応援しています!

MC:そうですか!
楽天は今回残念ながら小深田選手がケガで離脱となってしまったんですが、ロッテは3人選ばれてますもんね

柚菜:そうなんです!嬉しいですね

MC:さぁ、そんなお2人とともにお送りしているわけでありますが、今回ピッチレポートも乃木坂のメンバーが担当してくださってるんですよね?

史緒里:そうなんです!ありがたいことに...

MC:ではお2人から呼びかけてもらってもいいですか?

史緒里:はい!じゃあ、ピッチレポートの向井葉月ちゃん

柚菜:筒井あやめちゃん

柚史:お願いしま~す!




葉あ:は~い!


葉月:こちら現在ホームランダービーが行われているわけですが、先攻の宮崎選手と後攻の柳田選手
すれ違った時に互いに笑いながらお話してましたね

あやめ:そうですね、和やかな雰囲気だったんですが...
一方これから柳田選手のバッティングピッチャーを務める井上○○選手は、ガッチガチに緊張している様子でした

葉月:プレッシャーもかかると思いますが、頑張って投げてほしいですね

あやめ:そうですね
こちらからは以上です!



MC:はーい、ありがとうございました
打つ方は和やかでしたけど、投げる方が緊張していたと...
今年育成から上がって這い上がり、ファン投票で今回選出されました、同じくソフトバンクの井上○○がバッティングピッチャーを努めます
さて久保さん...



ピッチレポートが終わり、マイクを返した後グラウンドを見つめるあやめ



あやめ:○○...

葉月:あやめん、井上選手応援してるの?

あやめ:はい、幼馴染なので...

葉月:えぇ!?ほんとに?

あやめ:はい笑

葉月:すごっ...

あやめ:自分も双子の弟がいるんですけど、○○といつも一緒に野球をやってて名コンビだったんですよ?

葉月:そうなんだ...ってかあやめん野球知ってたんだっ!

あやめ:ふふっ笑
知ってますよ~


相変わらずのふわふわした雰囲気
あやめたちのシーンはTVだけでなく会場でも流れていたため、聞きなれた人の声を聞けると少しだけ心が軽くなった感じがした


そして…
○○を応援してる人はもう一人、会場に到着していた


和:あっ!あやめちゃんも来てるんだ!
...って○○バッピやるの!?

咲月:和、はやいって...ハァハァ

和:あっ、ごめん...



咲月と和は少しづつ連絡を取り合い仲良くなっているらしく...
親が来れないため、咲月を誘って家族席に来たらしい


咲月:○○君ってピッチャーだっけ?

和:違うよ笑
でも今はバッティングピッチャーとして打ちやすい球を投げてるの

咲月:へぇ...

和:でもさっちゃんが野球見たいって言うと思わなかった

咲月:だって...
和があれだけおすすめしてくるんだもん

和:ふぅん...笑(○○の布教活動、大成功...笑)

咲月:ってかさっきあやめちゃんって言ってたよね!?グイッ

和:う、うん...
幼馴染だからね

咲月:え~いいなぁ~!

和:もしかしてさっちゃん、乃木坂ファン?

咲月:うんっ!

和:推しは?

咲月:桃子さん!

和:へぇ...

咲月:和は?

和:私は、さくらさん

咲月:そこはあやめちゃんじゃないんだ笑

和:あやめちゃんも応援はしてるんだけど...
どうしても幼馴染って気持ちが勝っちゃうんだよね笑

咲月:そうなんだ...笑



そんな話をしている間に後攻の柳田選手の順番が始まる...



○○:ネットを調整して...
ギータさん、大丈夫っすか?

柳田:おう!いつでも!

○○:高い低いは言ってくださいね!

柳田:うぃ!


○○:フンッ


カン


柳田:もうちょい低く

○○:はい!



○○:フンッ


カーーン

柳田:OK!今のところに頂戴!

○○:OKっす!



MC:さぁ練習も終え、いよいよ本番です!



柳田:ふぅ...

MC:ホームランダービー、プレイボール!


○○:フンッ


カーーン


○○:(いった!)

ガコンッ


MC:おーっと!もう1本目が出ました!


○○:フンッ


カーーン

○○:(すごい、これもいった...)

ガコンッ

MC:2本目、もう止まりません、柳田悠岐!


○○:フンッ


カーーン

○○:(...)

ガコンッ

MC:これもバックスクリーン直撃...3本目!


○○:(MCの人、ちょっと引いちゃってるじゃない...笑)


○○:フンッ


カコンッ

MC:ファール!
ようやく1アウトですか...



少しだけ安堵する
この人、機械じゃないかなってぐらい全部飛ばすし...

でもそれと同時にすごいスイングを真正面から見れてることに感動する
ここから見れる人なんてピッチャーぐらいしかいないしね




そして...


カーーン


ガコンッ

MC:5本目!5本目です!
DeNA 宮崎敏郎選手とソフトバンク 柳田悠岐選手のホームランダービーは柳田悠岐選手の勝利です!


パチパチパチ


柳田:ナイスボール!

○○:あざっす!
大丈夫でしたか?

柳田:いや、マジ打ちやすかった!大丈夫!
次も任せた

○○:はいっ!


その後...
柳田選手は準決勝を牧選手と闘い2-1で競り勝ち、次の日の決勝へ進出した





ロッカー

中嶋:え~、お疲れ様です
今回パリーグの監督を務めますオリックスの中嶋です

パチパチパチパチ

中嶋:スタメン発表します
1番 ライト 松本

松本:はいっ!

中嶋:2番 ファースト 栗原

栗原:はいっ!

中嶋:3番 セカンド 外崎

外崎:はい

中嶋:4番 センター 万波

万波:はいっ!

中嶋:5番 DH 頓宮

頓宮:うっす

中嶋:6番 サード 井上

○○:...

中嶋:あれ?井上いるか?

○○:は、はいっ!

中嶋:なんだ?緊張か?

わはははは!

○○:ははは...

中嶋:7番 キャッチャー マルティネス

マル:Yes Sir!

中嶋:8番 ショート 源田

源田:はいっ!

中嶋:9番 レフト 中村

中村剛也:...どっちっすか?

中嶋:あぁ...ごめん中村2人おるんやっけ
晃の方な

中村晃:はいっ!

中嶋:じゃあみんなで楽しんでいきましょう

『おうっ!』



○○:ふぅ...

栗原:うぃ、○○!スタメンじゃん!

○○:はいぃ...

栗原:お前、緊張しすぎ笑

○○:だって...

栗原:大丈夫、TVで見てたメンバーかもしれないけど...
お前もその一人なんだから自信を持て

○○:...

栗原:お前があそこで夢を抱いたように
今度はお前が子供たちの将来の夢になれ



正直、スタメンで名前を呼ばれた時、気が気じゃなかった
もちろんあの場所に立ってプレーしたい気持ちは持ってる
でも周りを見ればスターで皆が知ってる選手だらけ

それに比べて自分は....
なんて変に自分を蔑んでしまっていた

だからかな
ここに呼んでもらった本当の意味を忘れてしまっていた
育成から支配下を勝ち取ってここに呼ばれた意味を...





さぁいよいよ始まる
野球界のお祭りが...





To Be continued...

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?