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Industry-Up Days: プレコンセプションケア(Spring 2021)

「プレコンセプションケア」は、2020年秋ごろにSUNDREDで新産業創造の1つのテーマになったことで、もっとも注目しているテーマです。

「プレコンセプションケア」に注目する理由

特に、「プレコンセプション」と言う領域は、経験と勘に依存することが多く、タブーも多く、専門家でない人がアプローチすると、炎上しやすい分野であり、そのためデジタル化されていない領域になっています。だからこそ私たちは男性の視点から産前、産後にデジタルの視点を入れ、サイエンスからアプローチし、いくつかの課題を解決するために活動しています。しかし課題は複雑で1つのソリューションで解決できないため、複数のソリューションの組み合わせ、一緒に課題を解決する組織、チームが必要と思っており、SUNDREDの「プレコンセプションケア産業」と言う取り組みに注目しています。
そして、今後一緒に取り組んでいきたいと考えています。

(注釈)
Industry-Up Daysにおいて「プレコンセプション」と言うテーマが討議されていましたが、その内容をレポートするにあたって、それぞれ個人にとって非常にセンシティブな課題を扱うため、あくまで個人の考え方、感じたことをもとにレポートさせて頂くことにします。


「プレコンセプションケア」って?

そもそも「プレコンセプションケア」って何?という方が多いのではないでしょうか。
まず「コンセプション(Conception)」とは、妊娠、受胎と言う意味で、プレとついているからその前、つまり妊娠する前からしっかりケアをしなければならないと言う意味になります。一言で言うと、子どもを授かるためには健康管理が必要ですと言っているのです。
では、その健康管理をする対象は女性だけではないと言うところがポイントで、そのパートナーである男性も対象にする必要があります。こう言うと、疑問に思うかもしれませんが、不妊の原因の半分は男性にあると言われているからです。また適した時期に妊娠できる環境を作るためには、周りの協力が不可欠であり、社会の理解と協力が必要となります。

なぜ急に「プレコンセプションケア」なのか?

プレコンセプションケアと言うテーマは、複合的に課題が絡まっているため、いくつかのテーマについて現状を説明します。
1) 妊娠することに関する数字
子どもが欲しいと思って治療を受けている人の数やその治療によって生まれた赤ちゃんの人数はいろいろなところで発表されています。実際に子どもが欲しいが子どもが授からないと悩んでいる人の数は正確には把握できていませんが、おそらく500万人から700万人となるのではないかと以前計算したことがあります。
1. 不妊治療を行うカップルは5.5組に1組
2. 不妊治療による体外受精で誕生する赤ちゃんは毎年5.6万人

2) 出産に関する数字
結婚年齢の上昇と女性の出産年齢の高齢化などがあり、子どもを授かる年齢が高くなることにより、知らず知らずのうちに難しくなっていきます。
1. 晩婚化(女性の初婚年齢 29.1歳(2015年) ←25.7歳(1992年)
2. 出産年齢の高齢化(35歳以上での出産)28.5%(2016年)←3.8%(1972 年)

3)女性の「痩せすぎ」と言う身体的な課題
出産する女性の身体の変化として、「痩せすぎ」と言う課題がアカデミア中心に問題と認識されています。痩せすぎとはBMIが18.5以下という基準で考えており、それが約2割も該当する状況で、この痩せすぎという状態は、実は低栄養な状態、つまり栄養失調状態にあると言うことを意味しています。先進国の中では、痩せすぎ、低栄養な女性が最も多い国が日本となっています。

4)「痩せすぎ」は社会課題
なぜ女性の「痩せすぎ」、「低栄養」が問題なのか?
胎児発生学的に、赤ちゃんはお腹の中で細胞分裂を繰り返し、成長していきます。つまり、細胞を作るために必要な栄養がお母さんにないと、十分に赤ちゃんは成長しないのです。その結果、十分にお腹の中で育つ前に、早産になったり、低体重で生まれたりします。日本の医療では早産でも、低体重でも赤ちゃんを救うことができるので、出産における課題とはなりません。その後、子どもの成長において、実は影響があると言われており、国際的には日本が批判的に見られているポイントになっています。何かと言うと、低体重出生の課題と子どもの基礎学力の低下、さらには子どもが成人した後の成人病の罹患率との相関があると言われているからです。そして、それを国として放置していて良いのかと言うところが批判されているポイントになっています。

なぜ「プレコンセプション」を考える必要があるのか?

そもそも「子どもを授かる」と言うことに対して、基本的なことを知らないことばかりです。

学ぶ機会「教育」について
子どもを授かるには男女で性交渉をする必要があると言うことは知っています。ではどのように赤ちゃんは誕生するのかと問われると、きっちり説明できる人は少ないのではないでしょうか。お腹の中で赤ちゃんはどのように誕生し成長していくのか、またそのとき、女性の身体そして精神はどのように変化するのかなど考えたことがないという人が多いと思います。
子どもを授かるためにどうすればよいかについてオープンに話すことが、小さい頃からタブー視されているため、自分がその年齢になった時に、誰にも聞けない、誰に相談して良いかもわからないと言うのが現状です。このような課題を解決するためには、子どもを授かることについて学ぶ機会を作る必要です。学ぶ機会も小さいときからそれぞれのライフステージに合わせたコンテンツが必要となります。また、現時点では、子どもを授かることを学ぶ必然を、子どもを授かる世代の人たちが認識していないため、それを認知するためのきっかけ作りも必要となります。

健康リテラシーをどのように高めるか
まず健康であるという定義は、身体的、精神的に良好な状態にあることです。
日々の生活の中で、病気であるとか病気でないとかではなく、健康であるかという意識とどうすれば健康であり続けることができるのかについて考えている人が少ないように思います。そして、次の世代に生命を継なぐと考えた時に、その引き継がれた生命も健康であると考えて行動している人はさらに少ないのはないでしょうか。
まさに「プレコンセプションケア」では、子どもを授かるために必要な健康をどのように管理するかがテーマの中心であり、子どもを授かりたいと思うカップル、そしてその周りの社会が考える必要があると言うことになります。

人間の尊厳について考える
健康リテラシーとも関連しますが、自分のことを大事にする気持ち「尊厳」を持てているが重要になります。日常生活では尊厳を考える機会がないため、普段意識することがないかもしれませんが、社会で起きている課題、自分のライフステージにおける課題を、自分ごとと考えて、その課題を自分なりにどうするのかを考える習慣が必要なのかもしれません。

「プレコンセプションケア」が社会に拡がるために

1) 妊娠、出産は女性だけのテーマではなく、男性そして社会のテーマ
これまで妊娠、出産は身体的な変化にフォーカスされて、女性を対象とするケアについて議論されてきましたが、夫婦二人で妊娠、出産そして育児を行う時代、パートナーである男性もしっかり理解しておく必要があるテーマです。また、仕事をしながら育児をする時代、それは会社、つまりは社会も理解を改める必要があり、それに合わせた対応が求められています。まさに、妊娠、出産そして育児をSociety5.0(人間中心の社会)に考え方をアップデートする必要があります

2) 影響力がある人を巻き込み
妊娠、出産は当事者である期間が短く、当事者である時は目の前の課題に対応するだけで精一杯なため、社会に対してマクロに課題を解決しようと言う思いが起きません。だから継続的に当事者として課題解決しようと言うことが難しく状況があります。しかし、今社会環境が大きく変化しようとするとき、女性だけでなく、男性も考えるテーマとなっており、この流れを多くするためには、政界、財界などの産業界に影響を持つ人を巻き込むことで、経営者も理解を深め、協力してくれるチャンスが広がるのではないでしょうか

3) 「プレコンセプションケア」を当たり前に
妊娠、出産についていくら社会が理解を示し、行動しても、やはり当事者であるこれから妊娠、出産を考える人たちが、自分ごととして考えることが必要です。現状は、多くの人たちは妊娠、出産について基本的なことを知らないし、知る必要があるという認識はありませんが、自分ごととして知る必要があることであると言う意識を持つことが当たり前になる社会を作っていく必要があります。まさに、社会を巻き込み「プレコンセプションケア」を当たり前とする文化を醸成していく仕掛けが必要です。

4) 「プレコンセプションケア」を政策として対応する
「プレコンセプションケア」の重要を知っている人は知っている、そして知らない人が知らないとい極端な状況です。より多くの人たちがその重要性を認識し、理解する必要があります。そして、実際に行動を起こして、対応することが求められているテーマであるので、ボトムからだけでなく、アカデミアを中心にエビデンスがあるテーマであるので国の政策としてトップダウンを仕掛けていくことで、課題解決に向けたアクションが有効に作用するテーマであると思います。

今後どのように一緒に取り組んでいけるのかを考え、妊娠、出産、育児の課題を解決し、Society5.0(人間中心の社会)において子どもとの生活、家族とのかかわりなどを考え、どのようにアップデートできるか、そして新しい価値を生み出せるかを考えていきたいと思います。

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興味持ってもらって、ありがとうございます。
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「男性が子育てに参画すれば、社会が変わる」という思いから、子育ての課題を解決することをライフワークとして活動するために起業。 今、周産期の課題解決に全力投球中。 株式会社こそらぼ http://cosolab.com