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風の記憶、時の雫

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note をはじめてみようと思う。 秋晴れの空を眺めていたら、風がやってきて、 そのときにふと思ったわけです。
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2017年10月の記事一覧

あなたのそばに

きっとどこか こころのふかいところで できたてのおもいは しずかにゆっくりと ふうせんのように ふくらんでいき やがてからだをつきやぶり ぼくからはなれて しんこきゅうを するんだろう きっとどこか いきたいばしょがあって ふんわりそらにのぼり かぜにのっているように みせかけて そのばしょをめざして とんでいくんだろう ふわふわとゆれながら そっとあなたのそばに いくのかもしれない きまぐれのような かおをして てれくさそうに はにかんで きっとあなたのそばに

秋霖  (しゅうりん)

秋の長雨が続く。 氷雨というにはまだ早いが今朝も寒い朝だった。 予報を見れば台風の接近も近く 来週の半ばくらいまで雨の日が続きそうである。 出歩く気も失せる憂鬱な日々だと空を見る。 秋の長雨を「秋霖」という。 「霖」の字一つで降り続く雨を意味する。 雨が林のように降ると覚えればいい。 春の長雨は「春霖」というが、 「菜種梅雨」の方がよく使われる。 梅雨も「梅霖」というが これも滅多に見ることはないと思う。 そういえば秋の長雨を「すすき梅雨」とも言う。 言葉一つで季節の情景

合図

過ぎてまわる季節のどこかに セットされている追憶の扉 どこかのタイミングで 鍵をだれかが回す 気づく時もあれば 気づかず通り過ぎる時もある 積み重ねた記憶の片隅にある 胸を締め付ける季節 思い出は遠い時間列にある楔 合図とともにうずきだす その痛みに少し 動揺しながら懐かしむぼくは 風に身をまかせたまま 空を仰ぎ見たまま