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【月面探査の歴史】月に憧れた人類の軌跡を振り返る

本記事では今までの月面探査の歴史と、最新情報をまとめてお届けします。



月面探査の歴史

古くから「十五夜」「中秋の名月」「かぐや姫」など日本人にも親しまれてきた月。最近では「スーパームーン」「ストロベリームーン」といった天体現象から、「セーラームーン」に代表するアニメ・漫画まで、様々なジャンルに月が登場しています。

その中でも、日本人実業家の前澤友作氏が、2023年中に月周回旅行に行くと発表しました。民間企業においても月面探査プロジェクト「HAKUTO-R」が始動するなど、日本の宇宙業界も活発になってきました。

身近に感じられるようになった月ですが、実は人類は47年間、月に足を踏み入れていません。
月面探査にはさまざまな目的が考えられますが、今まで行われてきた調査はおおよそ以下のようなものです。

①宇宙・月・地球の起源の調査
②人類が利用できる資源(金属などの一次原料、燃料、水など)の調査

さらに月面探査は主に「月周回探査」「月面衝突」に分けられ、それぞれ有人・無人飛行があります。主な今までの人類の月周回探査、衝突、着陸は以下のようなものがあります。※1

● 1959年 旧ソ連 ルナ2号 月面衝突
● 1959年 旧ソ連 ルナ3号 月の裏側の撮影に成功
● 1969年 アメリカ アポロ11号 人類最初の月面着陸
● 1972年 アメリカ アポロ17号 人類最後の月面着陸
● 2008年 インド チャンドラヤーン 月周回、月面衝突
● 2013年 中国 嫦娥3号(じょうが3号)が47年ぶりの月面着陸

無人の人工衛星による月周回探査や、無人ロケットによる月面衝突は数多くあります。
しかし、人類が月面に足を踏み入れたのは、実はアメリカのアポロ計画だけで、1972年以来人類は月面に足を踏み入れていません。(人類最初の月面着陸であるアポロ11号を含め、計6回の月面着陸に成功しています)


月面着陸がなかなか実現しない3つのワケ

意外にも人類が月面着陸したミッションが少なく見えるのには3つの理由があるようです。※2

1.予算

ある調査では月面着陸を実施するには、13年かけて約1333億ドル(約14兆8000万円)が必要です。今でこそ民間の宇宙飛行が普及してきましたが、アポロ計画が実施された時代は宇宙飛行は国家予算であり、その当時の大統領の政策にも左右されます。

アポロ計画が実施されたのは、当時のケネディ大統領の政策により予算が確保できたからです。アポロ11号以降の計画から、徐々に国民的支持を得ることができず、NASAの予算は削られていきます。アポロ16号が月面着陸後地球に帰還した際は、宇宙飛行士が「納税者の皆さん、ただいま」と発言するほど、宇宙飛行に対する予算は懐疑的になっていました。

2.帰還する必要性

無人ロケットでは、撮影した画像を無線で送信したり、ミッション終了後は月面や宇宙空間に破棄することができますので、必ずしも帰還する必要はありません。
しかし有人飛行の場合はそうはいきませんが、人間を乗せたミッションは帰還する分のロケットや燃料、安全な宇宙飛行計画が求められるため、よりコストがかかります。

3.過酷な月面環境

月面は「レゴリス」と呼ばれる非常に細かいホコリのようなもので覆われています。これらから防護するための宇宙服や宇宙ロケット、その他の測定機器の開発や制作にコストがかかります。必ずしも人類が月面に降り立って調査する必要がないミッションも増えてきた実情もあります。

また月面は地球のような大気圏がなく、14日以上太陽光や紫外線にさらされます。月面探査の宇宙服は、これらのことを考慮する必要があるため、非常にコストがかかるものとなっています。


月面探査のこれから

このようにクリアする課題がたくさんある月面探査ですが、冒頭で少し触れたように、技術の進歩により近年再び盛り上がりを見せています。※3

1.前澤友作氏の月周回計画

冒頭でもお伝えしたように、前澤友作氏は2021年12月に日本の民間人として初めてISS(国際宇宙ステーション)に滞在しました。
2023年中に月周回旅行に行く予定となっています。クルーは世界中から招集した多種多様な8名で、飛行にはアメリカのスペースX社の宇宙船「スターシップ」が使用される予定です。

2.HAKUTO-R

2007年9月から2018年まで、アメリカで民間初の月面着陸を競うコンテスト「Google Lunar XPRIZE」が行われました。計34チームが参加し、最終フェーズにまで5チームがチャレンジしましたが成功者が現れないままコンテスト終了となってしまいました。
最終フェーズ5チームのうち日本から「HAKUTO」が参加しました。
再び月面着陸へチャレンジするため、「HAKUTO-R」として再出発し、ミッション1が2022年12月に打ち上げられました。
しかし月面に軟着陸する予定だった「HAKUTO-R」は何らかの要因で月面に衝突し、通信が途絶えたとされています。現在2024年のミッション2に向けて改良が進められています。

3.アルテミス計画

アメリカNASAが主導となり、各国宇宙機関や民間会社などパートナーとなって実施される月面着陸(有人飛行)計画です。
まず無人飛行となるアルテミス1号がが2022年に実施・成功し、2024年には有人飛行となるアルテミス2号が打ち上げられます。
アルテミス2号に登場する宇宙飛行士が先日発表され、黒人と女性の宇宙飛行士が初めて月面探査に挑むことになります。アルテミス2号では月面着陸は予定されていませんが、確実に人類の月面活動を前進させるビッグイベントになりそうです。


さいごに

アルテミス計画のように国をあげて月面探査に乗り出す例もあれば、以前では考えられなかった民間による月周回旅行や月面探査も行われるようになってきました。
以前取り上げたサブオービタル飛行といった、簡単な宇宙飛行は既にパッケージ旅行として発売されるまでになっています。
近い将来、月周回や月面着陸の旅行プランも発売されるようになるかもしれません。子供のころセーラームーンを見て育った私としては、月を目の前に見ながらあの名台詞を発してみたいものです。

今後も、宇宙に関連するトピックスやコラム、雑学などを発信してまいります。

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【参考文献】
※1
BUSINESS INSIDER:Astronauts explain why nobody has visited the moon in 50 years — and the reasons are depressing
月面探査情報ステーション:チャンドラヤーン1 探査の概要
AstroArts:嫦娥3号、37年ぶりの月面軟着陸成功

※2
BUSINESS INSIDER:Astronauts explain why nobody has visited the moon in 50 years — and the reasons are depressing

※3
NHK NEWS WEB:前澤友作さん 大型宇宙船での月旅行 同行メンバー8人発表
AstroArts:「HAKUTO-R」、民間初の月面着陸ならず
BBC NEWS JAPAN:有人月周回ミッションに初の女性と黒人 NASAの「アルテミス計画」


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