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地球のことが丸わかり?人類を見守る人工衛星のデータ活用方法とはデータ

コスモ女子ライターのケイです。

今回のコスモ女子勉強会は、衛星関連の仕事でご活躍されているあやのさんの講義!

文系出身ながら一念発起してプログラミングを勉強され、現在は衛星のデータ解析に携わっているというバックボーンも非常に興味深く、とてもためになる時間でした。

それでは、実際の講義の様子を見てみましょう。

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様々な人工衛星

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人工衛星には様々な種類があり、おもに静止気象衛星、測位衛星、地球観測衛星が上げられます。
いぶきやだいちに代表される地球観測衛星は、宇宙から毎日地球の様子を観測する人工衛星であり、災害状況、地球の水循環の様子、大地の変動など、多岐にわたるミッションを担っています。

今回は特に、地球観測衛星の中でも、地球の空気を汚染する物質や温室効果ガスを観測しているESA(欧州宇宙機関)の地球観測衛星、Sentinel-5Pにスポットを当てます。

以下の画像をご覧ください。

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これは大気汚染物質である、NO2(二酸化窒素)の濃度分布を表します。
左は2020年1月1~20日、右は同年2月10~25日の様子です。

右側はコロナウィルスの影響でロックダウンが起き、工場が稼働停止している状況です。
青は数値が低く赤になるほど高くなるので、変化が一目で分かります。


衛星データ加工の流れ

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生の衛星データ(L0)は非常に膨大で、データ解析には向きません。
そのため、加工を行うわけですが、過程はカレーづくりに例えられます。

スキャンした画像(L0)を、切り出し(L1)、水蒸気やエアロゾルのモヤを取り除いて補正し(L2)、解析を行います。


L2データを用いたプロット

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それでは、先ほど解説したL2に加工したデータを用いて実際にプロットしてみます。

上記のように、2021年10月1日と10月2日の日本でのNO2の分布を表します。
台風が接近した日と、その翌日の晴天の日を比較すると、どのような変化が見られるのでしょうか。

Python(パイソン)というプログラミング言語を用いて画像を抽出し、30秒ほどで、下画像のような結果が得られました。

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画像より、濃度は、青が低く赤になるほど高いので、下記の結論が得られました。
・10月1日 台風接近による暴風雨で、広範囲にNO2が輸送されている 。
・10月2日 台風が通過し、NO2が発生しているが局所でとどまっている 。


衛星がものを見る仕組み

もう少し詳しく仕組みを見てみます。
衛星がものを見る構造は、人間の目の構造と似ているそうです。

通常の光はたくさんの波長の光の集合体です。
ものに光があたると、特定の波長の光は吸収され、残りが反射されます。
人は網膜上の細胞で、吸収されずに反射された光を感じ、色を判断します。

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先に述べたように、人工衛星も同様なのです。
太陽から発せられた光は、大気中のガス成分を通ります。
その際、特定の波長の光が吸収され、残った波長の光が衛星に到達します。

衛星では、その光を観測することで大気中の成分を観測しているというわけです。

違いは、観測できる波長の領域です。
人間が可視光を感じるのに対し、人工衛星Sentinel-5Pでは紫外線~短波赤外線の領域を観測しています。

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人工衛星による観測の重要性

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人工衛星は、連続した時間、高度800kmという距離から地球規模での観測が可能です。
そのデータ量は、ドローンやヘリコプターといったそのほかリモートセンシングできる機器と比べても圧倒的です。

また、幅広い波長帯を観測可能であり、大気中の様々なガスを定量的に表すことが可能です。
そのため、地球温暖化や大気汚染など、地球規模で問題となっている事象を衛星によりモニタリングし、衛星データを用いて解析することは、今後ますます重要になっていくと考えられます。


 おわりに

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「人工衛星は、宇宙から人間の目に見えないものをみ(見、診、観、視)て、世の中の困りごとを解析してくれる大事な存在」という言葉で締めくくって頂いた通り、今のわたしたち人間の暮らしにとって、無くてはならない存在なのだと改めて気付くことができました。

また、質問タイムの中では、あやのさん自身が衛星に興味を持たれたきっかけや、実際どのように事務職から畑違いの業界にチャレンジしたかなども教えていただきました。

宇宙への興味も深まり、自身でできる事は無いか、改めて考える素敵な時間でした。

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