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【コスモ女子勉強会】宇宙×農業★未来の食料生産を考えよう♪

2022年8月22日(月)に株式会社TOWINGの西田宏平様をお招きし、コスモ女子勉強会を開催しました。

西田氏は「次世代の緑に革命を、全ての食卓にサステナブルを。」をキーワードとして活動しています。
宇宙や地球で食料を安定して供給できるようにするために、植物や食べ物の残りカスなどをもとにした有機肥料や植物が育つ土壌の開発を行っています。

今回のイベントでは「宇宙での農業システム」や「月面基地や宇宙ステーションに向けた食料生産」、「宇宙における土壌や微生物に関して」などについて、お話しいただきました。


宇宙で植物を育てるには?

今回のテーマは「宇宙」×「農業」ですが、そもそもなぜ宇宙で農業が必要とされているのでしょう?

現在、宇宙への進出計画が盛んに行われています。
ただ、人がどこかで活動をするためには、まず食料を用意することから始めます。
ISS(国際宇宙ステーション)など、地球の近くで短期間の活動を目的としているなら、食料を輸送するという選択もありますが、定住などの長期滞在の場合には毎日消費する食料を全て地球から運ぶには輸送コストがかかりすぎてしまいます。

そのため、継続的に食料を確保するために農業が必要になるのです。

宇宙で農業を行うことは可能なのでしょうか?
月で農作物を育てる方法を具体例として、西田氏にご説明いただきました。


植物を育てる際には「空気」「光」「水」「養分」の4つが必要といわれています。
このうち、「空気」「光」「水」の3つは以下の理由から、月でも用意できると西田氏はいいます。

1)空気

植物が「光合成」をするためには二酸化炭素が必要です。
二酸化炭素は人間が呼吸をするときに排出するので、用意することができます。
宇宙では貴重な酸素も植物が生成してくれるため、いい循環となっていますね。

2)光

月にも太陽の光は届きますので、太陽光を直接当てたいところですが、実はそれはできません。
太陽からの光には宇宙線という、有害な放射線が含まれているためです。
そのため、太陽光を使って発電した電気でLEDを照らし、植物を育てます。
地球で太陽の光を浴びても平気なのは、地球の外側にあるオゾン層という空気の膜が、宇宙線を吸収してくれるためです。

3)水

植物を育てる上では水も欠かすことができませんが、月の極地、地球で言う北極や南極に位置する場所には氷があることがわかっています。
これを溶かして使用する計画が立てられています。
月の重力は地球より小さいため、水が土にうまく沁み込まず、根腐れを起こすなどの課題があるそうですが、スポイトで吸い出し、水分量を調整するなどの実験が行われています。

▲ 宇宙での農作物栽培の流れ(コスモ女子撮影)

しかし、「養分」の吸収源となる「土壌」を宇宙で用意するのは困難とされています。月の土には微生物がおらず、「土壌」に植物を育てるのに充分な「養分」が無いためです。

西田氏はこの問題を解決するために月で調達できるものを利用してつくる有機肥料や土壌を開発しています。

地球の土壌では微生物の活動によって植物も栄養を吸収しやすくなっています。宇宙では月や火星の砂に有機肥料を加えて「高機能ソイル」と呼ばれる技術(※1)をつかい、良質なソイル(土)をつくります。
この技術を使うことで、通常土づくりには3~5年かかるところが、1カ月で創造できたり、病気に強い植物を育てることができるそうです。
※1 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が開発した技術も使用し、TOWINGが実用化

アポロ計画で月から持ち帰った砂を分析して土壌の実験を行っており、月の砂を再現した模擬砂と有機肥料を混ぜたものだけでコマツナの栽培試験に成功しました。

▲ ソイル工場で土壌を作り、宇宙の畑で使用する(コスモ女子撮影)

映画「オデッセイ」では、主人公が苦労を重ねて火星でジャガイモを栽培していましたが、それと似たことが既に現実で起きているという事実に驚きました。
西田氏が語っていたように、宇宙に進出するうえで食料をどう調達するかは避けて通れない課題であると思います。
西田氏の活動により、人類が宇宙で生活するための準備は着々と進んでいるのだと思い、嬉しく感じました。


さいごに

西田氏が開発している有機肥料は宇宙農業の分野にとどまらず、地球の農業でも注目を集めています。

▲ 西田氏の開発する有機肥料が農業分野でも注目を浴びている(コスモ女子撮影)

農水省が「みどりの食料システム戦略」(参考:農林水産省HP)というプロジェクトで有機肥料利用推進を進めています。
わたしたちは「化石燃料を食べている」といわれるくらい、現在の食料供給システムを有限な化石燃料に依存しているため、化石燃料を使い果たすと農業が成り立たなくなってしまうためです。

しかし、農家の視点では化学肥料を使用することは生産性が高く、安定的に収益を得られる方法となっており、理想と現実がマッチしていません。
西田氏が開発を進めるソイルの技術を使用することで、有機肥料利用が進むのではないかと注目されているとのことです。

▲ お馴染み「C」のマークで記念撮影(コスモ女子撮影)

今回取り上げた内容以外にも、宇宙作物のビジネスモデル紹介や、西田氏も参加している「SPACE FOODSPHERE」の活動など宇宙での農業に関するトピックスを幅広く知ることができる時間となりました!
また勉強会後はコスモ女子会員限定で交流会のお時間もいただきました。
勉強会では聞けなかったお話を伺え、とても楽しく勉強になる時間でした。

コスモ女子は、今回のような勉強会を通して、最先端の宇宙開発の紹介や、宇宙を仕事にしている方と話す機会を提供していきます。

興味を持たれた方はぜひ、公式LINEやSNSを通してご連絡ください!

一緒に活動できることを楽しみにしています!


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