白杖使用者の冒険―周りの地形を教えてくださった道行きのお姉さん

一昨日、昨日の記事の続きです。

点字図書館に向かうため、電車に乗り、高田馬場で降り、点字図書館に一番近い戸山口の改札へ行くには、ホームを一番端っこまで行かねばなりません。
これまたかなりの緊張場面。ホームの端の点字ブロックを、しかし次の電車に乗るためにたくさんホームドアの前に人が並び出したり下手をするとドアが開いて乗り降りがあったりするような中、そろりそろりと必死に集中してひたすら端っこへ歩き続けていると、「ここ、端っこの出口まで行くんですか?」と聞いて来てくださったお姉さま。

「はい、戸山口改札を出たいのです。」と答えると、
「あ、じゃあ一緒に行きましょう。私もそこから出るので」と、腕をとって歩き始めてくださった。
腕を後ろから絡めて持たれる形になり少し不安感と歩きづらさがあったので、「私が捕まらせていただいても構いませんか?」と伝えてみると、「あ、もちろんです。ごめんなさい、どうしたらいいかがわからないもので…」と。いやいや、人にもよるだろうし、謝っていただく必要はないのですけれども。
そんなわけで、改札まで連れて行ってくださったのですが、そこで、

「もしかして、点字図書館に行かれるのですか?」と聞かれ、
「はい、そうです。」と答えると、
「あ、じゃあ良かったらこのまま近くまで一緒に行きますか?私もその近くまで行くので」と言ってくださったので、お言葉に甘えたのだった。

もう既に覚えて何回か一人で行き来している、点字ブロックのある道筋を一緒に歩いているとき、
「ここ、白線しかないし右側(車道と逆側)も駐車場だから、車が出てくると怖いですよねえ」
「駐車場があるのですか!」
「あ、そうなの。今ここの右側、この角のところが時間貸し駐車場になっていてね、結構車が止まってるんですよ。」
「そうだったのですか。周りに何があるのか、まだほとんど知らないもので…」
「あら、そうなんですね。ここ、右側からも車が出てくる可能性があるから、ここ通る時はちょっと気をつけたほうが良いかもしれません。」


そう、点字ブロックなどを目印にしている視覚障害者は、そもそもそういう自分にわかる目印だけしか知ることができずただただ知った少ない情報だけを頼りに道を覚えて歩いていることが多く、周りの景色や建物や歩いているブロックの土地に何があるのかまったくわからず、知らずに歩いていることが大変多いのです。真横にあっても目の前にあってもわかりませんから…。
例え自分の自宅の目の前や玄関横、自宅の建物の色や形すら知らない。
かといって、たまに晴眼者と一緒に歩くことがあったとしても、その方も見えている情報すべて教えてくれることはできませんし、もしそれをされたとしてもこちらも把握し切ることも覚えきることもできません。
そのため、少しずつ僅かずつでも、新しい情報があると覚えることができますし、こうしてふと気付いたこと、気軽にふと伝えてくださると本当に助かります。

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