白杖使用者の冒険―駅構内、都バスにて。わざわざご足労でのお助けマン、ありがとう…!

#視覚障害者が嬉しいと感じた配慮
#障害理解
#白杖使用者の日常
#バリアフリー


点字教室のため、大雨の中、外出。
傘を差して、ひとまず自宅から横断歩道だけ渡ってすぐのバス停に行き…

①バス停にて

ちなみに私はバス停はなかなかに困る。
バス停には一切点字も音声も表示がない。
しかも同じ場所に何種類もの系統のバスが来たりする。
待っている人たちがいても、バス停前の点字を探りながら道路脇まで来てしまうとバスの乗り口(乗る人たちが並んでいても先頭に割り込んでしまうような形)に行きつき、並んでいる人たちが静かだと気付くことができず割り込んでしまう、もしくは逆に、並んでいる人たちに激突してしまう(まあ、その場合は最後尾を聞けば良いし、寧ろそういう場合は助けて色々教えてくれて先に乗れと見守ってくださる場合もあるのだが)
そして、…バスが来て扉が開いても、運転手さんが扉が開くか開かないかの時に「~行きです」というのか、そもそも声が小さくマイクがきいていないのかわからないが…つまり大半の場合、バスの扉が開いてもどこ行きのバス高がわからない。
私はもはや、これが聴こえても聞こえなくても、乗った時に運転手さんに「〇〇(目的下車駅)行きますか」と尋ねることにしている。

まあそんなバス停なのだが、雨の日は特に緊張しながら近づき、誰もいないかどうか点字ブロック上を少しずつ白杖で探りながらにじり寄るように近づき、道路のヘリまで。すると、斜め後ろから、「バス停ですよ」と声をかけてくださった男性!
誰かいるかどうかもわからないため、一切の表示もわからないこういうバス停で声をかけてくださるのは本当にありがたい。
「どこ行きのバス?」と聞いてくれ、上野駅の方面へ行きたいのだと答えると、「あと5分で来るよ」と。
その後も、「このバス停には、〇〇行と、〇〇行と、〇〇行が来ます」
「あ、今来るバスは〇〇行なので違う。この次のバス」など、親切に教えてくれ、バスが来たあとも座席に座らせてくれ、降車停留所での降車ボタンも押してくれ…。

そして……重ね重ねお礼を言ってから上野駅前でバスを降りると、その方もここで降りるつもりだったのでしょうか。また隣で見守って下さっていて、雨の中そろりそろりと確認している私を横断歩道の方まで声で教えて導いてくれ、横断歩道のエスコードゾーンも教えてくれ、上野駅に入って電車に乗ると伝えると、窓口まで付き合ってくださいました。
「行き先、お時間大丈夫ですか?」と聞くと、日本語達者だったのですがどうやら日本人ではなかったのかな。
「私?ヒマ人!(笑) Rich man!(笑) どこへも行ける!何でもできる!だいじょーぶ!」と。
「ついでにイケメン!」と…愉快なかたでした。

しかし、やはり上野駅周辺で降りる予定だったのでしょう。私を駅員さんに引き渡すと、ささっと駅を出て行かれました。
ありがとう。


②駅構内のお店の作業員さんたち


その日の帰宅時、上野駅の中央改札から左側へ行くと外に出る階段がいくつかある。改札から出て正面は広場になっており、良く物産展などのイベントをやっている。今回も何かやっていたようなので、その中に突っ込んでしまわないようになるべく壁伝いに駅の外に脱出しようとしていると…
突然、可愛い女の子の声が
「あっ、動かないで、動かないでーっ!!!」と叫びが聞こえたと思ったら、どうやら、後ろ向きに下がってきた男性と激突、結構しっかりと衝突し、杖も取り落してしまった。
どうやら、壁に近い位置で、駅の構内のお店の関係だろうか、台車を持ってきて床だか壁だか、何か男女二人組の作業員で作業をしていたらしい。それで男性が作業しながら後ろ向きに移動してきて、その先から私が向かってきたので女性作業員の方が男性に向かって慌てて「動かないで!」と叫んだのだろう。
取り落した杖は男性が拾って持たせてくださり、お互いに謝り、「どちらに行こうとしているんですか」と聞いてくださったので(方向的には)この先の階段から歩道に出たいと伝えると、向かいにいた女性の方がさっと私のもとへ来て私の手を彼女の肩に当ててくれ、「良かったら階段まで一緒に」「仕事中なので階段くらいまでしか行けないんですけど…」「あ、初めてで見様見真似なんですけど、肩でいいんですか?これで大丈夫ですか?」などと言いながら、作業中なのに、しかも手引き初めてというのに、わざわざ歩道へ出る階段まで誘導してくださった。
仕事中で階段くらいまでしか…初めての見様見真似なので…どころか、わざわざお仕事中、作業中の手をとめてまで、しかも初めてで勇気が要ったろうに案内しようと迷わず駆け寄ってさっと手をとってくださり、本当にありがとうございます。感動いたしました。

③帰りの都営バスにて


バスに乗り込み、いつも通り念のため降車したい駅を伝えて行くかどうかたずね、ICカードを機械に翳してから一歩前に出た、運転手さんの斜め横の手すりにすがりついて乗っていたら、どうやら、信号が赤のときかな?バスの後方の席からわざわざ立ってこちらへ来る人の気配。女のかた…しかも2人組かな?が、私の腕をぽんぽん、として、「席、空いていますから座れますよ」と言って、席まで誘導してくださった。しかも、「出るときは後ろからだから…」と言いながら、空いている席の中でも後ろの方へ案内してくれたらしい。更に付け加えて、「今、後ろにもうひとつ席があって、降りる扉はその後ろにあります」と教えてまでくださった。
誘導していただいたはありがたいが「ここはどこ?私はどちらを向いているのだろう」となることも多いため、この僅か一言の情報が非常にありがたく嬉しく心に残る。
しかも、わざわざバスの一番後ろに近いような席から誘導しに来てくださり、本当にありがとうございます。


この日は、怖気づくような土砂降り。
怯えながらもそろりそろりと、それでも愉快な男性が駅まで終始助けてくださったため安心して移動することができ、帰宅時には雨はやんでいて、傘は差さずに済みながらも濡れた地面をそろりそろりと帰宅。その中でもまた本日もいくつものあたたかい出会い。
じめじめとした雨の日、みなさんも大変なのに。
補い合い支え合いの輪の中で、この日も、生かしていただきました。


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