著作権とJASRAC

マガジンランド社は、かつて私がお世話になった出版社だった。
ライターのお仕事を始めたきっかけが、こちらの会社の編集長から声を掛けられたことからという経緯がある。
ジャズ好きの編集長と共に何冊か雑誌を手掛けたのちに、私は米国に留学し、編集長は引退。
私とマガジンランド社との関わりは一旦ここで終了していたのだけど、それから何年も経過して、日本に帰国後に入社した会社の総務の方が、前職の在職証明書があれば若干お給料の金額が上がるので、念の為お願いしてみたらどうかとアドバイスされたことがきっかけで、マガジンランド社に電話を掛けたことがあった。

事情を説明するとすぐに社長に取り次いでくださって、そこで私がどんな仕事をしていたかや
当時の編集長についていろいろとお話しさせてもらったところ、何とありがたいことに
在職証明書をいただけることとなった。
(もちろん確認は取っていただいた上ですが)
無数のライターさんとの関わりがある中で、どこの馬の骨かもわからない、直接会ったこともなかったのにも関わらず書類を書いていただいたことに恩義を感じていて、その後、もちろん御礼状も書いたけれど、やっぱり直接会社に伺って御礼をするのが筋だろうと思っていたので、それがずっと頭の片隅に残っており、いつか上京の際にはと考えていた。

ところが、少し前に調べてみたら、マガジンランド社は東京地裁においてJASRACとの著作権使用料を巡る裁判で、JASRACの請求通りの1億6千万の支払いを命じられ、資金難に陥り閉業を余儀無くされ倒産していたのだった。

判決文を読んでみると、何と20年前まで遡って請求されていて、、、その為多額の損害賠償請求となっていた。
この著作権使用料って、20年も遡って請求出来るものなのか驚きである。
争点となった雑誌「歌の手帖」は申告した発行部数を大幅に超過する部数を発行していた、とされていますが、これは微妙なところだと思うんですよね。。。
マガジンランド社の主張にもありますが、雑誌の価値を高く見せるために実際よりも大幅に発行部数を水増しすることもあり得る話と思いますし、発行部数なんてザックリとしかわからないのではないかと。
ひと昔前のこの業界ってある意味信頼関係でビジネスが成り立っていたところがあったと思います。
だから、20年以上もJASRACが知らなかったわけではないと思うのですが、、、。
そしてこれは他社でもあるあるの話だと。。。
そう言えば一時期JASRACが話題にのぼっていたことがありましたが、いつからこれほど権力を持つようになったのでしょうか??
JASRACを敵にまわすつもりは毛頭ありませんが、20年以上も遡って請求ってひどくありませんか??
これは実質この裁判で敗訴したことによって倒産に追い込まれたと言っても過言ではないと言えるのではないでしょうか。

マガジンランド社は無線関係の雑誌から始まって、手芸、クラフト関係を始め韓国芸能情報誌をいち早く手掛けたり、うさぎの専門雑誌やら近年では大谷翔平についての書籍「大谷翔平 二刀流の軌跡」など、様々なジャンルの、マニアックな雑誌を手掛けている面白い出版社だったので非常に残念に思います。
裁判で争った「歌の手帖」という雑誌は主にカラオケ愛好者に向けた人気の高い歌謡情報誌なのですが、訴訟が起こる前(?)かに事業譲渡を行っていたため、無事今日まで守られ現在も発行されています。

歌の手帖社
https://utate.co.jp/

私が訪問した当時、マガジンランド本社は神田錦町にありましたが、のちに九段南に移転していたので、今でも会社が残っていたら近くに靖国神社があるので参拝出来たのに、、、と思うと本当に残念です。
このことから、恩義は早めにお返しすべしとの教訓を得ました。


以前からこのJASRAC問題や著作権に関することは押さえておかないといけないなとは思っていましたが、最近私の知る音楽家が、アップロードした自身の楽曲をハッキングされ、データを盗まれて無断でデジタル配信会社に売買されて、名前も利用され勝手にアルバムとして全世界に流出したという衝撃的な話をSNSで発信されていたのを目にして、ますます著作権問題も身近に迫ってきた感じがいたしました。

株式会社マガジンランドはかつて存在した日本出版社である。
1987年三才ブックスの『ラジオライフ』編集長であった伊藤英俊が、八王子市の無線機販売店パックスラジオの援助でラジオライフ関係者を引き連れ独立し、有限会社マガジンランドを設立した。 

初創刊は同年発行の月刊誌『アクションバンド電波』。創刊前に アマチュア無線フェスティバルで、小冊子の「プレ創刊号」を無料配布した。

1990年株式会社化した。

2020年東京地方裁判所は『歌の手帖』の著作権使用料に関し、少なくとも1998年12月号から2018年1月号まで発行部数を過少申告したと認め、日本音楽著作権協会(JASRAC)の請求通り1億6千万円の支払いを命じる判決を下した[2]

2021年出版不況コロナ禍に加えJASRACへの支払い命令により資金難に陥ったとして閉業を発表 [広報 1]、事後処理を弁護士に一任した[3]。 後に東京地方裁判所が破産手続開始の決定をした。負債総額は約1億円[1]

2022年破産手続は終結した。

ウィキペディアより引用

判決文

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/290/090290_hanrei.pdf


『JASRACに「自分が作詞、作曲した曲」の使用を拒まれた…異例裁判のポイント』

https://www.bengo4.com/c_18/n_9240/

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