人材定着のポイントはあいさつにある!
せっかく育てた人材が辞めていくというのは、組織において大きなダメージになります。経営者としても、縁があって自社に入ったメンバーには定着して欲しいと思うもの。
ところがそんな思いとは裏腹に、残念ながら人材がなかなか定着しない組織があります。
様々な状況や背景があるかと思いますが、離職率の高い要因の一つ。
それは、「あいさつがない組織である」ということです。
たかが「あいさつ」 されど「あいさつ」
今までコンサルティングや研修で100社以上に関わってきていて、多くの企業を訪問してきました。
その中で時々驚くような対応をされることがあります。
それは、私たちや他の来訪者が来ても、社員の方々があいさつをせず無反応であること。
あいさつをしないことはおろか、目があっても無視したり、右往左往されている来訪者がいても知らんぷり。
緊急対応をしていてそれどころじゃないというタイミングもあるかもしれません。それでも1人だけ無反応ということではなく、ほとんどの社員が同じようにあいさつをしないというケースが多いんです。
さらによく観察していると、社内のスタッフ同士のあいさつもほぼなし。黙々と自分の仕事に集中していて、活発なコミュニケーションが見られない。
どうして来訪者にあいさつをしないのか?スタッフの方にその対応について聞いてみると
「私のお客さんじゃないから」
「知らない人だから。私が対応しても応えられないし。」
という回答が返ってきます。
しかも新入社員ではなく、キャリアの長いベテラン社員の方からそういう発言が聞かれることも少なくありません。
さらに、社内コミュニケーションが少ないことを伝えると「そうなんですか?別にあいさつしていないつもりはなかったです・・・」と驚きの反応が返ってきます。
そういう組織の中に浸かると、あいさつがないのが日常になってしまい、残念な状態であることに気づけなくなっているんです。
それは本人の意識レベルの問題もありますが、往々にして組織風土に要因があったりします。
「あいさつ」と「人材定着」の相関性
なぜそれが人材の定着と関係あるの?と思うかもしれません。
私は次の二つの点から「あいさつ」と「人材定着」に相関があると考えます。
(1)自社の理念やビジョンが浸透していない
来訪者にあいさつをしないという行動は、そもそも自社に来た人が全て自分にも関わる人という認識がないということを意味します。自分が相手のことを知らなくても、来訪者は何かしら自社に関係する人ですよね。
自分が関わる人だけ対応すれば大丈夫と思い込み、自分の仕事だけ回っていればOKという考えが根幹にあります。
違う角度から見ると、会社の理念やビジョンが浸透していない(浸透させるための機会がない)という事実に行き着くと思います。
自分が関わる世界だけし見えず、この会社が何を目指していて、自分がそれにどう関与しているのかが腹落ちしていないんです。
となると、「同じような仕事ができれば他の会社でもいいかな」という選択肢が生まれやすく、この会社にいる必要を感じられなくなります。
(2)この会社で働く存在意義を感じられない
あいさつをするという行為は、相手に対して敬意を払うだけではなく、自分を認めてもらえる効果があります。その観点で、社内でのあいさつも実はとても重要なんです。
来訪者へのあいさつがないというのと同時に、社内でのあいさつが少ないという状況は、自分自身がその会社にいる存在意義ややりがいを感じる機会が圧倒的に少ないことを意味していると感じます。上司や同僚から声をかけてもらえず、自分の仕事だけを淡々と進める。
となると、自分がこの会社で働き続ける動機付けが少なくなり、自分がこの会社にいる意義が見出せなくなります。
そうなると、「別にこの会社じゃなくてもいいや」という考えにつながりやすくなります。
あいさつしよう!
たかがあいさつだけでここまで推測する?と思われるかもしれないが、私はこの相関性は高いと確信しています。
外部の人でも社内の人でも、あいさつをされたら気持ちが良いものです。相手にも安心感を与え、そして自分も承認されるという嬉しい効果があります。
定着率を上げて、生き生き働く社員が増やしたいのであれば、まずは「あいさつをする」ことから始めてみましょう!
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