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介護10年目が思う「介護職」について。

もうそろそろこの業界に浸かって約10年が経ちます。
20代から始まり、もう30代を迎えました。
あっという間です。
コロナ禍によって日々の業務が激化、人手が減っていく中で、
今更ながら「このままで良いのだろうか」と思う事があります。

よく、「優しいから介護向いているよ!」という言葉を聞きます。
優しいとは何か、何故優しいと介護に向いているのか。
そこにはシンプルに「ストレスを受容できるから」という偏見が込められていると思います。
そんな今日は介護を続けていた私は思う、「介護職に向いている人」はどういった人か、というお話をしていこうと思います。
諸説ありますし、色々な価値観があるので、あくまで一人の介護職が思う事程度に留めて頂けると幸いです。

結論から申し上げまして、介護に向いている人は以下の人です。
・人の為に自分の時間を減らしてでも動きたいと思える人
・慈善活動の如く、低賃金でも人の笑顔が見たいと思える人
・日々変わらない事を淡々と行える人
・何度も繰り返される事に耐えきれる人
・嫌いな人の顔を見てもイラッとしない人
・同時に多数の事を処理できる人
・徒党を組まれて否定をされても耐えられる人
・結果、生活に反映されなくても努力が出来る人

沢山書きましたが、これくらいはあるかな、と思います。
順を追って説明していきます。
まず、意識が高い施設ほど、職員側の時間を使わせようとしていきます。
サービス残業というものですね。
「利用者に良い生活をしていただきたい、それが私たちの存在意義」
と、個人の存在意義を会社の存在意義とすり替えていきます。
ブランディングや、方向性がしっかりしている程、この純度は非常に高いと思っていただいていいです。
その分、利益主義な方はこの価値観に違和感を感じてくると思いますので、他の職員とのズレを感じていくはずです。
なので、時間的、経済的に職員側がスレていきます。
でも価値観がバグっているのでその事実に気付かないのです。

そこで登場します。もはや慈善活動なのです。
「ご利用者さんの笑顔が見れるから幸せ!」はほぼ逃避です。
実際帰宅すれば家事に追われ、家は散らかり、食事すらままならない人も見てきました。そういった人ほど職場がカオスです。
でも職場に来ればすくなくとも衛生的には整っていますし、そういった現実を見なくて済みます。これもまた、存在意義を職場にすり替えているパターンです。

2つ目に、日々の業務において、「同じことを同じ品質で早いスピードで行えるかどうか」です。
これは別に介護職だけに限った事ではないんですが、介護職の場合、ここに「ご利用者様に寄り添えているか」がプラスされます。
同じ事を同じ品質で、どれだけスピードを上げたところで、「ご利用者様に寄り添えてない!」と判断されてしまえばその評価は底辺まで落ちると思っていいただいて結構です。
その価値観も様々です。ご利用者様からの評価が高かったとしても、上司の目から「寄り添えてない」と思われてしまえば終わりです。そういった世界です。なので、「業務を行いながら、ご利用者の対応をする」といった意味で、同時に多数の事を行う力を求められます。なので、業務が出来ていないとスタッフから「出来てない」と叩かれますし、ご利用者の対応ができてないと上司から「寄り添えてない」と言われます。
同時に行えなければ評価できない、業務の処理とご利用者の対応はそれぞれ分野の違う事なので意外と大変だったりします。

次に、これは他業種が絡んでくる仕事なので発生することです。
介護職というのは、他業種連携を必要とされる場所です。
医師・ケアマネジャー・看護師・介護職・時にレンタル業者等…
その中で現場でよく一緒になるのは看護師と介護士です。
看護師と介護士の視点・業務は違います。
だからこそ情報共有だったり、日々の意見交換が重要となるのですが。
大多数、専門的な業種という事もあって、看護師が力を持っている施設というのは多いです。
だからこそ、看護師に目をつけられる、当たられる対象になったら最後、徒党を組まれて叩かれる最後が待っています。
実際復帰、関係の回復は非常に難しいと思ってください。
回復できたとしても、そこまでの労力、必要があるのでしょうか?
そこで乗り越える事も時に必要だと思います、けれどそこに固執する必要はありません。
ただ、現実として「そういう結果があった」という事実は受け止め、次への糧にしなくてはなりません。
「逃避」ではなく、「勉強」という認識。これが次の施設でも活かせることです。

ちなみに介護職は、「介護福祉士」を持ってなくてもできます。
待遇もさほど大きく変わりません。
ただ、持っている事で箔がつくというのは間違いなくあります。
面接の時だったり、職探しの時、肩書というのは介護職にとってメリットです。
給与面でも変わってきますし、正社員なのかパートなのか、それすら変わってくる事があります。
なので、取りたいと思う人は早めに取って良いでしょう。(ちなみに私は今年受験です)
この際に、実費で取るのか、それとも現場で補助が出るのか。
それも異なる場合があります。
補助が出る場合は必ず貰いましょう。分からない場合は確認してください。

最後に、これから介護を仕事にしていきたいと思っている人にお伝えしたいこと。
以下の事は施設を選ぶときに参考にしてください。
ほぼマストであるといっても過言ではありません。

・後ろ盾がしっかりしている(社会福祉法人、医療法人、指定管理が入っている)
・施設としての役割が明確になっている
・職員に対しての保障が整っている
・雰囲気に惑わされない

まず、この福祉業界において、有限会社・株式会社。大手なら良いのですが中小企業が行っている施設は危険です。(偏見もあり)
まず立てるだけ立てて様子を見ない、経営難に陥っている、トラブルなどが起きている事実を黙認・把握できていない場合があります。
給与も安定しておらず、最低賃金での労働、昇給は見込めません。(そこまで利益が無い)
もちろん賞与も貰えない場合が多いです。
なので、社会福祉法人であったり医療法人、ちゃんと運営している団体が存在して、運営そのものが整っているかどうか確認しましょう。これが整っていれば正直、他のポイントに関してはクリアしていると思います。

施設の役割。これも大事です。
例えば「自立できるまでの機能回復を目指す」、「日々の生活を送るための機能を維持する」など、目的が明確になっているほど、行う業務や言動、行動も統制されますし、利用者の質も統一されていきます。
しかし、この目的・役割が「利用者に幸せな日々を行って頂く」、「安心した最期を迎えて頂く」などの曖昧だったり、人によって価値観が変わっていくものを主軸としてしまうと、施設自体の自由度がかなり広がります。(それが良さでもある)
その分、ご利用者にとっては良い事です。
喫煙やアルコールを認めたり、日々の生活を重視する事は大事なのです。
しかし、その分職員に求められることは大きくなります。
その求められることも止め処なく、際限なく。
職員を増やしたり(増やせる余裕がない)、枠組みを決めていかないので、そいったニーズを受け止める器も大きくなりません。
クレームは増えていくことでしょう。実際そうですし。
ただ、顧客満足度は維持でも守ろうとするので、ご家族からの評価は高いです。
だからこそ、日々の生活、自分の生活を大事にするのであれば、施設の役割や目的がハッキリしている方が働きやすい、という事はあると思います。

最期に、これは福祉業界だからこそ大事にしたいところ。
待遇や守ってもらえる保障がしっかりしているのか。
給与は昇給していくのか、賞与が貰えるのか。
リフレッシュ休暇はあるのか、年末年始はどうなのか。
資格を取る場合は補助をしてもらえるのか。
そういった金銭面に拘ること。
日本人にとっては非常に難しいことです。
「お金の話をするなんて汚いこと」だという意識。
でも、私たちの生活を守ってくれるのは、間違いなくお金ですし、そういった仕事の保障です。
大事にしてください。

今回の記事は割と長くなってしまいましたが…。
決して、施設の雰囲気、代表の甘い言葉。
崇高な目的などに惑わされないでください。
あなたがこれから介護を仕事をしていく上で、仕事を大事にしたいのか、
自分の生活を大事にしたいと思うのか。
それは人それぞれです。
けれど、介護とは端的に申し上げて、「自分の命・魂を削って、これから衰退していく(回復していく人もいる)に奉仕していく仕事」です。
正直、外部との繋がりは作れませんし、お付き合いする相手も作りづらいものです。
最後に残るものが少なく、変化が多いこの仕事であなたが何を大事にしたいと思うのか。
よく考えてお仕事の場所を選んでいただければと思います。
今の介護業界で働く方、私と同じで思う事、悩んでいる事。
色々あるとは思います。
そういった方は、是非共有していただけると幸いです。


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