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オンライン授業をnoteで作成する試み


1.オンライン授業パッケージを何を使って作成するか


私はある大学で「ジャズの歴史」を週2コマ担当しています。

今回、春のセメスターがすべてオンライン授業となることが決まったのは3月末ぐらいでした。授業開始は5月の最終週で、7月の最終週までの10週間で、最低12週分の授業をオンラインで行うことになりました。

最初はZoomなどを使ってのリアルタイム授業も考えたのですが、通常は「レジュメ」「講師の話」「音源または映像」の3つの要素を組み合わせて授業を行っていることもあり、その三要素をパッケージにして学生に提供し、いつでも受講できるようにした方がいいのでは、という結論に達しました。

この方法の利点として、学生は(1)いつでも受講可能、(2)何度も見直すことが可能、そして講師にとっては、(1)それまでの授業を根本的に見直してブラッシュアップできる、(2)完成した授業の形を記録として残せる、(3)将来、必要とあらば再利用が可能、ということが挙げられます。

問題はそのパッケージを提示する媒体です。大学側からはそうした媒体の提供はなく、講師各自に任せられた状態ですので、見やすくてさまざまなリンクが貼れて、そしてなにより講師の私が使い慣れている、という点で、noteを使うことにしました。

もちろん、公開の状態にすると受講生以外の人も読めてしまいますので、これはかなり反則なのですが「下書き」のままにして、受講生のみに共有用リンクを教える、ということにしました。

果たしてこれが最良の方法なのか、かなり疑わしいのですが、とりあえずはこのやり方でスタートしています。


2.授業のパッケージを構成する手順


授業のパッケージを作るまでの大まかな手順を書いてみましょう。

(1)春のセメスターでやるべきことを整理して、1回ずつの内容を決定する。

(2)その内容に沿って貼り付けるための資料を収集する。

(3)文章と資料の貼付けで一回分の下書き(の下書き)をnote上に作成する。音源と映像の合計時間を40~45分程度にする。

(4)1授業につき4〜6回分、合計30〜45分の話を録音する。

(5)録音した音源を適宜貼り付ける。

(6)全体を見直して校正、再調整。

(7)出席票を兼ねたインプレッションカードを最後に貼り付ける。


3.授業パッケージの具体例


まずはタイトルと表紙写真(この記事の表紙と同じく、ルイ・アームストロングです)。その後に、授業についての内容紹介、イントロダクション。

こんな感じです。


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講師の話、最初は音源のみにしていましたが、途中から10分程度の映像(Zoomのミーティングを一人でやって、レコーディング機能で録画、それをYouTubeにアップして「限定公開」)も使うようにしています。その場合、Zoomの「共有」機能で資料を見せます。この画面は「共有」中のところ。講師の顔は右上に小さく表示されます。

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音声はポッドキャスト化したもののリンクを貼っています。音源と映像はYouTubeから探したものを使っています。

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図や表、地図なども適宜貼り付けています。

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基本的はこの繰り返しです。

そしてインプレッションカードはGoogle Formで作成しました。

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4.今後の課題と展望


幸い、受講生からはおおむね好評のようで、技術的問題も、講師の声が小さい(これは録音レベルを上げることで解決しました)という以外は特にないようです。

問題点は、一つのパッケージを作成するのに8時間ほどかかること。ここまでやったので、対面授業が始まる予定の秋学期の分も作成して、受講生たちに見てもらうつもりですが、時間的にはかなり厳しいものがあります。

根本的な問題として、これがあれば講師が対面授業を行う意味は何なのだ、ということも考えてしまいます。

とはいえ、コロナウイルスのために通常の授業を受けられない受講生のために、可能な限り便利で充実した内容の講義パッケージを作成・提供するということは講師の責務ですので、思いついた方法をあれこれ継ぎ接ぎしてなんとか作成しました。作成する過程でさまざまなことを学ぶことができて、個人的にはよかったと思っています。そして、実はこのパッケージ作りは、とてもおもしろくて楽しいのでした!

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