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地域を深く辿ることは、地域の未来を考える近道

亀岡での学び

先日、京都の奥座敷とも言われる亀岡市に言ってきた。僕の妻の実家もあるのでもう一つの故郷のような街だ。ただ、故郷のように感じるのはそれだけではない。風景やそこに脈々と根付いてきたであろう歴史や文化に何か懐かしさを感じるのだ。今回は、今後亀岡のものづくりやその背景にある文化・風土・歴史を体感していただく学びのツアー(「ラーニングツーリズム」と呼んでいる)の実施へ向けて企画を練っていくためのリサーチのために訪問した。ご一緒しているHarvest Journey Kameokaの並河さんと話している中で、やはり地域のことを深く知るには地域の民俗博物館が一番!ということで行こうと思ったらコロナ禍中で休館…_| ̄|○ だったのですが、なんと学芸員の飛鳥井さんが休日にも関わらず、ご案内いただけることに。なんという贅沢な。感謝しかない!

ここで詳しく書くとツアーで行ったときのネタバレになるので、内容は置いておくが、今回のリサーチでは多くのことを学んだ。例えば地形。トップの写真は保津峡の入口にある請田神社から亀岡市街を臨んだ光景だ。請田神社自体の由緒にあるように出雲地方から来た神様がもともと湖だったこの盆地を開拓するために来たという。実際に写真に見える一帯は川の流域が広がっており、保津の名前の通り、京都とつながる物流港だった。(「津」は船舶が停泊するところを意味する)

その他、出雲大神宮や国分寺が存在するように京都に都が来る前から渡来人による町が栄えていたことや、戦国時代を経ての亀山城の築城がもたらした町の構造やものづくり、物流・経済、政治などへの影響など、今目の前に見えている町の状態につながるダイナミックな歴史を感じることができた。

現代の町の姿や社会の構造は、こういった自然環境という与条件下において数千年前から連綿と続いてきた人々の絶え間ない活動やかかわり合いの中で生み出されてきたものである。だからこそ今この「瞬間」で捉えるのではなく「流れ」の中で捉えるべきだろう。同じように一つの産業などの「点」で捉えるのではなく、「全体」で見るべきだろう。
このように「流れ」と「全体」を見ることで、地域のこれまでを捉え、これからの未来の状態を描いていくべき方向性は自ずと見えてくる。

しばしばヨソモノ・ワカモノ・バカモノが地域を変えていくと言われる。客観的にしがらみに囚われず、新しい発想で考えて行動していくということがこの言葉の意味するところだと思う。(言葉通りに受け取る必要はない)加えて、「ホンモノ」である必要がある。それはこういった「流れ」と「全体」を見ていくことだ。未来を切り開いていくためには、その地の過去にできるだけ広く深くダイブしていく視点と行動が必要だと思う。そのためにも僕は地域に行ったら、まずは民俗博物館に行って学芸員の方に伺うことを第一に考えてきたが、今回改めてその重要さを感じた。(並河さん、飛鳥井さん、ありがとうございます!企画の練り込みに向けて、またやりましょう)

関西オープンファクトリーフォーラムVol.6での登壇

別件になるが亀岡から西に山を越えた兵庫県の北播磨地域、行政区域で言えば西脇市と多可町において開催された「関西オープンファクトリーフォーラムVol.6」にお招きいただき、「先駆的事例に学ぶ ~ホンモノの“交流”とは~」と題して基調講演を行い、地域のプレイヤーの方々とパネルディスカッションを行った。
僕からは先駆的事例というわけではないが、先に色々ともがき苦しみながらも国内外の色んな事例や理論も学びながら、色々と考えて京都の地域の未来のために頑張ってますといった主旨のことを話した。

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話した内容の詳細は割愛するが、ここでも大事なことは、やはり「地域のことを深く知る」ことであると強調した。北播磨地域にも織物が存在しており、宮大工の人が西陣から織物技術を持ち帰り、江戸時代に生産が始まった「播州織」がある。もともと気候的に綿の栽培が盛んだったこと、加古川・杉原川・野間川という3つの川があり、染色に適した水質だったことから先染の綿織物が盛んとなった。
このようにものづくりや歴史・文化は、地域の風土と密接に関わっているので、オープンファクトリーといった機会で現在の地域の産業とそこで働く人々のことを知ってもらう上でも、自分たちが来た道をまず調べて自分の現在地を確認し、その上で一緒に未来を語っていく。これが第一歩だと思う。パネルディスカッションでもそういった話を播州の未来を担っていく方々とお話し、帰りに播州ラーメンを食べた。

一気にスープも飲み干すほど、あっさりとした中にも少し普通のラーメンと比べて甘い味が独特だった。

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その甘さがなぜなのだろと思って、店の外に出てからこの看板を見て納得。

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やはり、産業は地域と人と密接に関わっている。そして人は地域に根づいた美味しい味によって、より関係性を深め、明日も力を合わせて支え合っていく。そんなことを感じた北播磨での滞在だった。

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