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2021年のスタートにあたって

2020年は世界全体が様々なことに見舞われました。弊社でも2013年の創業以来、初めて海外でのリサーチや交流イベントなどが一切実施できないという状況となりました。ミラノやミュンヘン、ポートランド、台湾で進めていた取り組みは全て実施できなくなりました。3月より早急にオンラインでの取り組みを進めたこともあり、逆に新たな出会いや交流の形にチャレンジできましたが、それまで「当たり前」と思っていたことが実は「当たり前ではなかった」ということに気付かされ、まるでどこまでも続く霧の中にいるように先が見通せなくなりました。

そのような中でもただ1つだけ確かなことは「Great Reset」とも言われたように「何が大切なことなのか」という問いを私たち一人ひとりが投げかけられたことではなかったでしょうか。
コロナ前の時代の「当たり前」も実は「当たり前」ではなく、地球環境の破壊や近隣コミュニティの希薄化など、人類の歴史的に見ても「異常」でした。一年前も百年前も千年前も一万年前も人類は、常に苦難の状況に置かれており、常に隣人たちと力を合わせて生き残ってきたのです。そのような歴史を振り返ってみれば、逆に20世紀の社会が異質だったと改めて感じます。物質で満たされた代わりに心は満たされず「空虚さ」が募っていく。この「異常」だった従前の「当たり前」に戻ることはないでしょう。今こそ一人ひとりが力を合わせて「大切なこと」を基軸とした暮らしを作っていく時が来ていると思います。

弊社を創業した経緯を改めて振り返ると、環境問題を始めとした様々な世の中の問題を解決したい、そのためには地域の風土の中で人々が暮らし合ってきた中で培ってきたものであり、人類の叡智が詰まっている地域ならではの文化を国内外に伝えていきたいと考えことがきっかけでした。そのためには地域の文化に対して人々が目を向け、その担い手の方々と交わり合うきっかけや場を作ることで、「空虚さ」ではなく「豊かさ」によって人の心を変えていけると考えたことが今の取り組みの原点です。

昨年の苦難を通じて、創業以来注力してきた近しいコミュニティでの関係性や支え合い、高め合いなど「ローカル」での活動の重要性に世の中が気づき、少しずつ目を向け始めました。

今、新たに確信しています。時が動き始めていることを。昨年、曽爾高原を約30年ぶりに訪れ、その雄大かつ畏怖の念を抱かせる悠久の大自然の中に立ったとき、人の小ささを感じざるを得ませんでした。私たち人間は支え合い寄り添い合っていくことでしか生きられない動物です。だからこそ力を合わせて、時代を創っていけるのです。その叡智の結晶が文化なのです。幸い、日本には数千年の歴史を今に受け継ぐ文化が今も身近に存在しています。それに気づき、「中今」(過去と未来の中間である現在を精一杯生きて未来に繋ぐ)の価値観でこの叡智を尊重し、生かしていけばきっと美しく豊かな世界を創っていけるはずです。

新たな時代へと歩みだした2021年元旦
COS KYOTO株式会社 代表取締役/コーディネーター
北林 功

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