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地域をフィールドとする人材創生

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日本の各地には、エドノミー®をはじめ、その土地の風土で培われてきた知恵=Local Wisdomがあります。実際に地域を訪ね、その知恵を探求していくツアーや人材育成などのプログラ… もっと読む
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記事一覧

大三島で考えた、コーディネーターに求められる要素、そして地域側の要素

今週は月曜から瀬戸内の大三島に行ってきた。 今回のメインの目的は、この島にどのようにして海外から人が訪問してもらえるようにできるか、その上でどのような地域の未来を描いていくのかという事業の一環で、アドバイザーとして訪問した。 この島は、「神の島」とも呼ばれ、瀬戸内海でもかなり重要な位置づけとされる。僕自身も今回が初めての訪問だったので、地域の皆さんと議論するためにも、早めに行って島を巡ってきた。 大三島に行くには、関西からだと新幹線で福山へ行き、そこからバスに乗って大三島

見えないところを把握して、適切に人の手を入れて豊かな自然を維持する考え方を学び、先祖たちに思いを馳せる

🌸2023年5月1日〜7日の振り返り GWの怒涛の中国地方日本海側リサーチのあと、体力・知力ともに色々とアテられたのか、実は体調を崩していた。そのため、今更ながらのアップ。 ・玉利くんを始めとするKyoto Kitchenのメンバーらと一緒に「土中環境」著者の高田宏臣さんをゲストに招いた「プラネタリー ヘルス アクション」主催のワークショップに参加。初めての高田さんの圧倒的な熱量を浴びる。 大山のパワー、それに対する人の無知な営みと環境の破壊、土中環境改善から人の心の改

京都のモノづくりをアップデートするデザインとは?北林 功 × 井登 友一対談イベントレポート

人間中心デザイン・UXデザインの分野で、20年以上実務家として活躍してきたインフォバーン取締役副社長 井登 友一が上梓した初の単著『サービスデザイン思考 ―「モノづくりから、コトづくりへ」をこえて』。IDLは、この一冊を軸に様々なゲストと共にイベントを開催し、多様な視点から「デザイン」や「モノづくり」について対話を重ねています。 本記事では、2022年12月に開催されたイベント「京都のモノづくりをアップデートするデザインとは?」をレポート。文化ビジネスコーディネーターとして

南方熊楠を通じて入っていく自然回帰の世界観

先日、初めて白浜・潮岬を訪れた。宿から近かったということもあって、南方熊楠記念館に立ち寄った。南方熊楠は知の巨人として名前は知っていても、どのような思想でどのようなことに取り組んだ人なのか、あまりわかっていなかったというのが正直なところだ。 正直言って、なぜ今まで知らなかったのだろうととても悔いると共に、今のタイミングだからこそ出会ったのかもしれないとも思う。 南方熊楠の世界観や考え方などは、まだまだこれから理解を深めていくという段階だが、森と大地ー川と海の関係性を紐解き、

年始の挨拶と、引越作業を通じて感じたコミュニティの大切さと「物質文明」への違和感

2021年、大変お世話になりました。2022年もどうぞよろしくお願いします。弊社は2013年の設立ですので、今年で10周年の区切りを迎えます。「自律・循環・共生する心豊かな社会」を目指して、そのための叡智が地域の産業や文化の中にあると気づいた30代前半にシェアオフィス(現Mesh Kyoto)にて創業しました。世の中の人にそれらの叡智を楽しみながら広げていくことをビジネスを通じて取り組もうとなかなか経営者やリーダーに向いているようなタイプではないものの、世の中にまだそういった

エクストラバージンオイルと人生の偶然

初めてトスカーナの「クレタ・セネーゼ」(直訳するとシエナ地方の粘土)を訪れた時、茶からグレーに無限に変化する土色の穏やかな岡の連なり、そんな中、まるで正確に測ったように並ぶオリーブ畑、そして大きなカーブを描きながらレンガ色の農家に続く糸杉、そんな風景に胸が痛むような大きな感動を受け、それ以来私はこの土地に通い詰めています。 何百年もの間、人の物語が作り上げた素晴らしい風景です。 クレタ・セネーゼに初めて行った時に宿泊した、古い城を改装したホテルの夕食で出されたオリーブオイ

文化・経済・心の3つのバランスを取ることの重要性を考える

同志社大学のビジネススクール時代の恩師・村山裕三教授から教わったことの大事な要素の一つに「文化性と経済性」のバランスを取ることがある。これは、工芸などの地場産業が持続的な仕組みを確立していくときに考えるべきことを示している。つまり、経済的にしっかりと収益を上げて人材を確保・育成したり、必要な投資を行っていけるようにすることと、その際に地域およびその産業の軸となる「文化の芯」を失わないようにする(=「文化ビジネス」と呼称)ことの重要性を意味している。 「文化の芯」を失って「経済

地域を深く辿ることは、地域の未来を考える近道

亀岡での学び先日、京都の奥座敷とも言われる亀岡市に言ってきた。僕の妻の実家もあるのでもう一つの故郷のような街だ。ただ、故郷のように感じるのはそれだけではない。風景やそこに脈々と根付いてきたであろう歴史や文化に何か懐かしさを感じるのだ。今回は、今後亀岡のものづくりやその背景にある文化・風土・歴史を体感していただく学びのツアー(「ラーニングツーリズム」と呼んでいる)の実施へ向けて企画を練っていくためのリサーチのために訪問した。ご一緒しているHarvest Journey Kame

DESIGN WEEK TANGO 2021の運営を通じて感じた丹後のクリエイティビティとその源泉

「丹後のものづくりを100年後につなげる」をキーワードに、6月24日−27日に初めて開催したDESIGN WEEK TANGO2021。まだまだ整理しきれていないが、少しずつ言語化していきたいと思う。 織物・機械金属・農作物という様々な丹後のものづくりの21社が現場を開き、プロセスを説明し、現場で交流することで、どうやってできているか、どこで作られているか、なにを作っているかが明確に分かるだけでなく、その作り手の思いや背景を感じ、人と人との交わりを生み出していくことができる

四分一生活が今後のスタンダードになると思う。例えば職人が①物を作る/修理やアップサイクルする②教室や体験を提供する③畑や森を整備して農作及び材料栽培する④地域コミュニティで支え合う活動をする、など1/4ずつの仕事をすることだ。専業ではもはや成り立たない社会の当たり前。

「生感」について

昨日今日と2日間にわたって、工芸から新しいビジネスを生み出していく「クラフトソン2020」を開催した。 「工芸」という言葉、その営みについての理解を感覚的な部分も含めて参加者には感じてもらいたいと思って、今回のインスピレーションスピーカーとして、『食とアニミズム』を現在執筆中の玉利さんに話してもらった。玉利さんとは10年近く前からゆるく繋がってはいたものの本格的にご一緒するのは初めてだった。 彼が発信している内容には、とても温度というかじんわりとしっとりと伝わってくるものがあ

コミュニケーションの質と意味がさらに問われることになる「ハイパーローカル」の時代。

他の欧州諸国と同じくイタリアも、およそ2か月続いた封鎖が今月4日から徐々に解除されはじめました。しかし、封鎖から一気に怒涛の如くにおきた「可能な限りのオンライン化」は、当然ながら「解除」されることなく定着しそうです。デジタルトランスフォーメーションの導入に注力していた人たちは、「こういう惨事を経て、やっときたか」という感慨をもっていると思います。 もう一方、別の見方もあります。オンラインが普及すればするほど、リアルな世界の価値がより上がる。ただ、あまり極端は想定をする必要も

FabCity/MetaPark(2)

著者らは、2011年に日本初・アジア初のファブラボを鎌倉に設立した。3Dプリンタやレーザーカッター等の「デジタルファブリケーション」技術を一般市民にもアクセスできるよう門を開いたファブラボは、「ものづくり市民工房」あるいは「まちの工作室」とも呼ばれ、鎌倉と筑波を皮切りに、多様な「ファブ施設」という形態で社会に広がっていった。その結果、カフェと一体化した「ファブカフェ」等日本独自の融合形が生まれ、過去8年間で日本国内での「ファブ施設」は100以上に増えている。世界規模でも年々倍

「わからないもの」と日本的身体 〜イノベーション(新結合)のための"出逢い"

(標題写真 photo by bozzo) 先日、COMEMOのアート×ビジネスイベントの第二回が開催されました。 今回は、「身体性」をキーワードに、僕が日本を代表する「身体のプロ」だと考えている、能楽師(という枠にはすでにおさまらない方ですが)の安田登さんと演劇家・藤原佳奈さんのお二人をお招きしました。 イベントの詳細は、公式レポートにくわしいのでこちら↓をご覧ください。 また、参加者の方からもnoteで感想をお書き頂いています。どれも質の高いレポートでだいぶイベン