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この世界はきみのもの



体内で細胞が弾けていく
ぬるくなったソーダ水を置いたまま
私の抜け殻がぶら下がっている

頭の中で音が鳴る 全身を痺れが覆い尽くす
怖くはない ただここにある現象
懐かしい香りがする 鼓動が泡立つ
傾いていく 暗闇へ溶けてく
手を離せばただその隙間へ入り込む

向こう側には誰も居はしない
たましいが渦巻く先を見据え
立ち伸びる影を追いかけた
暗闇の中 呻き声がこだまする
張り付いて離れない
足元にある何かを蹴り上げながら
踏みにじりながら
裸足のまま 気が付けばまたここに
背後より伸びた手の感触が
この身に 身体の奥にまだ残っている


物音 数字 言葉 流れ行くもの
直視することができなくて
淡色の布の中で縮こまる
何ひとつ変わってなどいない
花の香り 空の色 美しさ 愛おしいもの
分からなくなってしまった


抱き締めたかっただけ
溺れていたあなたを
砕けたあなたを
壊れないで と
生きているあなたを
安堵できる場所に連れてゆきたい
本当に何も思わなくなってしまう前に
ただそれだけだった
助けてあげたい
助けて
ただそれだけで

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