【文系や初心者向け】3.品質管理のための統計学【品質出身者が語る】
このシリーズは、品質管理と統計学の基本から応用までを幅広くカバーし、初心者や文系の方々でも理解しやすい内容とすることを目指します。
品質管理の世界において、変動性は避けがたい現象であり、製品やプロセスの品質を維持し向上させるために理解し管理する必要があります。統計学はこの変動性を理解し、分析するための強力なツールを提供します。変動性を統計的に分析することで、その原因を特定し、品質の改善につなげることができるのです。
品質管理のための統計学
変動性とは何か?
変動性とは、製品やプロセスの出力が一定の標準や期待値からどの程度変動するかを示すものです。この変動は、自然変動(または共通原因の変動)と特殊原因の変動の二つに大別できます。
品質管理の目的は、特殊原因の変動を特定し排除することと、自然変動の範囲を理解し、可能な限りその範囲を縮小することにあります。
統計的ツールによる変動性の分析
変動性を理解し管理するために、以下のような統計的ツールが一般的に使用されます。
これらのツールを使用することで、プロセスの安定性を評価し、変動の原因を特定することができます。また、プロセスの改善活動を行う際に、どのような変更が有効であったかを評価するための基準としても使用できます。
変動性の管理
変動性を管理するには、まずプロセスが統計的に制御されているかどうかを確認し、特殊原因の変動を特定して排除する必要があります。その後、プロセスの改善を通じて自然変動の範囲を狭めることを目指します。このプロセスの改善は、しばしば試行錯誤を伴いますが、統計的ツールを使用することで、その効果を客観的に評価し、改善活動を効率的に進めることができます。
変動性の分析と管理は、品質を保つためにとても大切な作業です。統計の知識を使って、物事がどのように変わりうるかをきちんと理解し、その変動をうまく扱うことで、製品やサービスをより良くして、お客様を満足させることができます。変わりやすさをうまく取り入れ、深く理解することが、品質を高める上での重要な秘訣です。
品質管理の分野では、様々なツールが品質の向上と問題解決のために使用されます。ここでは、品質管理において特に基本的かつ強力なツールであるパレート図、フィッシュボーン、管理図について紹介し、それらの使い方を解説します。
パレート図
パレート図は、問題の原因を優先順位付けするために使用される棒グラフです。このツールは「80/20の原則」に基づいており、多くの場合、問題の80%は原因の20%によって引き起こされるという考え方を表しています。
使い方:
問題の原因または不具合の種類を特定します。
各原因について、その発生頻度、コスト、または影響度を測定します。
データを降順に並べ、棒グラフで表示します。
グラフに累積パーセンテージの折れ線グラフを追加して、重要な原因が全体のどれくらいを占めているかを視覚化します。
パレート図を使用することで、努力を最も効果的に集中させるべき問題の原因を特定することができます。
フィッシュボーン
原因と結果の図、またはフィッシュボーンダイアグラムは、問題の根本原因を特定するために使用されるツールです。この図は、その形が魚の骨に似ていることからこの名前がついています。
使い方:
ホワイトボードや紙の右側に問題(効果)を記入し、その問題に向かって矢印を引きます。
主要な原因のカテゴリー(例えば、人、プロセス、材料、機械)を「骨」として矢印から斜めに伸ばします。
各カテゴリーについて、具体的な原因を分岐させていきます。
ブレインストーミングを通じて、さらに詳細な原因を追加します。
このツールを使用することで、問題の多面的な原因を視覚的に表現し、根本原因の特定に役立ちます。
管理図
管理図は、プロセスが時間の経過とともにどのように変動するかを監視し、プロセスが制御されているかどうかを判断するために使用されるグラフです。
使い方:
監視したいプロセスからデータを収集します。
収集したデータの平均値(または他の中心傾向の尺度)を計算し、グラフにプロットします。
プロセスの自然な変動を考慮して、管理限界(上限と下限)を設定します。
データポイントが管理限界内に収まるかどうかを監視します。限界を超えるデータポイントがあれば、プロセスに特殊原因の変動が存在する可能性があります。
管理図を使用することで、プロセスが安定しているかどうかを継続的に監視し、品質の変動を早期に検出して対処することができます。
これらの基本的な品質ツールは、品質管理のプロセスにおいて非常に強力であり、問題の特定、原因の分析、プロセスの監視と改善に役立ちます。
これらのツールを適切に使用することで、製品やサービスの品質を向上させ、顧客満足度を高めることができるでしょう。
…と、ここまで少々難しいお話が続いてきました。表面的な部分にとどめているので、ザックリ理解できていると嬉しいです。統計は、品質を語るうえで欠かせないものなのですね。
↓ 続きはこちら ↓
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?