大阪府の新型コロナ重症者の割合など

 Scienceに新型コロナは10年後に普通に風邪になるなんて論文が出たようですね。まだ見てませんがまぁ年数はともかくその通りだと思います。実はこのことを示したくて(ひとつの考察のきっかけ)として紹介したいPNASの論文があるのですがなかなか文書にするのは大変です。話すのなら簡単なんですけどね。ものを書くってのはしゃべるより大変です。眠った下書きがたくさんあります。まぁそんなことはともかく今回は大阪府の重症者数に関して府が公表しているデータをもとに表をいくつか作成しました。こういうのは意外に手間がかからずついついしてしまいます。20/11/16以降発表形式が変わっているので手間の関係上11/16以降のデータのみを対象としています。ある意味第3波の傾向を示すデータになるのかもしれません。1つめは年代別の陽性者数の累積と割合(当該年代陽性者数/陽性者総数)です。

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確かに20代が多いですけど、30~40代もかなりの人数です。70代が60代より多いですけどひょっとすると院内・施設感染のためかもしれません。大阪府はクラスターのデータも公開しています。こちらをみれば何かしらのことが論じれるのかもしれません。また見てみます。次に年代別の人口構成をみてみましょう。こちらは以前にも使用しいるe-statのデータです。

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0-4歳を未就学児、5-9歳就学児とし、85歳以上は5歳階級がなくひとまとめにされているので80代以上とまとめました(念のため書いておきますが元データの5歳階級を10歳階級に変換しています)。2つのテーブルの割合の比(a/b)に注目してみましょう。20代は1.84と年代別構成比(人口で10.9%を占めているのが陽性者数で20.2%と割合を増やしている)から大幅に割合を増やしています。30、50代などは1に近いですし10、40、50代もも0.8を越えこれらの年代も人口構成比なりには同程度に感染が進んでいるともみなせます。20代の更新と10歳以下を無視すればほぼ同程度にどの年代も感染が進んでいるということです。80、90、100代は合算しているため傾向は伺えませんが20代に次いで人口構成比から考えると感染が進んでいるのは注目です。若者が多い多いと非難されていますが現状はどの年代にも感染が拡がっているとみなすべきでしょう。これは大阪府のデータですが東京などはどうなのでしょう?次回調べてみます。
 では本題の重症者数をみてみましょう。このテーブルでの%は当該年代の累積重症者数/累積陽性者数%です。重症化率ととりあえずしておきます。

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70代(陽性者数1,158人)の方は14%近くとかなり大きな値です。80代以上(陽性者数、80代: 1,433人、90代: 478人、100代: 19人)で落ち込んでいくのがが不思議ですね。90、100はそもそも母集団自体(陽性者数)が小さいので単純ではありませんし重症者のカウントを経ず亡くなられた方が多いのかもしれません。なおよく言われていることですけどこの%は陽性者あたりのため(陽性者を見逃している可能性がある)分母が過小評価されてる可能性が高いです。なので実際の重症化率はこれより小さいかもしれません。また濃厚接触者等で無症状でも陽性者(その後も軽症で済むような人)として見つかった人の上乗せがあるとも考えれます。そうでしたら体感的な重症化率は実は大きいのかもしれません。まぁともかくこの数字の解釈は難しいってことです。それでも60代以上で明らかにリスクが高くなるのは確かでしょう。

 少し興味深いデータがあります。重症化率を日毎で求め期間の重症化率と比較した場合です。発症からおよそ1週間前後で重症化することを踏まえ日毎の重症化率(重症者発生頻度の方がよいかも)を、例えば11月22日の重症化率では当日11/22と過去6日間11/16~11/21の7日間の陽性者数に対する割合と定義してみます(あまり結果は変わりませんが過去6日間のうちその間に重症になった人も減じて分母の陽性者数としています)。すると重症化率の最大値でも60、70、80代で3.6(3.4)、4.7(4.3)、3.9(3.6)%と全体の値に全く及びません(()内は分母の陽性者数から過去6日間の重症者数を減じなかった場合も参考に書きました)。

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期間を3日間にして最大値が8.1、9.0、8.8%と近づいてきたものの70代はまだまだ届きませんしそもそもこれは最大値です。

図2


期間を1日にしてだいたい平均(8.0、13.4、8.7%)・中央値(6.8、12.9、7.1%)との比較できる値になります。

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これが何を意味するかですが端的に言えば重症者を早期発見できていないことになるかと思います。陽性確定までに3日間ほど掛かるとの記事をどこかでみました(ソースが確認できないのでまたみつけたら追記するつもりです)。検査をしてからの3日の間で重症化する例が実は多くあるのかもしれません。ほんとはこういうところも疫学的調査をすべきなのですが批判等を恐れて自治体はしない可能性がありますね。今が難しくともコロナが落ち着けば今後のためにも必ずすべきことだと思います。今大阪府でPCR検査を受けている人が自覚症状からなのか、疫学的調査(濃厚接触者)からなのかで考えもかわりますけど、高齢で自覚症状のある方は積極的に1stスクリーニング(PCR検査を優先するため)として抗原検査も併用すべきでしょう。ただしこれでも"happy hypoxia"みたいな急変する例は見逃しますが。

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