「心筋炎リスク情報を不適格と指摘したサンテレビの報道はデマ」は誤り

サンテレビは報道の中で、2021年10月に厚労省が作成した10代、20代の男性と保護者に向けた新型コロナワクチンのパンフレットのデータが不適格であると指摘した。

①本来は「ワクチンを打った場合」と「打たなかった場合」を比べる必要があるが、厚労省のパンフレットは「打たなかった場合」ではなくて、「新型コロナにかかった場合」で比較。比較対象にならないものを並列している。

②パンフレットに「新型コロナウイルス感染症にかかった場合」と記されているのであれば陽性者数の30万人を分母にするべきだが、30万人ではなく「新型コロナウイルス感染症にかかって入院した場合」の4798人を分母に計算している。

③「ワクチンを受けた場合」は10代20代と書いてあるのに「新型コロナ感染症にかかった場合」は39歳まで含めている。そうすると「かかった場合の」グラフの方が高く見えるようになるのでワクチンを受けた方が心筋炎リスクが低く見える。

元々のパンフレットは以下の表
ワクチンを受けずにコロナに感染すると心筋炎リスクが高まるような印象を受ける。

以下の画像はパンフレットのデータを正しい比較のグラフに修正したもの。ご覧の通り、ワクチンを受けた場合の方が心筋炎のリスクが高い。

サンテレビ News 2022年06月07日
・https://sun-tv.co.jp/suntvnews/news/2022/06/07/53955/

【検証】厚労省データ 心筋炎リスク情報も不適格~新型コロナワクチン未接種扱い問題だけじゃない!2つの不適格データ問題を独自検証~


どのようなデマが流れているか

「調査の母集団4,798人に対する4人の発症だから、計算は4/4,798で正しい。サンテレビの報道はミスリードである」という主張が出回っているが、上記②にある通り4/4,798という計算は不適切である。

また、「接種者の心筋炎のリスクは高くない」という主張も見られるが、それも誤り。

30万人以上の医師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイトm3.comの記事には以下のように書かれている。

国内では、最新の副反応疑い報告数に基づく解析で、武田/モデルナ製ワクチン接種後の10~20代の男性において、他の年齢・性別と比べて心筋炎関連事象の報告頻度が高いことが示された。
またファイザー製についても、おおむね全ての解析で武田/モデルナ製と同様の傾向が示された。これらの状況を踏まえ厚労省は2製品のワクチンについて、添付文書を改訂し、心筋炎・心膜炎について「重大な副反応」と位置付けることを同部会に提案した。委員から方針に対する異論は出ず、了承された。
現在の添付文書では「重要な基本的注意」項目で2製品ともに「本剤との因果関係は不明であるが、本剤接種後に、心筋炎、心膜炎が報告されている」との表現があるが、「因果関係は不明である」の表現が削除される。

引用元:m3.com
接種後の心筋炎等、「重大な副反応」に追記へ 2021年12月3日
https://www.m3.com/news/open/iryoishin/989643

さらに、ニュージーランド(NZ)では、米ファイザー製新型コロナウイルスワクチンの1回目を接種した26歳の男性が心筋炎で死亡した事例について、因果関係を認定している。


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