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2021年5月母と喧嘩した

こんにちは、鳥の巣です。


今回は少しテイストが違うのですが、自分の忘れたくない記録、というよりも忘れた頃にまた思い出したい記憶として、ここに残そうと思います。



結婚式の準備でメモを整理していたら、2021/5/4〜5/6に母と喧嘩して書いた日記が出て来ました。




沸々と湧き上がる怒りを記していたつもりだったようです。





2021/5/4
どの言葉にそんなに自分が怒り傷ついたか分からないけど、とにかく我慢が出来なくなった。昼間行くはずだった桃太郎寿司も仔猫を見るという予定もすっとばしてとにかく家を出た。


社用のパソコンを持った。財布とリップクリームも持った。こんなに頭に血がのぼってるのに、出先で仕事しよう、万が一の為に財布も持って行こう、と考えてた。



こういう所が、「なんか怒ってるってより演技してるって感じがしてむかつく。」といつかの友人に言われる理由だったんだろうか。



母と言い合った、というより、注意をした。自分さえ我慢をしていれば丸く収まるという考えに私は常々イライラしていた。自分が意思を伝えられないことを美談にするな、と私はそう言った。



「いつも何か悩みを話すと人格まで否定されて何も相談もできないし、したくない。ただそうなんだって相槌をうってほしいだけなのに。そう、そうなんだねって言ってほしいだけなのに。」




どこの部分に苛ついたのか、自分でもわからない。全体的にむかつく内容であるような気もするし、適当に流すことも出来た気もする。



とにかく、パソコンと財布とリップクリームを持って大通りを左に曲がった。ここを30分くらい歩いたところに兄の家がある。少しくらい泊めてもらえるだろう。




「ねえ、そっちでちょっと仕事してもいい?」「なんでよ。」
「ちょっとママと言い合った。」
「13〜18時ならばいいよ。」




泊めてくれるどころかバイトのシフトみたいな時間の指定だった。よし、ホテルに泊まろう、そう思ったのは家を出てからまだ5分も歩いていない一つ先の曲がり角だった。




おひとり様、温泉、都内、一万円以内。
色々調べたが、まぁまぁどれも高かった。




一度調べるのをやめて、友達の顔を思い浮かべた。ぽろぽろ涙が出てきた。いないのだ。
いや、友達はいるが結婚してるか実家住まいか地方か海外だった。




もう一度調べた。川崎の温泉ホテルがヒットした。9時以降は夜鳴きそばが無料とのこと。簡単5分予約が出来てからは凄く心が晴れやかになった。行き先が決まらないことが1番ストレスだったようなので、これでもう救われた、そんな気持ちがした。



NiziUを聴いて足取り軽く川崎に向かった。チェックインは15時、現在11時。まだ時間があった。



寿司を食べに行くはずだったから、寿司が食べたかった。寿司のお腹だった。川崎で寿司、美味しいでヒットした。



大トロ丼。2500円。これしかないと思った。ウニ丼も2500円だったから、大トロハーフ、ウニハーフとか出来ないですか?と聞いたけどそれは出来ないと言われた。まぁ、いいでしょう。「じゃあこの大トロ丼1つください。」



いつもはかなり丁寧に且つ、好きなものは最後に食べるタイプだが、好きなものから食べた。大トロを2枚食べてからサラダや茶碗蒸しなんかを食べて、また大トロを食べたりした。少しご飯を残した。
いつも気をつけていることをなるべく気をつけないようにした。

さて、次はどうしよう。まだチェックインまで2時間くらいあった。コロナになってやりたかったのに出来てない事を考えた。

扉が全開でコロナ対策すごく頑張ってますよ!という雰囲気が出てたイメージカラーが水色のカラオケにきた。人差し指をピンとはり「1人ですけど2時間で!」なんだか変な日本語になった。

初めてのヒトカラはなんだかそわそわした。でも歌ってみたかった曲を歌えるところだけ歌った。1番でやめたりもした。YOASOBIとかも歌ったし、あいみょんとかも歌った。カラオケのエコーが効きすぎていて間延びする自分の声が違和感だが、カラオケって確かにこうだったなと思い出した。


最後にいつカラオケに来たかが思い出せなかったが、コロナと騒がれる前なのでおよそ2年くらい前なんだと思う。友達の歌う歌で、あっじゃあ私この曲歌っちゃお〜と思い出しながら歌っていたので、1人だと早々にネタが尽きた。あぁ、あまり面白くない。京都に住んでる私と唯一共鳴してくれる同じ癖の友達Kに連絡してみた。


「明日って仕事?」「明日ってか月曜までずっと休み。なに、来てくれるの?来てよ。」なんだか安心した。私の訪問を喜んでくれる人がこの世の中にいるという事実が何よりのご褒美だった。



今日はホテルを取ってあるので、明日から1泊で京都に行こう。沢山話し、沢山笑おう。沢山歩こう。そう思ったら悲しみや虚しさよりも楽しみが勝った。




ホテルに到着し、チェックイン。連休前に終えることが出来なかったら仕事を済ませ、温泉に入った。街中を見下ろす温泉は出来れば母と妹と来たかった。
「なんか街中を見下ろすって表現ってさ、性格悪くない?」とか言いたかった。また来れるだろう、でもきっと来ないだろうと思った。


湯上がりに無料でアイスが食べられた。近くの親子が楽しそうに写真を撮ったり、カップルが仲良く漫画を読んだりしていた。それを見て、アイスを全部頬張り部屋に帰った。



部屋のテレビを観ていたらマツコデラックスが19歳の少年を「育てたいわ〜」と言っていた。31歳の私を誰が育てたいと思ってくれるかななんて卑屈になった。もちろん文字通りの育てたいではないことも分かっている。



21時の夜鳴きそばを待って食べたが全く腹にたまらなかったので、セブンイレブンでチーズタッカルビと餃子を買ってチンして食べた。おかずとおかずという点でいつもはやらないなんとなくダメかもしれないことをしたつもりだった。



映画「メランコリー」を観終わったら猛烈に眠くなったので、歯を磨いて寝た。枕が固く高いので寝にくいと思ったが、5分ポジションを変えてたら寝ていた。


すごく変な夢をみた。いや、すごく現実味のある夢をみた。家族や友人の相談を聞いていた。そこでも私は解決をしたがっていた。



2021/5/5
6:30に起き、15階にある温泉に向かった。親子がやたら目につく。どうしてか、私はいつも気にならない親子、母娘が目につく。




風呂から上がり、無料のヤクルトが1人1本と書いてあるのを横目に2本取った。
部屋に帰り一気に飲み干してチェックアウトをした。慣れた手つきでもたつくことなくスムーズに出る事が出来た。




外に出ると朝だから閉まってるのかそれともずっと閉まっているかわからないキャバクラが何軒も連なっているのを横目に川崎駅に向かった。



川崎駅から東神奈川駅、乗り換えて新横浜駅を目指した。全てがスムーズだった。



新幹線のチケットを券売機から買おうとしていたら女性職員に話しかけられた。
「携帯端末で改札入られましたか?」
何か悪いことをしたのが見つかってしまった気持ちになった。家出をしたのが悪いのか、携帯端末で入ったのが悪いのかは全く検討がつかなかったが、とにかく怒られている気がしてまともに喋れず、自分でも聞いたことのないか細い声でなにも何語ともわからない2文字を発した。


2号車16のA。遂に乗ることが出来た新幹線はすごい速さで京都に着いた。


「おーい!」ぼーっと改札を見ている友人に私は大きく手を振った。目が悪いKはしばらく気付かなかった。


「よく来たね、この家出娘が!」
最高のウェルカムで迎えてくれたKに、私はひとしきり喋った。最近のこと、昔のこと、母のこと、最近の俳優のこと、猫のこと。



カフェに行ってハンバーグを食べても、どしゃぶりの中コンビニに行って夜食を買うときも、Uber eatsで韓国料理を頼んだときもずっと私は喋った。



しばらくやめていた煙草も2人で吸って、あーじゃないこーじゃない、大口開けて笑った。これで十分だった。



ひとしきり喋ったら眠くなったので、23時には寝た。その日は母に京都が楽しかったと言っている夢を見た。その事は起きてもKには話さなかった。



2021/5/6
信じられないくらい晴れた。最高気温24℃だと何度もKは言った。



シャワーを浴びて、Kの立派な家庭菜園を見てまた煙草を吸ってまた喋った。
Kの育てた野菜や米粉のパンケーキなんかを出してくれた。その時も喋っていた。


折角だから歩こう!と、私の希望で京都大学の吉田寮の前まで行った。通常見学会があるようだが、今はコロナでやっていないと立て看板に書いてあった。


京都大学をみて、美味しいベーグルを食べ、鴨川を歩いて、バスに乗り清水寺に行った。あまりに人気のない清水寺はお誂え向きで、ずいぶん誰かに愛されてる気がして、私は母に清水寺のお線香をお土産に買った。





「喧嘩してるのにお土産買うんだね?」
確かにそうだった。ホテルにいる時はやたら親子が目についたり、誰かの言葉にひっかかったりしていたが、気付いたらお土産を買っていた。




その日に帰ることにした。次の日でも良かったが、なんだか早く帰らなきゃいけない気がした。



あんなに喋ってた私達、別れ際もすごくあっさりしていた。



「んじゃ、帰るわ!本当にありがとう!」


そうとなったら早く帰ろう、そう思って小走りで券売機で自由席のチケットを買って新幹線に乗った。

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