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なぜ人はイラレに挫折するのか|イラレ職人月報2023/05

このnoteを読んでいるということは、あなたは挫折せずにイラレを使えるようになった幸運な人なのでしょう。イラレは便利ですが、一方で初心者が挫折しやすいソフトとも言えます。

「なぜイラレは挫折しやすいのか」

イラレを教えることを生業とする僕にとってこれは重要な命題です。その真実を求め、僕はジャングルの奥地へ…は行きませんが、とりあえず「入門書」に焦点を絞って原因を推測してみました。

イラレ入門書で挫折した理由は?

Twitterで軽く質問してみたところ、様々な挫折エピソードを頂けました。一部を引用します。

基本的にどれも分厚いのでまずそこで壁を感じ、機能も「で、これは何を作る時に使うの…?」と感じてしまうものが多く独学では無理でした。

https://twitter.com/orangewings345/status/1661572711272026112?s=20

ダイレクトツールがそもそもなんのかわからなくてアピアランス、パスと更に出てくる横文字達…頭の中では「こうしたい!」と言うのがあるのにこうしたい!を具現化するまでに辿り着くのが長くて挫けそうでした

https://twitter.com/xx_xxUoxoUxx_xx/status/1659100406985662467?s=20

楽しくないから続かない…ってのが毎回だった

https://twitter.com/nyacochin_/status/1659156511371964418?s=20


あー…わかるわかる、という感じですね。本当に様々な理由があったのですが、ざっくり3つに分類できました。

(1)ボリュームが多い
・本が分厚い
・覚える量が多い
・どこまで勉強すれば良いかわからない
・作りたいものを作れるようになるまでが遠い

(2)内容がわかりにくい
・説明や用語が理解できない
・ペンツールが難しい
・ツールなどの場所がわからない
・MacとWinの違いで混乱する

(3)モチベーションが続かない
・楽しくない
・最後まで読みきれない
・作業の目的がわからない
・イラレの利点がわからない

これらの課題について、全ては流石に無理ですが、重要ないくつかの点について検証していきましょう。


最初のハードルが高すぎる

挫折する理由について、もう少し具体的に言語化してみましょう。

まず単純にページ数が多くて分厚いです。どれも大体200〜300ページほどの厚さで、中は文字でぎっしり。読書が苦手な人はこれだけで挫けそうですね。

最初に覚えなければいけないことが多いのも深刻です。ペンツールの難解さは言うまでも無く、オブジェクト、パスなど新たな概念を覚える必要もあります。

立ちはだかる膨大な数の機能。初心者が「これを全部覚えなければいけないのか…」と誤解して絶望するのは当然と言えます。

そして「最初のゴールが遠い」のも大きいと思います。おそらく簡単なゴールとして想定されたであろうポスターなどの広告を作るのに、いったいどれだけの機能を学ぶ必要があるでしょう。

新規作成から始まり、画面の見方、カラーモード、アートボード、オブジェクト、選択、バウンディングボックスなどの基本操作、ペンツールの習得、その他パスの作成や編集、テキスト、画像、パスファインダー、整列その他諸々…。

これら全てを習得するまで、読者は「達成感」を味わえないのです。挫折理由(3)の「モチベーションが続かない」にも通じますが、一番最初に越えるべきハードルがこんなにも高く遠くにあるのですから、そりゃ挫折もしますわ。

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