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染工場

コルネは、ある染工場との出会いからはじまりました。その出会いは、ほんとに偶然でした。たまたま、奈良の服を作っているお店のおはなし会があるのを知り、参加したら、そのお店の生地を染めている染工場の社長さんが来ていて、お話させてもらうことができたんです。

その時の私は、別の染工場で生地のデザインの仕事をしていました。会が終わって、お店の人と染工場の人に、私の悩みを聞いてもらうことになって、そこにいた皆さんに、コルネをはじめること応援してもらう流れになっていきました。

今思えば、とても不思議な出会いです。そのお店に行ったのもはじめてだし、話を聞きに行っただけだったのに、染工場の人が来ていたり、その染工場が、自分の染めてみたい手法の染め方をしている工場だったりして、コルネをスタートするのに必要な条件がそこで全て揃ってしまいました。

そして、半年後にデザインが完成し、工場に行かせてもらい、染めている現場を撮影させてもらいました。懐かしいインクの匂いと、きれいに掃除された現場の空気を感じることができて、とっても幸せでした。そして、型を作ってくれる型屋さんや、社長のお父さんである会長さんや、奥さん、事務員さん、そして実際に生地を染めてくださっている職人さんとお会いすることができて、

みなさんとても優しいお顔をされていて、あたたかくて、おもしろくて、時に厳しくて、私は、一瞬で工場のみなさんが大好きになりました。きれいに掃除された染め場を見れば、良い工場だということが本当によくわかります。

私は、以前勤めていた染工場でも現場が大好きで、しょっちゅう現場に行ってたので、現場の大変さが本当によくわかります。デザイン原画やパソコン上で描いたことが、そのまま生地にプリントできるようなことはまずないし、なんとか調整して型ができあがっても、色を作り、試し刷りをして、さらにデザイン通りに色が出るかを調整検討し、全てが決定しても、他にもたくさんの生地を染める中でスケジュールをうまく調節して、効率よく進めなければその後の工程がうまくいきません。

私のように、すごく少量の加工を注文することがどれだけ面倒なことなのかが身にしみてよくわかっているので、普通だったら、こんな面倒な案件は染めてもらえないと思います。にもかかわらず、嫌がるどころか、私の取り組みを応援してくださり、いろんな人を紹介してくださったりして、本当にありがたいです。

今の染工場に出会えたことが本当にコルネ史上最大の幸運です。職人さんが、1色ずつ、刷って刷って型を持って移動しながら、真っ白な生地に、均一に力を込めて、生地に色をのせていく。その作業の繰り返しによって、1枚の生地が完成します。一枚の布は、たくさんの人の手によって、作られているをだなぁ、と、染めるたびに思います。




コルネのテキスタイルは、京染色の職人さん達の技術に支えられながら作っています。小さい規模で、生地を作り続けるのは資金面でとても負担がおおきいです。小さいながらも、これからも新しい生地を作り続けていくために、ぜひサポートをしていただけたら嬉しいです。