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ヒロシとカズオの話

ヒロシはわたしの父です。
漢字だと、「弘」です。

ちょっと詳しい出自はこちらで、

簡単に言うと
45歳の時に働いていた工事現場で怪我をして
脊髄損傷、30余年車椅子で生活しているおじいちゃんの話です。


母はチエコ。
漢字でかくと、「千恵子」

わたしの「きみこ」に比べたら超可愛くないですか?ちなみに、妹は「由紀子」。「きみちゃん」より、「ゆきちゃん」のほうが絶対かわいい。
親子ならまだしも、姉妹同士は同じ程度の可愛さにしといてほしかった。

ところで。
チエコの兄は「カズオ」です。

ヒロシと同じ歳で、大工だったので、ヒロシ同様カズオも関東に出稼ぎに出ていることが多かったのですが、カズオの場合お嫁さんや子供が病気がちで長期間家を空けることができない時期がありました。


チエコには、兄のカズオの他に、姉のミツコと弟のタカシがおります。その姉弟と、母親トメたちがその頃、「カズオ一家の呪われ説」を語り出します。

カズオの家は、市内中心部で山がちな場所ではあるけれど商店街と駅が近く、神社の横に綺麗な公園があるような、比較的整備された場所にあります。
市内では当時の一等地付近。定期的に市(いち)が立ち並び、野菜や魚介、だんごなどが売られて賑わいます。
しかし、カズオの家が建ってる土地は元々は無縁仏の墓地だったところでした。

カズオが親の反対を押し切り、その土地を購入後、家を建てるための土地造成の過程で案の定人骨がいくつか出てきたとのこと。実はヒロシもその現場を手伝っており土葬の遺体を掘り起こしてしまったと言います。近所のお寺に供養をお願いしたとのことでした。

カズオの家族が、体調不良が長引いたり、子供が不登校気味になったり、嫁いだ娘が出戻ったりするなど良くないことが起こると、そんな土地に住んでいるからだとチエコの親姉弟が言い合うのを何度か聞きました。
呪われていてもいなくてもよくある話ばかりと思うけれど立て続けに起こるとそういう発想になるのでしょう。

ヒロシ自身は義兄を手伝っただけで何も悪くはないし、なんの因果も無いのですが、自分の怪我も…と思うこともあるようで、今でもヒロシとチエコの話題には上がるらしいです。

それにしても。
父が土葬の遺体を掘り起こしたことに気付いた瞬間を想像するにしても、無縁仏跡地に家を建ててしまった伯父の話にしても、夏のきもだめしやこわい話のネタには興醒めしそうで使えないです。


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