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英語を使って何かを学ぼう:MOOCを使って世界の一流大学の授業を受ける。あるいは、のぞき見学習をする。


ネットを使って、英語で世界を探索しながら学ぶ方法
春休みを家ですごすことになった人へ

このシリーズの3回目、前の記事はこちらです。

第1回 英語ニュースで世界を知る
第2回 ひと月で効果を実感できるように、オンライン英会話をやってみる

昨日、私が教えている2つの大学から、
新学期の方針について連絡がありました。
ひとつの大学は、新学期が4月20日の週に開始に遅れ
4月の3週は特別休みとなり、
授業回数を減らしてコースを修了できるよう
各教員が準備・工夫するように依頼されました。

もうひとつの大学は、4月6日の週から
教室で学生に直接教える授業は行わず、
原則としてオンライン授業に全面的に移行すると連絡が来ました。

昨日の午後にはさっそく、
教員向けの「オンライン講座を教えるためのオンライン講座」が始まり、
私も参加し、オンライン会議システム、
Zoomを使った授業のやり方を習いました。

この大学で教える1000人の先生が
理系から文系の専門領域、教授から助手の地位に関係なく、
オンラインで一斉につながり、同じ画面をみながら、
いっしょに新しい教え方を学ぶ様子に、
オンライン学習の凄みと、先生方の決意を感じ、
ちょっと感銘しました。

一方、私的には、
自分がオンライン授業をすることは今まで予想していなかったので、
この状況に動揺しています。
どうやればいいのだろう。。。。

とはいえ、世界中の大学がコロナ禍に対応する必要に迫られ、
アメリカも、ヨーロッパでも、アジアでも、ほとんどの有名大学が
急遽オンライン授業に完全移行していることは知っていました。
大学教員として、今さら驚く方がぼんやりなのかもしれません。

いや、大学だけじゃなくて、小学校、中学校、高校でも、
世界中でオンライン授業が始まっています。
世界中のあらゆる学校のあらゆる科目の先生が、突然、
オンライン授業にチャレンジしているわけです。

これはある意味で、壮大な世界規模の社会実験です。
この取り組みから、これから世界で何が生まれるか、
教育がどう変化していくか、興味深々です。

危機から新しい教え方のアイディアが生まれたり、
新しいテクノロジーが広がるのだろうとも思います。
私も、できるだけ学生の役にたつ、楽しいオンライン授業を工夫したいと
頭の中でいろいろと考え始めています。

準備をしていた今年の夏のフィンランドと台湾の学会もなくなり、
これから一年は、予定ががらっとキャンセルになりました。
それならば、世界に先生方といっしょに、この壮大な社会実験に
参加してみようという気持ちになっています。

とはいえ、私の教えているのは英語コミュニケーションで、
今までは、授業の3分の2は、学生が自分で英語を話す時間となるように
授業の組み立てを工夫してきました。

オンラインでどうやって、学生が英語を話す練習をする授業ができるのか、
今はまだ、イメージが固まりません。
(同じような課題に直面している方がいらしたら、
一緒に工夫、研究しませんか? ご連絡ください!)

そこで、効果的なオンライン授業のアイディアを探すために、
ネットを使って世界の大学の、オンライン授業をいろいろと
のぞき見しています。

前書きが長くなりましたが、
今日は、世界のいろいろな大学が公開している
オンライン授業を見ていたので、
みなさんにも、MOOCのお誘いをしたいと思います。

MOOCは
Massive Open Online Course (巨大でオープンなオンラインコース)の略で、
世界の大学や組織が、原則無料でオンラインコースを
提供しています。

ハーバードやスタンフォードなどアメリカの有名大学の
有名教授の授業が無料で受講できる、
知る人ぞ知る、巨大なオンラインキャンパスです。
開始から10年以上たって、
今やヨーロッパやアジアの大学も名を連ねて世界規模です。

10年前の開始時、
世界のどの国の、どんな経済的・地域的事情を抱えた人も、
すぐに、無料で、世界のトップ大学の授業を受けられるようになった、
もうリアル大学はいらないかもしれない、と話題になりました。

しかし、その後、
オンラインコースを提供する大学にかかる経済的な負担や、
登録者は多くても、コースを最後まで取る人が少ないなど
課題が見えて、一度はブームが下火になったように思います。
少なくとも、世界の大学側の熱狂的な機運は、ある時期冷え込みました。

その一方で、オンラインで教える方法は各大学で地道に工夫が重ねられ、
世界のトップの大学の社会貢献として、革新的で面白いコースが
増えてきました。
いまや、どんなテーマでも学べるほど、
コースが充実しているのが、世界のオンラインキャンパス、MOOCです。

正直に言うと、私はたぶんいままでに
30以上のコースに登録しましたが、
最後までやり終えられたのは2つだけです。

MOOCは無料なので、気軽に登録できますが、やめるのも簡単です。
ちょっと数日学んで、その後、ほったらかしにして終わりです。
コースの中身への強い興味や、学びたいという意欲がないと、
なかなか終わりまで続けられません。

コースはたいてい、6週間ぐらいの授業計画で作られています。

講義のビデオを見て、講義のノートを読み、
理解確認の小テストを受けます。
レポートを書いたり、オンラインチャットをしたりすることもあります。
全てが原則英語ですから、英語の勉強としても非常に刺激的です。

一週間に6時間ぐらいの勉強時間の投入が必要と書かれていますが、
英語があまり得意でないと、週10時間以上必要かもしれません。
コースひとつへの投資時間は、60時間ぐらいでしょうか。

専門知識が学べるだけではなく、
実践的で、欧米の大学の授業のやる方を知ることができます。
留学を考えている人には、とても役立ちます。

ビジネス書ベストセラーの先生の授業などもあり、
世界の最前線の知識と英語が同時に学べるのも
わくわくします。

さらに、ITやコンピュータサイエンスなどのテクニカル系の授業は、
素晴らしく充実している、らしいです(素人すぎて私はわからない)。

つまり、コースを最後までやるには相当の覚悟と、
実践的な英語力が必要ですが、
やり切れば、必ず成果があります。

しかし、私はこのごろ、コースの授業を最後まで終わらなくても、
まず、MOOCのキャンパスをのぞき見するだけでも、
勉強になると思うようになりました。


大学の英語の授業でもMOOCの「のぞき見」の練習をするので、
授業でやっている方法を紹介します。

コースを最後までやり通せなくても
それなりに勉強になる、MOOCののぞき見学習の考え方です。

以下の3つの方法を提案します。

超入門レベル:自分の興味にあった、面白そうなコースを3つ見つける
英語で膨大な情報を検索し、見出しで内容を判断し、必要な情報を見つける練習
興味のあるテーマについて英語で検索し、検索結果を英語で読んで、よさそうなものを選び、そのサイトの情報をさらっと読んで、候補を絞り込む。


入門レベル:面白そうなコースのシラバスを読んで中身を理解する
英語である程度まとまった量の文章を速読をして、理解し、比較して、判断を下す練習
興味のあるコースの目的、教え方、講師のプロフィール、詳しいシラバス、受講者の評価などを読んで、どのコースがよさそうか、詳しい情報を速読し、その結果で候補を決める。

初心者レベル:面白そうなコースの最初のレッスンの動画やテキストを読む
英語のリスニングとリーディングの練習と、コースを理解する練習
これと決めたコースの最初のレッスンを実際に受講してみる。講師の挨拶と目的の説明の動画を見て、受講の心得などのテキストを読む。実際に受講するか、最終判断を下す。

のぞき見学習ともったいぶって書きましたが、
日本の大学で履修するコースを選ぶ際に、
日本語で普通にやっていることです。

就職するときの会社探しも、
留学先探しも、
旅行の行き先探しも、
海外に住む時の家探しも、
みな、情報検索、速読によるスクリーニング、ためして最終判断、
という3つのステップを実施する必要があります。

この3つのステップが、英語でできるかどうか。
どこまで徹底的に深くできるか、
どれぐらい速くできるか、
どれだけ新鮮で、ユニークな情報を見つけられるか、
仕事や生活で英語を使うには非常に大切な超基本スキルです。

英語の仕事や生活の経験が長くなればなるほど
この3つのステップの実践力の重要性を痛感します。

だから、MOOCでどんな授業を取ろうかな、
とわくわくしながら、この3つのステップをやってみるのは
非常に役立つ英語学習です。

時間をもてあました半日でも、この練習をしておくと、
あとで何か学びたいものが出来た時、
よし、MOOCでやってみようと思うかもしれません。

秘訣は、大学の名前で選ばないことです。
あくまでも、興味との近さ、授業の質で選びます。

食べログやAMAZONといっしょで、
受講者の評価が役立ちます。
この受講者のコメントも英語ですから、
コメントを読むことも、英語のリーディングの練習になります。

MOOCでは2つの有力なグループがあります。

EdX:世界的に有名な大学のコースを売りにしている

Coursera:世界のいろいろな大学の実践的コースが豊富

上の2つのグループの違いは、私にはよくわかりません。
どちらのグループにするか、どの大学にするかと
選ぶより、さまざまなグループを横断的に検索できる、
このサイトで自分の好きなテーマのコースを探すのがおすすめです。
MOOCリスト:

ようこそ、MOOCのキャンパスへ。
いますぐから、これから大人になって年を重ねていっても、
生涯学び続けられる、世界を舞台にしたキャンパスです。
世界中の人とチャットしたり意見交換もできる、
刺激的な世界に参加してみませんか。
原則、無料です。

追記1:
おすすめの英語コミュニケーション系のコースなど、
興味のある方がいれば、また紹介します。

追記2:
小学校から大学受験までのレベルだとカーンアカデミー
世界的に有名です。

インド発のこのサイトは、特に数学やコンピュータサイエンス系が
充実しています。
教え方もうまいらしいです(数学素人で判断できません)。
ただ、英語やコミュニケーション系はないらしく、
私は使ったことがありません。残念。

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