『 いつか逢うなら、今がいい 』
中野警察署の前を通った。
建て替え前の古い社屋はもうない。
でもあの古びた建物が今でも忘れられない。
前を通るたび、胃の真ん中がキュッとなる。
安置所。薄暗いその部屋に
横たわっていたのは親友だ。
ドラマみたいに
顔には白い布がかけられていた。
ドッキリみたいで少し笑っちゃうくらいだった。
馬鹿話して、花札やって
タバコ吸って、酒飲んで
その背中を送り出してからたった1時間。
幾度となく一緒に聴いた
『粉雪』はしばらく聴けなかった。
今も不意に流れると涙が滲む。
もう