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お客さんとして救いたい対象は「過去の自分」なのか?

マーケティングでポイントとなる「誰を」。

「どのようなお客さんを対象とするのか」、「どんな人の悩みを解消したいのか」といった際、よくあるのが「過去の自分」です。

例えば、アロマセラピストの方に、「アロマセラピストになろうと思ったきっかけは?」と質問すると、「過去に自分の体調が悪かった時に、アロマで心が癒された」といった答えが返ってくることが多いです。

「過去の自分=体調がすぐれない」がアロマによって「体調が悪い→気持ちが前向き→だんだん元気になった」という自分の経験をもとに、アロマセラピーという素晴らしいものを多くの人に知ってもらいたいので、職業としてアロマセラピストになったという訳です。

私の場合は、前職のベンチャー企業に勤めている時、資金繰りで苦労したので、「過去の自分=資金繰りで苦労した」がこれからは会社の資金繰りで苦労しないために、必要な対策を打つことが、私のやりたいことだと考えていました。

もちろん、これ自体は間違いではありません。しかしながら、後にこれは要素の一つであることに気がつきます。

会社の社長が苦労する要素の一つとして、資金繰りの問題、つまり、お金の問題があります。けれども、仮に当面はお金の心配をする必要がない会社であっても、社長の悩みはつきません。

社長が「今後はこの新規事業に力を入れていこう」と思っても、社員がなかなかついてこれないことがあります。

また、「この商品は絶対に売れる」と自信を持って売り出しても、すぐに売れないケースだってあります。

つまり、社長がやりたいことがあっても、お金の問題や人の問題、また、市場の問題等いろいろと対応すべき課題があって、「自分のやりたいようにやれない」ことは日常茶飯事です。

もちろん、本人の中に「何が何でもこれをやり抜くんだ」という熱い思いがある人は、たとえいろいろな壁が立ちはだかっても、手を変え、品を変え、その壁を乗り越えていきます。

一方で、そこまでの熱い思いや信念がないと、「その新規事業は止めた方がいいですよ」とか「この商品は売れないと思います」というアドバイスをもらうと、そこで諦めてしまう可能性もあります。

このように考えてきて気づいたのが、私の場合で言えば、「過去の自分=何か課題があった時に諦めてしまった人」ということです。

振り返ってみると、子供の頃に「自分がこうしたい」と思っても、親(特に父親)から反対されると、不本意ながら簡単に諦めてしまった経験が多かったように感じます。

先のアロマセラピストの例でも、アロマで身体や心が癒された点では、皆さん共通しています。しかしながら、「どういう形で癒されたのか」、「どのように癒されたのか」については、深くお話をお聞きしていくと、皆さんそれぞれ違っています。

提供する商品やサービスが同じであっても、「なぜこの商品を売りたいのか」「なぜこのサービスをやっているのか」は一人ひとり理由が違います。

そして、お客さんとして「過去の自分」と同じような人の役立ちたいという場合であっても、表面的な事象でなく、もっとその奥にある出来事や心が動いた内容を自分で自覚できれば、自社の打ち出し方も変わってきます。


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